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「ラクガキ王国2」の開発者は22年ぶんの企画書の末に、個人で作り始めていた

自分で描いた落書きがそのまま動いて戦う、というPS2のゲームがあった。「ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国2 魔王城の戦い」の発売日は2004年9月22日なので、2026年9月22日でちょうど22年になる。

その日の夜、この「2」でプランナーを務めた丹沢悠一さんが、Xに長めの投稿をした。書き出しは22周年の報告なのだが、読み進めると途中から話が変わっていく。

「3」の企画書だけが22年ぶん積み上がっていた

投稿によると、丹沢さんはこの22年で「ラクガキ王国3」の企画書を無数に作ってきたという。ただ、そのどれも製品にはなっていない。惜しいところまで進んだことは何度かあったものの「最後の最後で力が及ばず」、22年たったいまも「3」は世に出ていない、と本人が書いている。

そこから先が、周年の挨拶ではなくなる。「人生であと何本ゲームを作れるのだろうと思ったとき、この戦い方では埒が明かない」。22年ぶんの企画書に対する答えがこれだった。

きっかけは2026年初頭に増えたインディーの友達

企画がひとつ頓挫して悶々としていた2026年の初め、丹沢さんはゲーム制作の学生やインディー界隈の友達が増えたそうだ。長く企業でゲームを作ってきた人にとって、ゲームは企画書を作ってプレゼンして予算を確保してメンバーを集めてから始まるもので、その順番を疑う機会がない。でもインディーの人たちはお構いなしに作っている。そこで気づかされたのが「うだうだ言ってないで作ればいいんだ」という一行だった。

そんなわけで、と続けて書かれていたのがこれだ。

「僕は今、ラクガキ王国的な何かを作り始めています」

最終的にどうするかは「まだ何も決めていません」とのこと。自分だけで楽しむのもいいし、面白がってくれる友達にだけ配るのもいい、寿命が尽きたら無料配信してくれと遺言に書いてエンドレスに作り続けるのも悪くない、と選択肢が並べてある。そのうえで「少なくとも、僕のPCで今、ラクガキが動いています。最高に楽しい。」と書いてあるので、手元では実際に動いているらしい。

念のため書いておくと、これは「ラクガキ王国3」の発売発表ではない。「ラクガキ王国」はタイトーのタイトルで、丹沢さんはすでにその会社にいない。個人が自分のPCでラクガキを動かしている、という段階の話だ。

シリーズは2021年のスマホ版が9か月で終わっている

ここが効いてくるのは、シリーズの直近が短かったからだと思う。

初代は自分の描いたラクガキが戦ってくれるゲームで、「2」は描いたラクガキに自分が変身して冒険する「ラクガキ変身アクションゲーム」に変わっている。そこから16年あいて、2021年1月28日にスマホ向けの「ラクガキ キングダム」が配信された。サービス終了は同年11月2日なので、9か月ちょっとで畳まれた計算になる。

タイトーが「17年ぶりのプロジェクト」と呼んだこの新作が動き出したとき、公式アカウントがおもしろい面子を明かしている。初代「ラクガキ王国」の開発チームには「東方Project」のZUNさんがいて、「ラクガキ王国2」には丹沢さんがいた、という話だ。

CMに衝撃を受けてタイトーに入った人だった

丹沢さんの経歴をたどると、順番がちょっと不思議なことになっている。

千葉大の法学科を出て、大学時代は空手部。ゲーム会社を志望したきっかけは映画館で見た「ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国」のCMだった、とWikipediaには書かれている。初代の発売は2002年3月20日で、丹沢さんのタイトー入社が2002年。つまり初代のCMに殴られて入社し、2年半後の続編を作る側に回ったことになる。黒帯ゲームズの経歴ページでは「ラクガキ王国2 魔王城の戦い」での担当が「企画(モーション/レベルデザイン/エネミー)/イベント司会/攻略本ディレクション」と並んでいて、攻略本まで面倒を見ていたらしい。

その後は2010年にスクウェア・エニックスへ転籍して「ロード オブ ヴァーミリオン III」や「星と翼のパラドクス」のプロデューサーを務め、2021年1月末で退社。2023年5月1日に合同会社黒帯ゲームズを立ち上げている。

「Switch2買う」までフライングしている人もいた

投稿はいいねが4,700件を超えた。並んでいるのは「ラクガキ王国3遊びたすぎる…。」のような直球の希望と、「ラクガキ王国2は本当にめっちゃ大好きなゲームだからリメイクを心待ちにしてるんだ……3が出てくれても嬉しい」といった注文だ。まだ何も決まっていない段階なのに「ラクガキ王国がでるならマジでSwitch2買う」とハードの話まで進んでいる人もいて、気が早い。

初代のころからの話も出てきた。「『ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国』の収録ラクガキ募集に応募して、採用していただいたのが懐かしい思い出。」という人がいれば、「ラクガキ王国2本当に大好きで今でもソフトを大切に保管しています(PS2本体の方が壊れてしまったので遊べませんが…)」という人もいる。ソフトが手元にあっても本体が先に寿命を迎えるあたりが、22年という長さらしい。

同じPS2時代の作品が現行機で復活する動きは、「エストポリス伝記」I&IIのSwitch2・PS5復活や「サイキックフォース2012」の復刻のように今も続いている。ただ今回はその手の復刻や移植の発表ではなくて、当時の作り手が会社を離れたあと、自分のPCでラクガキを動かしているというだけの話だ。だからこそ22年ぶんの企画書が効いている気もする。

続報が出るかどうかも含めて、本人が「温かく見守っていただけたら嬉しいです」と書いているので、しばらくは丹沢さんのポストを追いかけておくのがよさそうだ。

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