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特別天然記念物ライチョウのひな、富山で一気に7羽ふ化。鳥は動かさず“精子と卵を運ぶ”3施設連携が国内初の快挙

2026年7月14日 ・ トレンド「ニホンライチョウ ふ化 富山市ファミリーパーク 7羽 2026」より

国の特別天然記念物で、絶滅の危機にある高山の鳥「ニホンライチョウ」。その小さなひなが、富山市ファミリーパークで一度に 7羽 もふ化しました。2024年以来、2年ぶりのうれしい成功です。しかもこの誕生、じつは 親鳥を1羽も移動させずに実現した“国内初”の連携プレーの成果でした。

7月6日から7日にかけて、7羽が続々

ファミリーパークの公式お知らせによると、1羽目のふ化を確認したのは2026年7月6日(月)の午前11時53分。そこから翌7日の午前11時24分までに、合わせて7羽が次々と殻を破りました。ふ化直後の体重は16.5〜19.5グラムと、ちょうど卵1個ぶんほどの小ささです。

性別はまだわからず、これから体つきの違いを見て判別していくとのこと。ふ化してからの2週間は特に体調を崩しやすいため、エサや飼育員の消毒といった衛生管理を徹底して見守る、という慎重な段階が続きます。

そもそも、なぜライチョウの繁殖は難しいのか

「7羽も生まれたなら順調では?」と思うところですが、ニホンライチョウは飼育下での繁殖がとても難しい鳥として知られます。野生では中部地方の高山帯にわずかに生息するだけの絶滅危惧種で、国内で飼育・繁殖に取り組む施設も数えるほど。だからこそ環境省と日本動物園水族館協会は、万一の野生絶滅に備えて動物園などで系統をつなぐ「生息域外保全」に取り組んでいます。

繁殖でとりわけ悩ましいのが、近親交配を避けることです。限られた個体数で世代を重ねると血が濃くなりやすく、遺伝的な多様性を保つには、離れた施設どうしでオスとメスを組み合わせる必要があります。とはいえ、ストレスに弱いライチョウを施設間で移動させるのは、鳥の負担が大きく、リスクも高い。ここが長年のジレンマでした。

タネ明かしは「鳥ではなく、精子と卵を運ぶ」

今回の快挙のポイントは、その発想の転換にあります。富山テレビの報道などによると、今回は 富山市ファミリーパーク・上野動物園・市立大町山岳博物館の3施設が連携。他施設のオスから採取した精液を使って人工授精を行い、受精卵をやりとりすることで、7羽のふ化にこぎ着けました。

内訳は、ファミリーパークのオスと上野動物園生まれのメスから生まれた6羽に、他施設のオスの精子を用いた人工授精由来の1羽。親鳥そのものを動かさず、遺伝子(精子)と卵のほうを移動させる。こうすれば、ライチョウにストレスをかけずに、離れた施設どうしの新しい血を掛け合わせられる、というわけです。3施設が連携してこの一連の流れでふ化まで到達したのは国内初とされ、ストレスの少ない繁殖への道を開いた点で大きな一歩と受け止められています。

生きものを運ぶ代わりに“可能性”を運ぶ。地味に聞こえて、じつは絶滅危惧種を未来へつなぐうえで効いてくる工夫です。

成鳥13羽の園で、次の主役たちへ

ファミリーパークでは今回のひなのほかにも、成鳥のニホンライチョウ13羽(オス5羽・メス8羽)を飼育しています。今回加わった7羽が無事に育てば、その分だけ系統の厚みが増すことになります。まずは、山場となる最初の2週間を元気に乗り越えてほしいところ。ふ化したてのひなが、代わりの親鳥(模型)によじ登って走り回る姿は、想像するだけでほほえましいものです。

“最速”でも“最強”でもない、雪山にひっそり暮らす小さな鳥。その一羽一羽の誕生を、これだけ手間をかけて支えている人たちがいる。富山から届いた夏の朗報に、素直に「へぇ、すごい」と言いたくなります。

※ふ化の経緯・羽数・「国内初」の評価は、富山市ファミリーパークおよび各報道の発表にもとづく情報です。最新の状況は公式サイトなどでご確認ください。