井の頭自然文化園に7年ぶりのフェネック誕生、その名も「ラテ」。41gが50日で10倍に育った砂漠のキツネ
ぴんと立った大きな耳に、つぶらな瞳。砂漠にすむ世界最小級のキツネ「フェネック」の赤ちゃんが、東京・武蔵野の井の頭自然文化園で誕生した。同園でフェネックの繁殖が成功したのは7年ぶり。2026年4月29日に生まれた小さな命が、飼育員たちの手で懸命に育てられ、すくすくと大きくなっている。
41.2gが、50日で10倍の448gに
誕生直後、この赤ちゃんには試練が待っていた。母親が関心を示さず、自力での子育てが難しいと判断されたため、生後数時間で人工哺育に切り替えられたのだ。生まれた時の体重は、たったの41.2g。手のひらにちょこんと乗るほどの、ほんの小さな存在だった。
そこからは、飼育員たちの奮闘の日々。数時間おきに交代でミルクを与え続けたが、これまで使っていた哺乳瓶の乳首が製造終了になってしまい、代わりの乳首の穴の大きさを試行錯誤で調整する、といった細かな苦労も重なったという。それでも赤ちゃんは順調に育ち、生後36日で約308g、そして生後50日には448gと、生まれた時の10倍以上に。1日9回だったミルクは、いまは1日3回の離乳食へと変わった。愛称は「ラテ」に決まっている。
“ナウシカのテト”似、砂漠を生きる大きな耳のわけ
フェネックといえば、体に不釣り合いなほど大きな耳。この耳、実はかわいいだけの飾りではなく、体の熱を逃がすラジエーターの役割を果たしている。アフリカ北部からアラビア半島の砂漠地帯という、昼は灼熱の環境を生き抜くための進化だ。イヌ科の中でも最小級で、体重は成獣でも1〜1.5kgほどしかない。
その愛らしい見た目から、フェネックは映画『風の谷のナウシカ』に登場するナウシカの相棒「テト」(キツネリス)のモデル説でも知られる。アニメの中から飛び出してきたような存在が、身近な動物園で見られるというのはうれしい。
会える日が楽しみ
ラテは現在、来園者の前に出るための“公開に向けた訓練”を進めている段階。本来フェネックは群れで暮らす動物なので、園では今後、ほかの仲間たちと一緒に過ごせるようになることも目指しているという。手のひらサイズから始まった小さな命が、大きな耳をぴんと立てて元気に走り回る姿を、多くの人が見られる日が待ち遠しい。成長の様子は井の頭自然文化園の公式X(@InokashiraZoo)でも「#すくすくフェネック」として発信されている。