ワインを「ギルティ炭酸NOPE」で割ると味が別物、99種フレーバーと五味が理由
安いワインを買ってきて「うーん、ハズレだったな」となった経験、ある人はけっこういると思う。その救済策として、サントリーの炭酸飲料「ギルティ炭酸 NOPE」で割る、という飲み方を描いた3枚のイラストが伸びている。投稿したのは楽ワインさん(@RRakuKarasu)。コンビニで買えるような身近なワインを紹介しているアカウントの人だ。
添えられた文はこれだけ。「ワインはNOPEで闇堕ちする」「ハズレワインも当たりワインも等しく台無しに美味しくする問題児」。2026年9月11日の21時すぎの投稿で、いいねは6万3千、リポストは5千を超え、表示は320万に達している。
3枚のイラストは、同じ一杯が救済にも冒涜にもなると描いている
イラストは3枚あって、どれも縦3コマ。NOPEの缶とワインのグラスが順に出てきて、最後のコマで結果が描かれる。
1枚目は白ワイン。1コマ目にいきなり缶が置かれて「これで割ると」、2コマ目にグラスとバナナ・桃・りんご・白い花(白ワインの香りのイメージ)が並んで「ワインが」、そして最後のコマでは中身も果物も花もぜんぶ茶色く変色し、「堕ちる」で終わる。
2枚目と3枚目は缶とグラスの順が入れ替わり、先にワインが出てくる。2枚目は赤で、文字は「ハズれた赤も」「こいつで」「目醒める(めざめる)」。1コマ目は色の抜けた薄い赤のグラスに、淡い色のすももと青い粒の房が添えられている。それが最後のコマでは濃い赤に染まり、果実からも果汁があふれている。ハズレを引いた赤ワインのほうは、むしろ生き返る側として描かれている。
3枚目は逆方向で、「高貴なワインも」「こいつで」「闇堕ち」。1コマ目はさくらんぼとピンクの薔薇が添えられた深い赤のグラス。最後のコマでは薔薇が黒ずんで散り、さくらんぼも潰れている。いいやつを開けてしまった場合は、そのまま落ちる。
つまり同じ「NOPEで割る」という一手が、ハズレには救済として効き、当たりには冒涜として効く。投稿者の言う「等しく台無しに美味しくする」はそういう意味で、格差が消えるという一点だけは平等らしい。缶の絵も細かくて、拡大するとSUNTORY、NOPE、ギルティ炭酸、無果汁、そして「99 魅惑のフルーツ&スパイス」まできちんと描き込まれている。
99種以上のフレーバーと五味、理由は中身のほうに書いてある
で、なぜ割ると別物になるのか。答えはメーカーのニュースリリースにそのまま載っている。
サントリー食品インターナショナルによると、NOPEは「完熟フルーツやスパイスなど、99種以上のフレーバーを掛け合わせ、複層的な香りや味わいを実現」した炭酸飲料で、「甘味・酸味だけでなく、苦味・旨味・塩味も配合し、五味をしっかり楽しめる中味設計にしました」とある。缶に大きく入っている「99」の数字は、この99種以上という設計をそのまま表したものだ。
ワインの持ち味は、ざっくり言えば果実味と酸と渋み。NOPEの側はそこに、果実の香りも酸も、さらに苦味と旨味と塩味まで持ち込んでくる。相手の土俵に同じ武器を全部持って上がってくるので、グラスの中でどちらが主導権を握るかは想像がつく。当たりだろうがハズレだろうが同じ味に着地する、というイラストの主張には理屈がある。
「闇堕ち」は、メーカーが狙った背徳感と噛み合っている
面白いのは、楽ワインさんが選んだ「闇堕ち」という言葉が、商品側の狙いとぴったり重なっていることだ。闇堕ちはもともと、アニメや漫画で善玉のキャラが悪の側に落ちることを指すネットの言い回しで、ワインの味の話に使う語ではない。
ところがリリースのリード文にはこう書いてある。「国内におけるストレス社会化が進行する中で、健康志向とは対極にある、後ろめたさを感じつつも、つい自分を甘やかしてしまう“ギルティ消費”に着目した、甘濃く“やみつき”になるおいしさの新炭酸飲料です」。パッケージについても、「“ギルティ炭酸”としての印象を確立すべく、背徳感や誘惑感を覚える『ブラック×マゼンタ』カラーを採用」と説明されている。
後ろめたさと背徳感を狙って設計された飲み物が、ワインを闇に引きずり込む役として描かれた。狙いどおりと言えば狙いどおりだ。なお、公式のリリースにワインで割る飲み方の案内は載っていないので、これはあくまで楽ワインさん個人の飲み方になる。投稿にPR表記も見当たらず、発売から半年近く経ってからの投稿でもある。商品の世界観はNOPEの公式ブランドサイトで見られる。
リプ欄は「冒涜」派と「それマヨネーズでは」派に割れた
返信は60件ほど。ワイン好きの側からは、まささん(@masadesu_777)の「ワインに対する冒涜や、ヨーロッパの人発狂するぞ」のように、やめてくれという方向の声が付いた。
一方で、イチゴカツウォヌスさん(@DQX_mayu_kawaii)の「よくわからないんですが、なんにでもマヨネーズをかけるのと何か違うんですか?」のように、そもそも何が問題なのか分からないという反応もある。仕組みのほうから説明する人もいて、鳳圭介さん(@maru9desuganani)は「NOPEはあらゆるお酒の苦手とされる部分(渋み、苦み等)を塗りつぶすように隠すから、あらゆるお酒に適性があるけどあらゆる酒を台無しにするんですよね」と書いている。どんな酒とも合ってしまう代わりに、その酒らしさは残らないという話だ。
味の話は結局そこに落ち着く。ハズレを飲み切るための手段と見るか、ワインをワインでなくす行為と見るかで、評価は分かれている。
見た目と味がズレる飲み物は前にも伸びている
見た目や色と味がズレているものが話題になるのは炭酸やお菓子の定番で、割ると青いチョコが出てくるのにソーダ味のコアラのマーチや、炭酸が入っていないのにシュワっと感じるクーリッシュのコーラフロートも同じ枠で伸びていた。NOPEの場合は、そのズレを他人(ワイン)に持ち込んだのが新しかったということになる。
同じサントリーの飲み物では、20年以上回り続けてきた地域唯一の自販機の話もあった。身近な飲み物ほど、意外な使われ方をした時の話題の伸び方がすごい。
試すなら、開けるのが惜しい一本ではないほうから。お酒なので、当然20歳になってからの話だ。