『老人Z』4Kリマスター、暴走する介護ベッドの正体は「Z-001号機」
1991年9月14日に公開されたアニメ映画『老人Z』が、4Kリマスター版になって劇場に戻ってくる。配給の東京テアトルが発表したのは2026年9月14日で、オリジナルの公開日からちょうど35年後の同じ日だ。上映はテアトル新宿とテアトル梅田で12月18日から1週間限定、そのあと2027年春に全国公開と告知されている。
35年前と同じ9月14日に告知が出た
発表は配給元の東京テアトル映画部の公式アカウントから。投稿には「大友克洋×江口寿史×北久保弘之」「平成初期 伝説の布陣で描かれた【AI×高齢化社会】」とあり、「いまや現実となったこのテーマ。心を持った暴走介護ベッドが再び覚醒する!」と続く。作品が作られた頃には近未来の設定だったAIと介護の話が、35年かけて普通の生活の話になってしまったわけで、復活のタイミングとしては分かりやすい。
今回のリマスターは、公開35周年記念であると同時に、東京テアトル創立80周年記念プロジェクトの第三弾特別企画という位置づけ。同じ80周年の流れでは、ファン投票で1位を取った『南極料理人』が4Kリマスターで11月13日から復活することも決まっていて、年末にかけて旧作の上映が続く形になる。
暴走する介護ベッド「Z-001号機」の中身
タイトルの「Z」が指しているのが、作中に出てくる全自動介護ベッドだ。名前は「Z-001号機」で、超小型原子炉と最新コンピューターを積んでいる。寝かせたまま食事も入浴も排泄も面倒を見てくれるベッド、という時点でだいぶ攻めた発明なのに、そこに原子炉まで載っている。
物語は、このZ-001号機のモニター第1号に選ばれた老人・高沢と、彼を担当していた看護学生の晴子を軸に進む。晴子が高沢をベッドから助け出そうとするうちに、ベッドのほうが暴走を始めてしまう。介護される側の人間を守ろうとしたら、介護する機械が意思を持って動き出すという構図で、人間と機械のどちらが主役なのか分からなくなっていくところが本作の見どころになっている。
大友克洋・江口寿史・北久保弘之という布陣
スタッフの並びも今見るとなかなかのものだ。原作・脚本・メカニックデザインが大友克洋さん、キャラクター原案が江口寿史さん、監督が北久保弘之さん。音楽は板倉文さんと小川美潮さん、美術監督は佐々木洋さんが担当している。さらに『パプリカ』『千年女優』の今敏さんが美術設定として関わっていたとされる。1991年といえば『AKIRA』の劇場公開から3年後で、大友さんがメカのデザインまで自分で引き受けている点も含めて、当時の勢いがそのまま入っている一本になっている。
声の出演は松村彦次郎さん、横山智佐さん、小川真司さん、近石真介さん、辻谷耕史さん。詳しいスタッフとキャストはamass の記事やシネマトゥデイの記事にまとまっていて、作品自体の背景はWikipediaの『老人Z』の項目でも追える。
特報映像は制作当時のまま解禁された
告知と一緒に、特報映像も出ている。公式によると「制作当時に解禁された『#老人Z』特報映像も、当時のまま解禁!」とのことで、新しく作り直したものではない。「テキストの羅列のみで構成された、時代を感じさせる特報映像」と自分たちで書いているとおり、映像は文字がひたすら出てくる作りになっている。
今の予告編のように名場面を並べて煽る作りとは真逆で、文字が淡々と流れていくだけ。35年前の劇場でこれを観た人が本編にどんな絵を想像したのか、と考えながら見ると、それだけで結構おもしろい。
テアトル新宿とテアトル梅田での上映は12月18日からの1週間限定で、全国公開は2027年春。原子炉を積んだ介護ベッドが暴れる話を、高齢化とAIが当たり前の話題になった2026年の空気で観るとどう見えるのか、そこが今回いちばんの引っかかりどころになりそうだ。