高校生の「バクテリアで作った紙」、気になる味の答えは「無味無臭」
高校生のみぃあんちさん(@miea_pc)が公開した「バクテリアで作った紙」の動画が、14万いいねを超えました。味を聞かれた本人の答えは「無味無臭」です。
投稿は10月5日の夕方5時すぎ。手元だけを映した19秒ほどの動画で、黄緑がかった半透明のシートを持ち上げて、ぐにっと曲げて見せています。
海苔みたいなのに鶴が折れる
本人の説明によると、この紙は生産するときに環境への負荷が一切かからない素材として研究していたものです。
見た目は海苔そっくりですが、しなやかで鶴も折れます。しかも食べられるので、食品の包装に使う予定だったそうです。使い終わったら自然に分解される、というところまでが本人の設計でした。
投稿の最後は「企業様、お話だけでも…」。高校生が自分から企業に声をかけています。
味の答えは無味無臭
食べられる紙と聞けば、誰だって味が気になります。実際に質問が多かったようで、本人がまとめて答えています。
答えは「無味無臭」。本人はこれを弱点ではなく、食品と合わせたときに食感以外は何も邪魔しない、という利点として説明しています。
包み紙ごと食べるお菓子を想像すると分かりやすいです。包装に味があったら、中身の味が変わってしまいます。味がしないこと自体が、食品包装としては大事な性能なんですね。
特許を勧める声と費用の壁
返信欄で多かったのが「特許を取ったほうがいい」という声です。本人もそれを受けて調べてみたそうです。
結果は「高校生に捻出できる金額じゃなくてびっくり」。クラウドファンディングを勧める声も出ましたが、本人はまだ特許を取れるか確証がないとして、慎重な姿勢です。
やるとしても、一度窓口に相談したうえで、両親の許可が取れたら考えたいとのこと。お金の話はかなり慎重にいかなければいけない、とも書いています。
バクテリアが作る紙の仲間
本人は、どんなバクテリアを使ったのか、どう作ったのかは明かしていません。なのでここからは一般論として、バクテリアが作る「紙」状の素材の話をします。
この分野の代表選手が、バクテリアセルロースです。身近なところでいうと、ナタデココがそれにあたります。
北海道大学の科学コミュニケーション記事「ナタデココは微生物が作ったセルロース」によると、ナタデココはココナツ水に酢酸菌の一種を加えて発酵させて作ります。「ナタ」は薄い皮膜、「ココ」はココナツの意味で、その皮膜こそが微生物の作ったセルロースです。
セルロースは紙の主成分でもあります。日本応用糖質科学会の解説「微生物がつくるナノセルロース」には、「ナタデココはセルロースでできています。つまり、紙と同じなんですよ」と説明すると驚かれる、という話が出てきます。
繊維はパルプよりずっと細いのに、乾かすとアルミ並みに強く、薄くしても破れにくいそうです。海苔みたいに薄いのに鶴が折れる、という動画の様子と重ねると、なんとなく納得がいきます。
ちなみに、セルロースを作る遺伝子を持つ微生物自体は多いものの、目に見える量まで作れるのは酢酸菌などの一部に限られます。ナタデココそのものについてはWikipediaのナタデココの項目も参考になります。
文系で、研究は趣味
いちばん驚いたのは、日付が変わった深夜に本人が追加で書いた一言でした。
一応言っておくと僕は文系です
この研究に関しては本当に趣味ですね…
授業の課題ではなく、趣味でここまで作り込んでいたということです。
ナタデココを食べるとき、あの白いかたまりが紙と同じ物質だと思い出すと、ちょっと見え方が変わります。動画が気になった人は、本人の続報も追ってみてください。