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「1時間弱」は何分、正解は“1時間より少し短い”

「1時間弱」は1時間より少し短い時間のことだ。55分くらいと思っていれば辞書どおりになる。

ところが、これを「1時間ちょっと」の意味で使っている人がけっこういる。NHK放送文化研究所の調査では、10代の34%がそっちの説明を正しいと答えていた。

「55分くらいの事だよね?」に7万いいね

発端は10月4日の夕方の投稿だ。車屋さんのロックさん(@tensaaaaai)が、急に自分の日本語に自信をなくした。

翌日の夜には7万4,000いいねを超え、返信も700件を超えた。

ここで先に答えを書いておくと、ロックさんは合っている。「55分くらいの事」は辞書どおりの使い方で、「1時間5分」のほうが本来の意味とは逆になる。

それでも本人が「オレ間違えて使ってた?」と不安になるくらい、周りでは逆の意味が通っているらしい。

辞書の「弱」はやや少ない

国語辞典の説明ははっきりしている。NHK放送文化研究所が引いている『例解新国語辞典(第九版)』では、「〜弱」はこう書かれている。

数量を表すことばにつけて、それよりやや少ないことを表す。[用例]徒歩で一時間弱かかる。

つまり「1時間弱」は60分にちょっと足りない時間だ。同じ理屈でいけば「1時間強」は60分をちょっと超える時間になる。弱が下、強が上と覚えておけばいい。

10代は3人に1人が逆

この言葉の受け取り方を、NHK放送文化研究所が2016年2月〜3月にウェブアンケートで調べている。回答は744人。

選択肢は2つあった。

  • A「1時間弱」は1時間より少し長い時間、「1時間強」は1時間よりもかなり長い時間
  • B「1時間弱」は1時間未満、「1時間強」は1時間以上

辞書の定義に沿っているのはBのほうだ。全体ではBを支持した人が78%で、Aを支持した人は12%にとどまった。

ただ、年代別に分けると景色が変わる。

10代では3人に1人が「1時間弱は1時間ちょっと」の側だった。40代以上は1割に届かないので、親世代と子世代でかなりはっきり分かれている。

辞書どおりのBを選んだ人も、10代は53%、20代は59%と6割を切っていた。60代以上は86%だ。

バイト先でも割れていた

今回の投稿の返信にも、職場でこの話になった人がいた(@Yatsumi_Hako さん)。

今日バイトちゃんたちとこの話題になって ほとんどのスタッフが1時間弱のこと 「1時間と数分」って認識しててのけぞったわ

辞書どおり派の声はシンプルだ(@mahuyu さん)。

1時間弱は55分くらいやろ。1時間10分は1時間強やんけ

NHK放送文化研究所も、仕事のすれ違いの例を書いている。部下が「あと1時間弱でできあがります」と言ったのに、60分たっても終わらない。上司は50分くらいのつもりで、部下は1時間以上のつもりだった、という話だ。

そのうえで、文研はこう釘を刺している。

頼まれた仕事が予定通りに仕上がらなかったときの言い訳として悪用するのは、やめてください。

公的な研究所のページで、この一文はちょっと笑う。

定期的に話題になる言葉

この話はたまに浮上しては、そのたびに割れている。NHK放送文化研究所の公式Xも、2025年7月にこの調査を引っぱり出していた。

「○時10分前」の言い方が話題になったタイミングで、「1時間弱」も一緒に取り上げている。時間の言い方は、世代でずれやすいらしい。

震度のほうは計測震度計で自動で決まるので、聞き手によって数字がぶれることはない。時間の「弱」は、言う側と聞く側で前後が逆になることがある。

待ち合わせで「1時間弱で着く」と言われたら、何分のつもりか一度聞き返しておくと安全だ。あなたは何分だと思っていただろう。

言葉の受け取り方が割れた話は、ほかにも「赤魚」の読み方や「ご遠慮ください」の意味で書いている。色の言い方なら「青信号」がなぜ青なのかの話もある。

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