「おぼっちゃまくん」新作はインド発、旧作が現地で視聴率1位
『おぼっちゃまくん』の新作アニメが2027年にテレビ朝日系で放送される。始まりは日本ではなくインドだ。
旧作がインドのキッズチャンネルで大当たりし、現地から「続きが欲しい」と頼まれて動き出した企画になる。
35年ぶりの新作が決まった
10月1日の朝5時、公式Xが情報を解禁した。タイトルは『おぼっちゃまくん REBORN』。ハッシュタグは「#おぼりぼ」と「#カメバック」で、茶魔がカメに乗って帰ってくるビジュアルが付いている。
テレビ朝日の公式サイトによると、1992年に旧作の放送が終わって以来の新作で、全編が新しく作られる。中身は、まだアニメになっていない原作のエピソードと、原作者の小林よしのり氏が全面監修するオリジナルストーリーだ。
原作は1986年に『月刊コロコロコミック』で連載が始まり、1989年にテレ朝系でアニメ化された。第34回小学館漫画賞(児童向け部門)も取っている。2026年はちょうど連載40周年にあたる。
いまの10代や20代だと、名前は聞いたことがあっても本編は見たことがない人のほうが多いはず。親が子どものころに見ていた作品が、インド経由で戻ってくるという話だ。
なぜインドで新作なのか
答えは公式サイトに「インドから始まった!」という見出しでそのまま書いてある。
2021年のコロナ禍にインドで旧作アニメシリーズ『おぼっちゃまくん』が放送され、年間52週のうち40週でキッズチャンネル視聴率1位を獲得し、爆発的大ヒットを記録!
1年のうち4分の3以上の週で1位、という数字だ。放送したのはソニー系のキッズチャンネル「Sony YAY!」。
海外アニメ業界誌のWorld Screenには、もう少し細かい経緯が載っている。Sony YAY!側の担当者によると、2020年のコロナ禍で番組を外から調達する必要があり、そこで買ったのが旧作だった。
最初に買ったのは52話分。それが当たって、1年もたたないうちに全3シーズン156話を買い足した。そして話数を使い切ったところで、テレビ朝日に「続編を作れないか」と持ちかけたという。
つまり、インドの子どもたちが旧作を全部見終わってしまったのが新作の出発点になる。原作者の小林氏も2025年6月のブログで「どらえもん」も「鬼滅の刃」も抑えて№1になった、と書いていた。こちらは本人の言い分として読んでおきたい。
アニメを作っているのはインドのスタジオ
新作は日本とインドの合作だ。公式サイトのスタッフ欄はこうなっている。
制作のGreen Gold Animationはインドのアニメスタジオで、制作協力にはSony YAY!を持つSony Pictures Networks Indiaが入っている。旧作を作ったシンエイ動画も協力に名を連ねる。
アニメ業界ニュースのAWNによると、脚本と基本設定を日本で作り、アニメーションはすべてインドで制作する分担になっている。全26話の構成だ。
日本より先に海外でお披露目済み
実はこの新シリーズ、日本で発表される前に一度お披露目されている。2024年10月21日、フランス・カンヌの国際見本市MIPCOMで第1話が上映された。
当時の計画では、翌2025年にSony YAY!でインド全土に放送する予定だった。小林氏も2025年6月のブログに、こう書いている。
インドではこの夏からテレビ放映されるが、日本人は見られないんだ。
インドで実際にいつ放送が始まったかまでは、今回確認できなかった。カンヌでの上映から日本での発表まで、ほぼ2年。そのあいだ新作は海外向けの作品だったことになる。2027年の地上波で、ようやく日本に逆輸入される。
茶魔の声は神代知衣が続投
主人公・御坊茶魔の声は、1989年の旧作から担当してきた神代知衣(こうじろちえ)がそのまま続投する。公式サイトには本人のコメントも載っていた。
ぽっくん帰ってきたぶぁい!みんなで見てクリクリ!
同時に公開されたティザーPVでは、ヘリで島に向かい、洞窟を抜け、屋敷の扉が開いて茶魔が登場する。第一声は「ごぶさタンゴ」で、締めは「おはヨーグルト」。茶魔語も健在だ。
原作者の事務所スタッフも、解禁当日のブログで「インドから火が付いて話が進み」と経緯を振り返っている。
昭和の作品が続々と新作に
2027年は昭和の名作の新作アニメが重なる年になりそうだ。フジテレビでは『こち亀』の新作も控えている(アニメ「新こち亀」2027年放送のキャスト)。
ただ、海外で先にヒットして、その国のスタジオが作った続編が日本に戻ってくる流れはかなり珍しい。茶魔語を知らない世代がどう受け取るのか、放送が始まったら見比べてみてほしい。