← 一覧へ 暮らし

サケの代わりに「マヒマヒ」大漁、正体は和名「シイラ」

釣り上げられて海面から跳ね上がる、黄緑色に黒い斑点のあるシイラ(マヒマヒ)
画像: 海面を跳ねる黄緑色に輝くシイラ(マヒマヒ)(CC BY-SA 4.0 / Galomalavasi, via Wikimedia Commons)。当サイトで縮小・切り抜きをしています。改変後の画像も同じ CC BY-SA 4.0 で提供します

「マヒマヒ」の正体は、日本でいう「シイラ」。北海道斜里町のサケ漁の網に、サケより多くかかる日が出た。

10月15日朝、テレビ朝日の「グッド!モーニング」がこの話を伝えた。Yahoo!ニュースのトピックスにも「サケの代わりに『マヒマヒ』大漁」の見出しで載り、「マヒマヒ」はYahoo!リアルタイム検索の急上昇にも入った。

サケの網にシイラが入っていた

舞台は、日本有数のサケの水揚げで「サケ日本一の町」とも呼ばれる北海道斜里町。いまはサケ漁の最盛期だ。

ANNの報道によると、今年は記録的な不漁で、町の漁獲量は全体で去年の半分ほど。日によっては10分の1ほどまで落ち込んでいるという。

そのサケに代わって、定置網にたくさん入るようになったのがシイラだった。

動画で取材に答えたのは、第二十一北洋丸の伊藤正吉代表。12日の水揚げをこう振り返っている。

  • 「サケの量よりもシイラのほうが多い」

網を上げたら、主役のはずのサケより、黄緑色の魚のほうが多かったことになる。

マヒマヒはハワイでの呼び名

シイラはアジ目シイラ科の魚で、学名は Coryphaena hippurus。暖かい海の表層を泳ぎ、漢字では「鱪」や「鱰」と書く。

ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれ、高級魚として人気がある。ANNは「日本では安値で取引されています」とも伝えていた。同じ魚でも、ハワイと日本では扱いがだいぶ違う。

日本でも流通名として「マヒマヒ」が使われることがあり、ハワイ語で「強い強い」という意味だとされる。英語では Dolphinfish や、スペイン語由来の Dorado(黄金)で呼ばれる。

「マヒマヒ」といえば、クラゲの寄生虫の新しい和名にも入っている。気になる人はクラゲの寄生虫3種に新和名がついた記事もどうぞ。

そもそもサケが記録的に少ない

背景にあるのは、サケの減り方だ。

道立の研究機関である道総研(さけます・内水面水産試験場)が6月に出した資料では、2025年に北海道へ戻ってきた秋サケは686万尾で、前年の39%。平成以降では過去最低の水準だった。

そのうえで、2026年の来遊数を365万尾と予測している。

漁の数字も厳しい。北海道が10月6日に発表した速報値を北海道新聞が伝えたところでは、9月末までの道内の秋サケ漁獲量は、前年の同じ時期より34.1%少ない209万9111匹。共同通信によると、減少は4年連続で、比べられる1989年以降で最少だという。

9月の初めは好調だったのが、下旬から一気に伸びなくなったという。サケが少ない秋に、シイラの話題が出てきたことになる。

フグも大量、海水温が背景か

ANNによると、14日の漁では大量のフグも網に入った。ニュースでは、海水温の上昇が一因とみられると伝えている。

なお「一因とみられる」という段階で、原因がはっきり分かったわけではない。シイラもフグも暖かい海の魚だが、海水温との関係を断定できる材料は、いまのところ報道にはない。

伊藤代表は、サケが減るなかで代わりになる魚の可能性に触れている。

  • 「サケが減っていますから、それに代わる魚が何かあれば売り上げをカバーできるのかな」

サケの不漁を、別の魚でどこまで補えるのか。現場にとっては切実な話だ。

漁師さん本人のチャンネルにもシイラ

伊藤代表の船「第二十一北洋丸」は、YouTubeチャンネルも持っている。2022年10月には「シイラを捌いてみたら」というショート動画が上がっていた。

ただし、この動画のシイラがどこで獲れたものかは、動画の情報からは分からない。斜里の網に毎年入っているとまでは言えないので、今年の「サケより多い」が本当に珍しいのかどうかも、ここでは断言できない。

それでも、サケを待つ網に、ハワイなら高級魚の魚がサケより多く入った日があったのは確かだ。「マヒマヒ」という名前を見かけたら、あのシイラのことだと思い出してほしい。

出典:ANN(Yahoo!ニュース)/道総研「令和8年の秋サケの資源状況」/北海道新聞/第二十一北洋丸チャンネル/斜里町

広告