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恐山でヘルメットに袋、置き手紙の主の正体は「和歌山県民」

恐山の白い岩肌を背に、頭に白い布をかけられて立つお地蔵さま
画像: 恐山の荒れた岩肌に立つ、白い布を頭にかけられたお地蔵さま(CC BY-SA 3.0 / Japanexperterna, via Wikimedia Commons)。当サイトで縮小・切り抜きをしています。改変後の画像も同じ CC BY-SA 3.0 で提供します

青森県むつ市の恐山に、バイクで参拝した人がいます。駐車場に戻ってきたら、停めておいたバイクのヘルメットに白い半透明のビニール袋がすっぽりかぶせられていた。場所が場所なので、まず心臓に悪い。

投稿したのは、V-Strom1000 などに乗っているというライダーの「きったー」さん(@mk7_vu51)。9月14日のお昼すぎに上がったこの投稿は、そのまま桁違いに伸びました。1日経った時点で17万を超えるいいね、リポスト7,400、表示は1,140万回。ブックマークも3,900件ついています。

袋の中に入っていたのは、手書きのメモだった

タネ明かしは2枚目の写真にあります。くしゃくしゃになった白い袋の上に、小さな紙が黒いクリップで留めてある。罫線の入ったメモ用紙に、手書きでこう書かれていました。

中が濡れないように かぶせました。

道中お気をつけて。

   和歌山県民

つまり、霊の仕業でも寺の人の配慮でもなく、通りすがりの誰かが雨よけにかけていってくれたということです。しかも署名が本名でもハンドルネームでもなく「和歌山県民」。そこだけ抜き出すと県の広報かと思うような書き方なのに、やっていることはただの親切という落差が効いています。この投稿はTogetterにも「霊かと思いきや」という形でまとめられています。

「和歌山県民」という署名が、ちょっとできすぎている

恐山は日本三大霊山のひとつに数えられます。残りの2つが、滋賀県の比叡山と、和歌山県の高野山。下北ナビの恐山のページにもそう書かれています。

署名した人が高野山を意識していたのかどうかは本人にしか分かりませんし、単に「青森で和歌山ナンバーは目立つから県名だけにした」という話かもしれません。それでも、三大霊山のひとつから来た人がもうひとつの霊山でヘルメットに袋をかけていった、という構図になっているのは事実で、ここが多くの人に刺さった部分でもあります。

そもそも和歌山から恐山までは、本州をほぼ縦に端から端まで走る距離です。恐山へ上がる道路は冬のあいだ通行止めで、開山しているのは5月から10月まで。バイクで行けるシーズンが限られているぶん、この時期の駐車場には遠方ナンバーが集まります。

バイク乗りが他人のヘルメットに袋をかける理由

ヘルメットの内側は布と発泡スチロールです。外側は雨に強くても、開口部から中に水が入ると乾きにくいし、濡れたまま何十キロも走ることになります。頭に直接触れる装備なので、これはかなりつらい。だからミラーにかけておく袋を、雨が来そうなときに自分のヘルメットへかぶせておく人はいます。

今回はそれを、見ず知らずの他人のバイクに対してやっていったわけです。ご丁寧に、メモが飛ばないようクリップで袋に留めてある。持ち主が戻ってきて不安にならないように、という順番まで考えられている置き方です。

手書きのメモが人の行動を動かす話はこのサイトでも何度か扱っていて、店先の無断駐輪に不穏な手書きメモを貼ったら二度と置かれなくなった件や、「この量以下 冷蔵庫に戻さない」と麦茶にテプラを貼った件もありました。今回はその真逆で、圧のかけ方ではなく力の抜き方がうまい一枚です。

投稿主「こんな時代にお気遣いしてもらえたことに感動」

反響の大きさに、きったーさん本人も同じスレッドで反応しています。「なんかめっちゃバズってる。コメントはゆっくりみます。こんな時代にお気遣いしてもらえたことに感動。」と書いたうえで、神社仏閣を訪れると前後に不思議なことが起きる、今回もそうだった、という話を続けていました。このリプライにも3,300のいいねがついています。

リプライ欄も、犯人捜しというより和歌山県民をほめる方向に寄っています。「たぶん普通に良い人😀」と正体を推理する人もいれば、「そっと通りすがり和歌山県の株をあげて去っていく……」と県ごと持ち上げる人もいました。

一方で全員が同じ反応だったわけではなく、「見ず知らずの奴が勝手にバイクに触ってくるの怖くね」「優しさなのは分かるけど、自分がやられたら絶対いやです…」と、善意でも他人の車両に手を出されるのは抵抗がある、という書き込みも並んでいます。メモを添えるところまでやってようやく成立する親切、とも言えます。

投稿の写真では空は曇りで、雨が降る前だったのか降ったあとだったのかは分かりません。それでも、袋をかけた人が空を見て降ると踏んだことだけは確かです。

恐山に限らず、ツーリング先の駐車場でヘルメットに袋がかぶさっていたら、たぶんそれは霊ではありません。中にメモが入っていないか、先に確認してみてください。

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