風鈴寺「正寿院」秘仏の胎内に巻物95枚、中身は観音の印と墨書き
京都の正寿院が、修復中の御本尊の中から巻物95枚が出てきたと発表した。94枚には観音の姿の印、残る1枚は墨で書かれた文書だった。
発表したのは寺の公式Xで、10月9日のお昼すぎ。冒頭に【重大発表】と付いた投稿には、約8.1万のいいねが付いている。
仏像のお腹に巻物の束
寺の発表文はこうだ。
このたび、当院御本尊である「十一面観世音菩薩」の修復作業が進められる中、仏像の胎内より、計95枚の経巻(巻物)が発見されました。
添えられた写真は3枚ある。1枚目は、頭部を外した仏像の胴の空洞に、巻かれた紙の束がぎっしり収まっている様子。
2枚目は取り出した巻物のアップで、紐で結ばれた紙の外側に、蓮の台に立つ観音さまが縦にずらっと並んで刷られている。3枚目は十一面観音の頭部を横から撮ったもので、頭の上に小さな顔が並んでいるのが分かる。
普段は扉の奥にいる仏さまの「中身」まで見られるのは、修復のタイミングくらいしかない。
94枚に護られた1枚
内訳は94枚と1枚に分かれる。寺の言葉を借りるとこうなる。
そのうち94枚には観音様のお姿を表す印が記されており、まるでそれらに護られるかのように、残る1枚からは墨書きの文書が確認されました。
観音の印が入った94枚と、文字の書かれた1枚。寺はこの1枚を、94枚に「護られるかのように」と表している。実際に束の中でどう並んでいたかまでは書かれていないが、誰が何を書いたのかは、いちばん気になるところだと思う。
ただ、その中身はまだ発表されていない。寺は続く投稿で「今後の調査進展を温かく見守っていただけましたら幸いです。」と書いていて、いまは調査の途中になる。
50年に一度しか開かない秘仏
この十一面観音は、ふだん拝めない秘仏として知られている。寺のサイトには「本尊十一面観音は50年に1度だけ扉が開く秘仏といわれ」とある。
その扉が開いたのが2025年だった。旅行サイトのトレたびによると、特別開扉は2025年4月1日から11月30日まで。終わったあとは、2026年から1年ほどかけて仏師が修復する予定だと紹介されていた。
今回の発見は、その修復の最中に出てきたものになる。50年ぶりに表に出て、そのまま修理に入ったら、お腹の中から巻物が出てきたという流れだ。
鎌倉時代の観音さま
正寿院は京都府綴喜郡宇治田原町にある寺で、1200(正治2)年の建立と伝わる。
本尊の十一面観世音は町指定の文化財で、鎌倉時代後期の作といわれる。寺には快慶作の不動明王坐像(重要文化財)もある。
「風鈴寺」の名前で知ってる人も
正寿院と聞いてピンと来なくても、「風鈴寺」なら見たことがある人は多いと思う。
毎年6月1日から9月30日まで風鈴まつりをやっていて、2,000個を超える風鈴が境内に吊るされる。ハート形の猪目窓(いのめまど)や、160枚の天井画でも知られている。
夏に風鈴とハートの窓を撮りに行った寺の、奥にいた仏さまの中から巻物が出てきた。そう聞くと、急に身近な話に見えてくる。
1枚の文書を待つ
いま分かっているのは、95枚という数と、94枚と1枚の分かれ方までだ。墨書きの文書に何が書かれているのか、いつ納められたものなのかは、寺の続報を待つしかない。
お寺や旅の情報は正寿院の公式サイト、秘仏の開扉と修復の予定はトレたびの紹介記事にまとまっている。「印仏」の詳しい説明はコトバンクの「印仏」で読める。
続報が出たら、この記事にも書き足していく。