刀剣乱舞「キングパチパチ」は太刀「八八王」説、作者は鳴狐と同じ国吉
新刀剣男士の名前は、まだ公式から出ていない。ファンが有力視しているのは、粟田口国吉が作った太刀「八八王」だ。
11月6日の18時、『刀剣乱舞』の公式 @tkrb_ht が新しい刀剣男士のビジュアルを一部だけ出した。公式の言い方は「先行してビジュアルの一部のみ公開いたします!」で、実装時期も未発表のまま。
見えているのは口元から胸元まで。ピンクと金の髪に毛皮、襟には金の王冠がある。いいねは4万5000を超えた。
公式は9月にも口元から下だけを見せるチラ見せをやっている。ただ、あのときの髪は黒に青で、今回はピンクと金。別の男士と見てよさそうだ。
キングパチパチの候補は実在の太刀
発端は10月だ。10月13日から期間限定鍛刀に出た粟田口派の短刀、朝倉藤四郎の内番セリフに、こんなのがある。
「はあ、はあ、キングパチパチは、もっと先に行ってるんだ」
@icotan は10月15日に、これは誰なのかと聞いている。予想は「蹴鞠の偉い人」か、スポーツの偉人をキングと呼ぶ流れか、の2択だった。どちらも外れの可能性が高い。
その後にファンの間で有力になった候補が、太刀の「八八王」だ。読みは「ぱちぱちおう」で、「やつはちおう(やっぱちおう)」という別の読みもある。
名前だけ見れば、確かにキングパチパチと言えなくもない。蹴鞠の線から太刀まで、よくたどり着いたものだ。
兜を割ったから八八王
名前の由来は、『難太平記』にある。名刀幻想辞典が引いている原文では、こう書かれている。
「それより此太刀を八々王と名付け給ひしなり。八を二つ重ねたる故なりと仰せられしが」
きっかけは1336年、今川範国が伊勢国の愛曽という大力の者と戦ったことだ。範国はこの太刀で、相手の兜の鉢と半首を真っ二つに切った。それで八八王と名付けたと伝わる。
八を二つ重ねる理由は、原文の先を読んでも解説がない。そこは想像で埋めず、割った結果の名前だと受け取っておくのがよさそうだ。
名刀幻想辞典は、1434年の記録にも触れている。弟の範勝が持っていた太刀を、室町幕府が間に入って、嫡男の範忠へ返させたというものだ。
『満済日記』には「ヤヽ王」とあり、辞典は恐らく八八王のことだと推定している。幕府が仲介して取り返させる太刀は、もう実質的に家宝だ。
公開の19日前から予想は出ていた
公式が一部を出す前から、台詞に出てきた名前を実在の刀と見て予想を立てていた人がいる。@pear_grace が10月18日に出した、台詞に名前が出た未実装の刀剣男士のリストだ。
綾小路行光、瀬登太刀、埋忠明寿と並んで、「八八王(キングパチパチ)←朝倉藤四郎」が入っている。朝倉藤四郎の鍛刀が始まってから5日後のことだ。
公式の画像が出る前に名前が挙がっていたのだから、少なくともこの予想は後付けではない。当たっていれば、先読み勢の勝ちだ。
王冠と丸章が根拠になった
画像が出てからは、見た目を根拠に八八王と読む人が増えた。@fushiusagi の投稿は、その根拠を項目ごとに並べている。
投稿の中身を分けると、次の4つだ。
- 丸に二つ引両の紋が、今川家の家紋と重なる
- 紋の中の六角形の並びが、朝倉藤四郎と揃いのサッカーボール
- 襟の王冠が、キングの意味でキングパチパチにつながる
- 紺に金ラインのジャケットが、粟田口の太刀と共通
画像で確かめられるのは、襟の金の王冠と、肩の金の丸章だ。丸章にはサッカーボール状の模様と横線が2本入っていて、朝倉藤四郎の胸の紋も丸の中にサッカーボール状の模様がある。
二つ引両については、引両紋を用いた足利氏一門に今川氏も挙がっているので、筋は通る。紺に金ラインが粟田口の太刀と共通だという点は投稿者の見立てで、こちらでは裏が取れていない。
それでも、サッカーボールと王冠が同じ画面にあるせいで、キングパチパチの説明が1枚の画像に全部入っているように見える。
同じ国吉作、鳴狐の兄弟かは別
八八王の作者は、粟田口国吉だ。刀剣乱舞の鳴狐も同じ粟田口国吉の作で、鳴狐は鎌倉時代の打刀、重要文化財として東京国立博物館が持っている。銘は「左兵衛尉藤原国吉」だ。
ここから出た言葉が、ファンの間の「鳴狐の兄弟」だ。公式がそう呼んだわけではなく、刀工が同じだという事実から生まれた呼び方になる。
@inukoiruka も、鳴狐の兄弟だったらどうしようと盛り上がりながら、「多分違う」と留保している。理由は「粟田口カラーじゃないし…?」だ。さっきの @fushiusagi は紺に金ラインを粟田口の太刀と共通と読んでいたので、同じ1枚を見て粟田口かどうかから割れている。
自分で盛り上がった説に、自分でブレーキを踏んでいる。いちばん冷静に楽しんでいるのは、この人かもしれない。
二王派の予想も出ている
八八王以外の予想も出ている。@sugi7tuku4 は、八八王のほかに、周防国の二王派の誰かを挙げている。
初代の清綱が候補で、大穴に金剛兵衛盛高の名前もある。最後は「見当がつきません」で、しっかり結ばれている。
確定したのは、公式がビジュアルの一部を出したことだけだ。名前も、実装時期も、まだ分からない。
「蹴鞠の偉い人」という予想は外れそうだが、八八王が正解なら、持ち主は駿河今川氏の初代だ。偉い人の線は、意外と遠くなかった。