湖池屋「金のポテト」はポテチじゃない、買えるのは1都6県だけ
湖池屋が「金のポテト」という新ブランドを9月21日に出す。ポテトチップスの会社が出す金色のポテト、と聞くと高級ポテチを想像するけれど、中身はポテトチップスではない。じゃがいもを潰して棒状に固めた、いわゆる成形ポテトスティックだ。しかも、発売初日にコンビニで買えるのは1都6県の人だけになっている。
公式Xが出したのは、CMのイメージキャラクターが相葉雅紀さんと藤﨑ゆみあさんに決まったという発表だ。ただ、商品のほうを調べていくと、湖池屋がこれを出すまでに10年かかったという話が出てくる。
ポテトチップスではなく「成形ポテトスティック」
日清食品グループが出した9月17日のニュースリリースによると、「金のポテト」の正式な肩書きは「国産じゃがいも100%マッシュのプレミアム成形ポテトスティック」。成形ポテトというのは、じゃがいもを一度フレークや粉末、マッシュ状にしてから型に入れて、同じ形・同じ大きさに整えて作るスナックのことだ。
ポテトスナックはざっくり2種類ある。生のじゃがいもをスライスやスティック状に切って揚げるものと、一度粉やマッシュにしてから固めて揚げるもの。前者が湖池屋のいつものポテトチップスで、後者が今回の「金のポテト」にあたる。箱や筒に入って売られているポテトスナックは、だいたい後者だと思っておくと近い。
味は「やみつき塩」と「王道のり塩」の2種類。やみつき塩は国産じゃがいもの濃い旨みと揚げたてポテトの香ばしさを塩のバランスで立てたもので、王道のり塩は青のりとあおさ、焼きのりの風味にキレのある塩と唐辛子を合わせている。内容量はどちらも46gで、価格はオープン価格、参考小売価格は198円前後(税抜き)だ。
最初に買えるのは1都6県のコンビニだけ
ここが今回いちばん引っかかるところで、9月21日の発売は全国一斉ではない。コンビニ先行で並ぶのは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県の1都6県。2週間後の10月5日にスーパーマーケットなど一般のお店にも降りてくるが、そちらも同じ1都6県だ。
つまり、関西や東海、九州のコンビニをいくら回っても現時点では出てこない。湖池屋オンラインショップで数量限定の取り扱いがあるので、エリア外の人が試す道はそこだけになる。テレビCMは流れているのに、自分の地域の棚には無い。そういう状態がしばらく続くことになる。
容器も普通のカップではない。コンビニのホットスナックを思わせる新形状で、開けたあとに蓋を閉じられる簡易リクローズが付く。地味に効いているのが賞味期限で、一般的なカップ型スナックが4〜6ヶ月なのに対して、「金のポテト」は10ヶ月を確保したという。カバンに入れっぱなしにしても平気そうな安心感がある。
真空で揚げると焦げない、という理屈
この商品のキモは「真空揚げたて製法」という製法(特許出願中)で、ポイントは3つある。熱々にふかした国産100%の生じゃがいもを時間をかけて丁寧にマッシュし、真空下で加熱して水分を程よく抜いて芋の濃さを上げ、最後に真空下でじっくりフライする。
なぜ真空なのか。PR TIMES STORY に載った開発ストーリーで、湖池屋のR&D本部イノベーション開発部 部長の武島建悟さんが理屈を説明している。生のじゃがいもは水分が80%近くあるので、そのままでは生地にならず、芋以外の素材を混ぜるしかない。そこを真空にすると低い温度でも水が抜けるので、じゃがいもの水分だけを飛ばして味を濃くできる、というのが真空濃縮の発想だ。
揚げるほうも同じ原理で、気圧が下がると沸点が下がる。高い山の山頂だと80度くらいでお湯が沸くのと同じ話で、真空なら低い温度で揚げられるから、厚みのある棒状の生地をじっくり揚げても焦げない。ただし「金のポテト」では揚げ温度をやや高めに振っているそうで、理由はフライドポテトらしい香ばしさ(メイラード感)を出すため。真空フライは本来、野菜チップスのように焦がしたくない食材で使う技術なので、わざと逆の使い方をしていることになる。
この芋感を出す調理法にたどり着くまでに、3、4年かかったという。乾燥ポテトパウダーを使えば成形は簡単なのに、国産の生じゃがいもにこだわったせいで遠回りになった、というのが湖池屋らしいところだ。
調査で競合に勝てない時期があった、10年目の悲願
開発ストーリーを読むと、湖池屋がこの市場に長く入れなかった事情もはっきり書いてある。箱や筒、カップに入ったポテトスナックの市場は競合メーカーの成形ポテト商品がほぼ押さえていて、ある主力ブランドは箱筒カップ市場で50%近く、カップ市場に限れば90%近いシェアを持つのだという。ブランド名までは書かれていない。
その牙城に向けて試作を重ねる過程では、調査対象のユーザー全員に「あっちのほうが美味しい」と言われた時期もあったと、湖池屋マーケティング部の中島桃子さんが振り返っている。何度もショックを受けて帰宅した、という話まで載っている。最終的には競合商品のユーザーだけを対象にした比較調査で、男女・年齢・食べる頻度のどのクラスタでも「金のポテト」が上回るスコアが出たそうだ。
湖池屋が新生・湖池屋としてリブランディングしたのが2016年で、翌2017年に「湖池屋プライドポテト」を出してプレミアムポテトチップスというカテゴリーを作った。このリブランディングと同時に社長へ就任した佐藤章さんも、会長の小池孝さんも「いつかは湖池屋も箱筒カップ商品を」と構想していて、そこから10年。今回は「大人も満足できるプレミアム成形ポテトスティック」という新カテゴリーを作りにいく、という位置づけになっている。
CMは相葉雅紀さんと藤﨑ゆみあさんの「バンド」篇
公式チャンネルでは、相葉雅紀さんと藤﨑ゆみあさんが出演する「バンド」篇のCMが公開されている。成形ポテトスティックと言われてもピンとこない人は、発売前にこちらで雰囲気だけ見ておくのもいい。
湖池屋といえば夏に通常の5倍辛い「めっちゃカラムーチョ 夏のやみつきファイヤー」をコンビニ先行で出していて、あのときも「コンビニには有るのにスーパーに無い」という時間差があった。今回はさらに一段きつく、そもそもエリアで区切られている。1都6県に住んでいる人は、9月21日からコンビニの棚を見てみてほしい。見慣れない形の容器が並んでいたら、それが構想10年のほうだ。