「ちいかわ かるた」は3巻特装版の付録、「あ」の札の正体はキメラ
「もったいなくて1回も使ってないけど、そういえばと思い出して見てみたらインパクトありすぎて笑っちゃった」。9月21日の14時18分に投稿された1枚の写真が伸びている。写っているのは、フタを開けた「ちいかわ」のかるたの箱。上の段にピンク枠の絵札、下の段に青枠の読み札が2枚ずつのぞいていて、その読み札の「あ」が「あはっ あはっ こんなに なっちゃった…」だった。
投稿は同じ日の夜までに4,200いいねを超え、表示は22万回を超えている。もう1枚の「の」は「呪(のろ)われ ちゃったのかな?」。箱に同梱されている説明カードには「かるたで遊びながら、ちいかわの名場面が楽しめるかるたです。」と書いてある。名場面。その一言から想像するものと、実際に一番上に来ていた2枚の距離がなかなか遠い。
4年前にも同じところから開いた人がいた
この現象、初めて起きたわけではない。かるたが世に出た2022年3月にも同じ2枚が最初に出てきた人がいて、ねとらぼが「開けた瞬間こわくて泣ける」と話題として記事にしている。当時そこに並んだ声も「開封一発目から不安なちいかわかるた」「事前情報無しで開けたらなかなかインパクトあって草」「ちいかわかるた、開けて1番上がこれなの闇が深い」といったもので、今回とほぼ同じ反応だ。
箱の詰め方の都合で、たまたまこの2枚が上に来る。4年たっても未開封のまま置いていた人が開けて、また同じ順番で驚いている、というのが今回の話になる。
単体では売っていない、3巻の特装版に付いてくる
「ちいかわ かるた」で検索すると商品ページがずらっと出てくるが、この名場面のかるたは単体商品ではない。講談社が出している『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(3)なんか楽しくて遊べるかるた付き特装版』の付録だ。著者はナガノ、発売は2022年3月23日、定価2,970円(本体2,700円)。
中身のマンガは通常版と同じで、違いはかるたが付くかどうか。同じ日に出た通常版もA5・128ページで、あらすじの文面も「大反響の『小さな友達』編を完全収録&描き下ろしも満載」で揃っている。違うのは値段のほうで、通常版1,210円に対して特装版は2,970円。差額の1,760円がかるた代ということになる。講談社の内容紹介にも「名場面を集めたスペシャルかるた付き!」とある。
枚数は駿河屋の商品解説にあるセット内容が一番細かくて、カード92枚の内訳が読み札・絵札の各46枚。講談社の商品ページに枚数の記載はないが、発売告知でちいかわコミック公式が「『あ』から『ん』まで」と書いているので、ひらがな46文字ぶんで計算が合う。
中身が分かっている読み札は8枚だけ
では46枚に何が書いてあるのか。これを一覧にしたページが、探してもほとんど見当たらない。現時点で文言をそのまま確認できるのは、2022年の発売告知でちいかわコミック公式が出したサンプル画像の6枚と、今回の開封写真に写っていた2枚の、合わせて8枚になる。
| かな | 読み札 | 出どころ |
|---|---|---|
| あ | あはっ あはっ こんなに なっちゃった… | 今回の開封写真 |
| な | なんとかなれッ | 公式のサンプル画像 |
| ね | ねねね チャリメラ 食(た)べる? | 公式のサンプル画像 |
| の | 呪(のろ)われ ちゃったのかな? | 今回の開封写真 |
| ふ | フゥン? | 公式のサンプル画像 |
| や | ヤーッ!! | 公式のサンプル画像 |
| よ | 喜(よろこ)びがない~… | 公式のサンプル画像 |
| わ | ワワーッ!! | 公式のサンプル画像 |
残りの38枚は公開されていないので、持っている人の手元にしか無い。範囲だけは分かっていて、説明カードの右下に小さく「※内容はちいかわ①②③巻収録のものです。」と入っている。つまり46枚は全部、単行本1〜3巻の中から選ばれている。ただ、この8枚を並べるだけでも「不穏な札ばかりのかるた」ではないことは分かる。「ねねね チャリメラ 食(た)べる?」も「ヤーッ!!」も、原作を読んでいれば声と顔がすぐ浮かぶ側の札だ。箱の一番上が「あ」と「の」だっただけ、という話でもある。
「あ」をしゃべっているのはキメラ
「あはっ あはっ こんなに なっちゃった…」の主は、単行本1巻の29ページに出てくるキメラだ。Wikipediaの登場キャラクター一覧の記述だと、見た目は「基本的にはちいかわに似ているが、体色はピンク色で昆虫のような4枚の羽と爬虫類のような太い尻尾が生えている」。
何かから変化してしまったらしく、「こんなになっちゃった…たはは」「なっちゃったからにはもう…ネ…」と涙を流しながら両手の爪を伸ばしてちいかわに襲いかかる。ちいかわが「ヤダーッ」と必死に反撃すると「ひー こわいこわい」と言って退散していく。ちいかわの世界に出てくる似た枠との線引きは、擬態型・キメラ・友好型の違いのほうで整理してある。
もう1枚の「の」は『杖』編(1巻90ページ)。うさぎがリサイクルショップで買ってきた不思議な杖を使い、ハチワレは欲しかったカメラを出して大喜びする。ところがそのカメラは撮ったものを消してしまう代物で、さらにハチワレとうさぎの身に変化が起き、二人は巨大な怪物になってしまう。開封写真に写っている「の」の絵札にも、全身が真っ赤に染まった長い耳のうさぎと、その下で泣き顔になっているちいかわ、右にハチワレ、そして右下に小さくカメラのアイコンが描かれている。
選んだ基準は「忘れられない名言」
そもそも、なぜこういう2枚がかるたに入っているのか。その答えは発売の3か月前に、作った側が自分で書いていた。2021年12月、3巻の担当編集が特装版の付録はかるたであることを先出しした投稿で、こう説明している。
「たくさんある忘れられない『名言』から抜粋しました。」「実際に遊ぶのはもちろん、札を眺めているだけでも楽しいです。皆さんの心に残っている言葉は入っているかな?」。基準が「かわいい場面」ではなく「忘れられない名言」なら、キメラも『杖』編も当然入る。むしろ入っていないほうがおかしい。ちいかわで記憶に焼き付く場面を挙げていって、ほのぼの側だけで46枚そろうかというと、たぶんそろわない。
そういう意味では、かるたのほうが原作に忠実だったという話になる。ちいかわ構文「〜ってコト!?」みたいに日常語として広まったフレーズもあれば、開けた瞬間に固まるほうのセリフもある。両方まとめて名言として扱われている。
「ちいかわ かるた」はもう1種類ある
ややこしいのが、同じ名前で別の商品が存在すること。KADOKAWAが2024年10月23日に出した『ちいかわ あいうえおかるた』で、価格は1,760円(本体1,600円+税)。こちらは「オリジナルのリズミカルな文を楽しみながら、『あ』から『ん』までの文字や言葉に親しむことができる」という知育寄りの商品で、原作のセリフを札にしたものではない。枚数はセブンネットの仕様によると絵札・読み札が各46枚に予備札が各4枚。
つまり、単体で普通に買えるかるたはKADOKAWA版、名場面が入っているのは講談社の3巻特装版、という住み分けになっている。「ちいかわ かるた」で検索して先に出てきたほうを買うと、目当てのものと違うことがあるので注意したい。
特装版は2022年の本なので、今から手に入れるなら在庫を置いている店を探す形になる。すでに持っている人は、箱の一番上に何が来ていたか確かめてみてほしい。残りの38枚が何なのかは、手元にある人がいちばん詳しい。かるた繋がりだと、ネット用語を札にしたミームかるたのブラウザゲームもあって、こっちは「ぬるぽ」に「ガッ」で返す遊びになっている。