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「交渉人真下正義」犯人の正体は明かされず、理由は『交渉人2』のため

『交渉人 真下正義』の犯人は、最後まで正体が明かされない。制作側は2005年の時点で、続編『交渉人2』のために取っておくと話していた。

9月26日の夜、フジテレビ系「土曜プレミアム」でこの映画が放送された。新作『踊る大捜査線 N.E.W.』の公開記念で、シリーズ全8作とSPドラマ1作を一挙に流す企画の第6弾にあたる。

観終わって「交渉人真下正義 犯人 正体」と打ち込んだ人は多いと思う。エンドロールまで観ても、あの声の主が誰だったのか分からないまま終わるからだ。先に言っておくと、検索しても答えは出てこない。

犯人は最後まで名乗らない

犯人は「弾丸ライナー」を名乗り、東京トランスポーテーションレールウェイ(TTR)の試験車両、通称「クモ」を乗っ取る。地下鉄のダイヤを人質に取ったような状態で、真下正義(ユースケ・サンタマリア)に交渉相手として電話をかけてくる。

やりとりは最後まで電話越しで、犯人の顔は画面に出てこない。暴走は止まるのに、犯人が誰なのかは宙に浮いたまま映画が終わる。

声紋の主はもう他界していた

劇中では、犯人の声を分析すると、8年前に警察へいたずら電話をかけた羽田裕一という男の声紋と一致する流れになる。羽田はTTRのシステムを請け負った下請け会社の元社員だったとされる。

ところが、その羽田は交通事故ですでに他界している。声は一致するのに本人はいない。結局、犯人の身元も生死も分からないまま物語は閉じる。

ネットに「犯人 考察」の記事がたくさんあるのは、このせいだ。羽田は本当にいなくなっていたのか、声を真似た別人なのか、協力者がいたのか。どれも作中では答えが出ていないので、推理はいくらでも立つ。

明かさないのは『交渉人2』のため

答えを出さなかった理由は、制作側がはっきり言っている。公開から約1か月後の2005年6月12日、お台場のシネマメディアージュで開かれた特別舞台挨拶でのことだ。東宝によると、観客動員が前日に240万人を突破した記念の回だった。

このとき、同じ年に公開を控えていた室井慎次の主演スピンオフとのつながりを聞かれている。交渉人の犯人は室井慎次の映画で分かるのでは、という噂があったらしく、亀山千広プロデューサーはそれをきっぱり否定した。東宝の当時のページに書き起こしが残っていて、理由はこう書かれている。

そうでないと「交渉人2」が作れませんから(会場拍手)。

つまり犯人の正体は、うっかり描き忘れたわけではない。続編で使うネタとして、わざと取っておかれた。

同じ舞台挨拶で亀山Pは、続編の構想まで話していた。

構想では真下と雪乃の結婚式から始めたいと思っています。そして、新婚旅行中の2人が狙われる展開を考えてます(笑)。

地下鉄の次は飛行機、という案まで出ていて、会場は爆笑だったらしい。

その『2』は作られなかった

ここがオチで、『交渉人2』はその後作られていない。犯人の正体を明かすはずだった続編が出ないまま、21年が経った。

弾丸ライナーの正体は、公式には今も未回収のままということになる。検索しても答えが見つからないのは、答えがどこにも書かれていないからだ。

21年後の真下は警視監

一方、真下本人は出世を続けている。9月18日に公開された『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』では、真下正義は警察庁長官官房審議官補佐で、階級は警視監。演じるのは引き続きユースケ・サンタマリアだ。

さらに息子の真下勇気が管理官(警視)として出てきて、こちらは増田貴久が演じている。交渉人のころの真下を知っていると、息子がいる時点でけっこうな時間の流れを感じる。

ただ、『N.E.W.』が弾丸ライナーの一件に触れているかどうかは確認できていない。新作を観に行くなら、そこを気にしながら観るのも一つの楽しみ方だと思う。

新作の周辺では、すみれさんが庇った少女を演じた向井地美音の話もちょっとした話題になっていた。

観直すと気づく小ネタ

今回が初見だった人のために、知っておくと2回目が楽しくなる話をいくつか。

まず、湾岸署ではなく交渉人を主役にしたスピンオフが、興行収入42.0億円を稼いでいる。映連の2005年のデータでは、同じ年に公開された室井慎次の主演作は38.3億円で、真下のほうが上だった。

地上波では2006年の初放送のあと、2007年と2012年にも流れている。今回はそれ以来の放送だった。

犯人がヒントのように持ち出してくる作品にも元ネタがある。

  • 映画『ジャガーノート』
  • 映画『オデッサ・ファイル』
  • 映画『愛と哀しみのボレロ』
  • 小説『深夜プラスワン』
  • 作曲家のフランシス・レイとミシェル・ルグラン

古い映画や小説、映画音楽ばかりで、犯人の趣味をうかがわせる材料になっている。正体の手がかりとして考察に使う人もいる。

もうひとつ、寺島進が演じる木島丈一郎はこの映画が初登場だ。あの木島刑事は、同じ年の12月10日にSPドラマ『逃亡者 木島丈一郎』で主役まで張っている。放送当日には寺島進本人も告知していた。

本人いわく「踊るシリーズで #木島丈一郎 がデビューした作品でもありやす」とのこと。語尾まで木島のままだった。

結局、犯人は誰なのか

作中の答えは「分からない」で、制作側の答えは「続編まで取っておく」。そしてその続編はまだ無い。今のところ出せる答えはこれで全部になる。

表記は「交渉人 真下正義」と間に空白が入るのが正式だが、検索では「交渉人真下正義」と詰めて打っても同じ作品が出てくる。考察を読みあさるなら、声紋の場面と、犯人が映画の題名を口にする場面を観直してから読むと話が早い。

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