アニメ「新こち亀」2027年放送、両津勘吉の声は落合福嗣。大原部長役は活動弁士の坂本頼光
『こち亀』の新作アニメ『新こちら葛飾区亀有公園前派出所』のキャストが、9月5日の昼に一気に解禁された。両津勘吉の声は落合福嗣。公式Xの投稿は「情報解禁 1/4」から始まる連投で、派出所の4人の名前とPVを一気に並べていた。
派出所の4人と監督が同時に出た
このプロジェクトが動いていること自体は、2025年12月20日に公式Xが「#こち亀 連載開始50周年記念 新アニメプロジェクト始動!!」とティザービジュアルを出した時点で分かっていた。ただ、そのときに判明していたのはアニメーション制作がぎゃろっぷ、というスタッフ1行だけ。そこから8か月あまり、8月29日に「新キャスト発表会 〜始動!令和こち亀大作戦〜」の生配信が予告され、9月5日にまとめて答え合わせが来た格好になる。
発表されたのは両津、中川、麗子、大原部長の4人。原作でもアニメでも公園前派出所の出番が多いのはこの4人なので、まず看板から埋めた並びだ。同時に集英社の「ジャンプチャンネル」で96秒のキャラクターPVが公開され、ここで4人の声が初めて出た。
大原部長役の坂本頼光は、本業が無声映画の弁士
このキャスト表でいちばん引っかかるのが大原大次郎役の坂本頼光だと思う。1979年生まれで、職業は活動弁士。無声映画に合わせて語りと声色を全部ひとりで付ける、あの弁士だ。2000年に東京キネマ倶楽部で正式デビューして、『鞍馬天狗』などレパートリーは120作品ほど。2004年ごろからは自分でアニメを描き起こして自分で活弁を付ける「自作活弁アニメ」も作っている。
つまり「1本のフィルムに何人ぶんもの声を当てる」のが元の仕事の人が、派出所の上司に収まったことになる。本人のコメントも、うまい下手ではなく時代のズレの話が出てくるのが面白い。
部長の年齢は五十代半ばくらいですが、今の五十代とは良い意味で違うと思っていたし。
原作が始まったのは1970年代なので、当時の五十代と2027年の五十代では立ち居振る舞いがそもそも違う。そこをどう寄せるかで悩んだ、という話で、最終的には他の出演者と一緒に録るときのライブ感に賭けるしかない、と覚悟したとも書いている。ファンへのメッセージのほうでは「これ程の原作なので、叶うなら平成版のように、長く続いて欲しいと願っています。」とも書いている。
両津役の落合福嗣は、はじめて読んだ漫画が『こち亀』
両津勘吉役の落合福嗣は1987年生まれの声優で、青二プロダクション所属。2019年の第13回声優アワードで新人男優賞を受けていて、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のレイモンド・ケイン役などで名前を見た人もいるはず。日刊スポーツは「父は元中日監督の落合博満氏」、スポニチアネックスは「落合博満氏長男」と、父親の名前を見出しに入れていた。
役が決まったときのコメントがこれ。
子供の頃に読んだはじめての漫画が『こち亀』でした。
しかもこの役、指名ではなくオーディションで決まっている。落合本人もM・A・Oも、公式サイトのコメントで「オーディションに受かった」「オーディションの結果を伺ったとき」と書いていて、両津も含めて選考にかけたことが読み取れる。ファンへのメッセージは「こち亀50周年をみなさんと盛り上げていけたら嬉しいです!」だった。
中川は蒼井翔太、麗子はM・A・O
中川圭一役の蒼井翔太は福井市出身の声優・歌手で、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズの美風藍、『ダイヤのA』の東条秀明など。大財閥の御曹司という設定の中川に、歌のステージも持っている人が入った形だ。本人のコメントは「正直、驚きが隠せなかった瞬間もありましたが、とても嬉しく光栄です。」で、驚いたのは本人も同じらしい。
秋本麗子役のM・A・Oは、本名の市道真央名義で『海賊戦隊ゴーカイジャー』のルカ・ミルフィ/ゴーカイイエローを演じていた人。特撮から声優に軸足を移して、いまは名義を使い分けている。麗子役のコメントは、小さい頃から原作もアニメも慣れ親しんだ作品だったので、オーディションの結果を聞いたときは本当に嬉しかった、という内容だった。
監督は大地丙太郎、昭和テイストのギャグは今回もたくさん
監督の大地丙太郎は1956年生まれ、群馬県高崎市の出身。『おじゃる丸』『ギャグマンガ日和』『浦安鉄筋家族』『こどものおもちゃ』と、テンポの速いギャグを回してきた人だ。制作も前作と同じぎゃろっぷが続投する。
令和のアニメとして作り直すとなると、気になるのは古いギャグをどこまで残すのか。監督のコメントはそこにまっすぐ答えている。
作中では相変わらず昭和テイストが強いギャグもたくさんあり……そこは「任せてください!」という気持ちで、スタッフー同楽しみながら作っています。
昭和のノリを薄めるのではなく、そのまま持っていくらしい。前のTVシリーズは1996年6月から2004年12月までフジテレビの日曜19時枠で放送されていて、その後は2016年9月に『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE FINAL 両津勘吉最後の日』が放送されている。オリコンなどは今回を「10年ぶり新作アニメ」と書いていた。
両津じゃなく寺井だと思っていた、というツッコミも
PVが出たあとのXは、期待と戸惑いが同じくらい流れていた。
まず笑ったのがこれで、「間違いなく寺井だと思っていた落合福嗣くんがまさかの両さんとは」という声。寺井(丸井)は原作の初期から出ている派出所の同僚で、前のアニメではレギュラーだったキャラだ。声のイメージから脇のポジションを予想していた人は少なくなかったらしい。
「昔は『あの落合選手の息子』として、テレビのバラエティ番組でおなじみだった福嗣くんが、堂々とした大看板背負った座長じゃないかね」という感慨もあった。一方で、1996年からのTVアニメの両津の声で育った人からは「PV見ただけじゃ違和感がある」「頑張ってほしい」といった声も出ていて、そこはまだ割れている。声だけ先に出た状態なので、判断は本編待ちという人が多い印象だ。
スタッフ側への反応で目立ったのは「ぎゃろっぷ続投で監督が大地さんというのは真っ当過ぎて逆に意外」というもの。制作会社ごと変えてくると思っていた、という読みだ。「大地丙太郎の名前は久しぶりに見た気がする」と、『こどものおもちゃ』や『十兵衛ちゃん』を挙げて懐かしがる人もいた。
原作者は「派出所メンバーが帰ってきた」
原作の秋本治のコメントは、絵柄の話から始まっている。
絵は今風に進化しつつも、相変わらずのインパクトのある映像で面白いですね、今度はどんな事件が起こるのかとワクワクしてます。
このあとに、両さん、中川、麗子、部長たちの声を聞いて、変わらず賑やかな派出所メンバーが帰ってきたと自分も楽しい気持ちになる、と続く。作った本人が新しい声を聞いて「帰ってきた」と言っているのは、この手の発表では強い。
放送は2027年、フジテレビと各プラットフォームでの配信。何月からなのか、何話やるのかはまだ公式が出していないので、続報はアニメの公式サイトを見ておくのがいい。キャスト陣と監督のコメント全文は公式のコメントページにまとまっている。
旧作IPの新作アニメつながりでは、『魔法騎士レイアース』の新作TVアニメも動いている。周年で当時の関係者が反応する型としては、仮面ライダーフォーゼの15周年の話も近い。