「ドッジ弾平」の墓はライバル二階堂大河が建てたもの、公式は死亡と明言していない
アニメ「炎の闘球女 ドッジ弾子」が、9月21日深夜の第12話「炎の決着!最終決戦!」で最終回を迎えた。ドッジボールへの憎しみを燃料に戦うブラックアーマーズのキャプテン・御堂蘭と、主人公・一撃弾子の決着がつく回だ。公式のキャラクター紹介によると、蘭は旧作で弾平と戦った御堂嵐の娘にあたる。
で、放送が終わった直後に検索され出したのが、主人公ではなく主人公の父親のほうだった。「ドッジ弾平」がリアルタイム検索の急上昇に入り、一緒に打たれていたのが「ドッジ弾平 死因」と「ドッジ弾平 死亡」。最終回に出てきたあの父ちゃん、そもそも死んでるの?という疑問である。
先に答えを書いておくと、アニメ公式サイトのどこにも弾平が死んだとは書かれていない。
闘久寺の巨大な墓石は、ライバルが厚意で建てたもの
公式サイトのCHARACTERページにある一撃弾平の紹介文は、こうなっている。
弾子の父親で、かつて球川小学校闘球部に現れ、不屈の魂で伝説を築き上げた“炎の闘球児“ 。弾子の生き様は、彼の「どんな時も全力でいけ!!」という教えから大きな影響を受けている。親友の珍念が住職を務める闘久寺には、ライバルである二階堂大河の厚意で、弾平の名を刻んだ巨大な墓石がそびえ立っている。
墓石はある。しかも巨大で、闘久寺という寺にそびえ立っている。ここまで書かれたら普通は死んだと読む。
ただ、公式が書いているのは「二階堂大河の厚意で建てられた」というところまでで、いつ死んだとも、なぜ死んだとも書いていない。二階堂大河は弾平の最大のライバルだった男で、その娘が聖アローズ学院闘球部のリーダー・二階堂平子。弾子に「永遠のライバル」と執着している、あのご令嬢の父である。ライバルの家が墓を建てたという事実だけが置かれていて、肝心の生死には一行も触れていない。
一撃家には「生きてるのに墓がある」前例がある
そもそも一撃家では、墓は生死の証明にならない。前例が一つ上の世代にある。
1991年のアニメ「炎の闘球児 ドッジ弾平」で、主人公の弾平が特訓相手にしていたのが、父・一撃弾十郎の墓石だった。弾十郎は炎のシュートを編み出した伝説の闘球戦士で、弾平が生まれて間もない頃に旅へ出ている。その際に家族へ「死んだものだと思ってくれ」と言い残し、決意の証として自分の墓を自分で建ててから出て行った。だから弾平は父が生きていることを知らないまま、父の墓を的にしてボールを投げ続けていた。
この設定を知っていると、弾子世代の巨大な墓石の見え方が変わる。一撃家の墓は、当人がぴんぴんしていても建つ。
念のため公式サイトの他のキャラクター紹介も見てみると、弾子の祖母・一撃はるかの説明は「夫の弾十郎がいなくなってからは、女手ひとつで息子の弾平をたくましく育て上げた」という書き方だ。ここでも死んだとは書かず、「いなくなってから」で止めてある。書き手が意図的に濁しているのが分かる部分だと思う。
最終回の弾平は、公式あらすじでは「幻影」
では最終回の弾平は何だったのか。放送に先立って公開された第12話のあらすじには、こう書かれている。
だが、深い闇のなかで父・弾平の幻影に励まされ、再び心に火をつけた弾子は、祖父・弾十郎の代から一撃家に伝わる超必殺技“炎のシュート”を放つ!
公式の言葉は「幻影」。蘭のシュートを受けてその胸の内にある絶望を感じ取った弾子が、深い闇のなかで父に励まされて立ち上がる、という流れになっている。生きている弾平が助けに来た、とは書かれていない。
一方で、実際に画面を見た視聴者の受け取りは割れた。「声だけでなくじいちゃん(CV:玄田哲章)と共に墓を割って出て来る父(イメージ)w」と、あくまでイメージ映像として面白がる人もいれば、本当に生きてたのでは、と受け取る人もいる。演出としては墓を割って出てくるので、そりゃ検索もされる。
視聴者からは声優の指摘も出ていた。「一撃弾十郎(声・玄田哲章)と御堂嵐(声・中原茂)の声は前作からの続投なのも熱いです」というもので、どちらも1991年版で同じ役を担当していた顔ぶれにあたる。ただし公式サイトのCHARACTERページに並ぶキャスト一覧に、この2人の表記は見当たらない。現時点では視聴者側の指摘として置いておくのが正確なところ。
娘の必殺技は「墓石(ハカイ)トルネード」
ちなみに、この作品が墓ネタを抱えているのは最終回に限った話ではない。弾子の必殺技の名前がこれである。
闘球にかけては父親ゆずりの不屈の闘志と才能をもっており、必殺技の“墓石(ハカイ)トルネード”は、堅固な墓石をも穿つ破壊力を誇る。
墓石と書いてハカイ。父の名が刻まれた巨大な墓石が実家近くにそびえている少女の必殺技が、墓石を砕く技。第1話の時点でこの名前が置かれていた以上、最終回の展開は仕込み済みだったと見るほうが自然だろう。
声優まわりも世代がつながっている。現在の弾平役は小西克幸だが、幼少期の弾平とナレーションを担当しているのは日髙のり子で、1991年版で弾平を演じていた本人だ。さらに弾子の母・一撃みさと役も日髙のり子が兼ねている。公式サイトに載っている校長役・新井里美のコメントが、その現場の空気を伝えている。
そして今。声優として伝説のアニメに出演。スタジオで日高のり子さんの弾平を目の当たりにし、子供の頃の興奮が蘇ってきました。
旧作で弾平の親友・小仏珍念を演じたのは野沢雅子で、今作では成長した珍念を稲田徹が担当している。最終回の放送後、その稲田徹本人が投稿したのがこれ。
アニメの続きは原作6巻から
なお、12話で終わったのは物語そのものではない。公式アカウントは最終回の夜に「アニメの続きは【原作コミックス6巻】から読めます!」と案内している。最終回にちらっと映った謎のママ軍団についても、原作側で話が続いていく。週刊コロコロコミックの連載ページで最新話が読める。
昔の作品が続編や新作で戻ってくる流れは他にもあって、城平京の「ヴァンパイア十字界」が19年ぶりに新連載を始めたり、NHKの名作アニメ10本が第1話だけYouTubeで無料公開されたりしている。当時のドッジボールブームを体験していない世代が、娘の代から入って父の代を検索する。今回の「ドッジ弾平 死因」もその動きで、公式が出している答えは「巨大な墓はライバルが建てた」までしかない。続きが気になるなら原作を追うしかなさそうだ。