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パンチくんが変えたサル山に、今度はエアコンが付いた。市川市動植物園「サポーターからのプレゼント」で猛暑対策が完成

2026年7月14日 ・ トレンド「市川市動植物園 パンチくん サル山 エアコン」より

一頭の子ザルが世界を沸かせ、その熱がめぐりめぐって、サル山のエアコンになった。2026年7月10日、千葉県の市川市動植物園の公式Xが、こんな報告を投稿した。「本日、サル山バックヤードのエアコンの設置が概ね完了し、使用できるようになりました。サポーターの皆さんからのプレゼント、きっとサル達も喜んでいると思います!」。“ぬいぐるみがお母さん”の子ザルとして世界中の注目を集めた、あのパンチくんがいる園である。

貼られていたのは、56頭のニホンザルが暮らす岩山「サル山」を見渡した一枚。どこにパンチがいるか探す「#パンチをさがせ」の遊びも添えられていた。何気ない設備投資のようでいて、この一報には、この半年で園に起きたことのすべてが詰まっている。

そもそも「パンチくん」とは

パンチは、2025年7月26日にこの園で生まれたニホンザルのオス。名前は『ルパン三世』の作者・モンキー・パンチにちなんで付けられた。ただ、その生い立ちは平坦ではなかった。母ザルが初産だったことに加え、生まれた夏の酷暑で母親の体力が落ちてしまい、育児をしなくなってしまったのだ。そのため誕生の翌日から、飼育員2名が哺乳瓶でミルクを与える人工哺育で育てられることになった。

母親のいない子ザルに、飼育員は“母代わり”になるものをいろいろ試した。パンチが選んだのは、IKEA(イケア)の「ジュンゲルスコグ」シリーズのオランウータンのぬいぐるみ。彼はそれを片時も離さず、ぎゅっと抱きしめて眠るようになった。いつしかその相棒は「オランまま」と呼ばれ、園のアイドルの象徴になった。

2月のバズが、ホワイトハウスまで届いた

転機は2026年2月5日。園の公式Xがパンチの生い立ちと、ぬいぐるみをぎゅっと抱く姿を投稿すると、それが国内外で爆発的に拡散した。「#がんばれパンチ」「#HangInTherePunch」のハッシュタグは、フランス語・イタリア語・スペイン語・トルコ語・ロシア語……と各国語のコメントで埋め尽くされた。

その熱狂ぶりは尋常ではなかった。TikTokやInstagramでの関連動画は合計3000万回超も再生され、Googleで「パンチくん」と検索するとイラストが画面に降ってくる遊び心まで仕込まれた。極めつけは、アメリカのホワイトハウス公式Xまでが「一般教書演説2026 BINGO」のネタに「Special Guest: Monkey Punch」と載せたこと。生みの親の“モンキー・パンチ”とかけた、粋な世界デビューだった。ぬいぐるみを提供したIKEAは、後にぬいぐるみ33体を園に寄贈している。

人が動けば、数字も動く。もともと1日数百人規模だった来園者は、平日で3000人、休日は8000人超に。2026年3月の月間来園者数は約9万人(前年同月は約2万4000人)と、前年比およそ4倍を記録した。4月も約6万5000人(前年比約3倍)と、ブームは一過性では終わらなかった。園の担当者は「『キュートな姿を見たい』から『成長を応援したい』へ、来園者の視点が変わってきている」と分析している。

そして今度は、「暑さ」からサルたちを守る番

ここで冒頭のエアコンの話に戻る。思い返せば、パンチの物語のそもそもの発端は、「夏の酷暑で母ザルが育児をできなくなった」ことだった。暑さが一頭の子ザルの運命を変え、その子ザルが世界中の心を動かし、集まった注目と支援が今度は、暑さそのものからサル山の仲間たちを守る設備になって返ってきた。市議会でもサル山の環境改善に向けた補正予算が可決されており、サポーターの後押しと合わせて、バックヤードのエアコン設置が実現した形だ。

エアコンが入ったのは、サルたちが夜を過ごしたり暑さをしのいだりする「バックヤード」。真夏の日中、涼しい部屋で休めるかどうかは、動物たちにとって死活問題でもある。「サポーターの皆さんからのプレゼント、きっとサル達も喜んでいると思います」という園の言葉には、この半年の出来事への感謝がにじむ。

ネットの反応

エアコン完成の報告には、「快適に過ごせそう」「パンチだけじゃなく群れ全体が涼しくなるのがいい」「推しが世界を良くしていく」といった声が並んだ。一頭の赤ちゃんザルへの“推し活”が、めぐりめぐって56頭が暮らす岩山の夏を涼しくしたのだから、たしかに悪くない連鎖だ。夏本番はこれから。エアコンの効いたバックヤードで、パンチくんと仲間たちが今年の猛暑を涼しく乗り切ってくれることを願いたい。

パンチくんの成長や園の最新情報は、市川市動植物園の公式サイト「パンチ」に関する園の声明ページでも発信されている。