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「秋分の日」は昼と夜の長さが同じではない、東京の昼は12時間8分

今日9月23日は秋分の日です。カレンダーの下の小さい字でも、天気アプリの解説でも、だいたい同じ説明が付いてきます。「昼と夜の長さがほぼ等しくなる日」。ウェザーニュースの公式アカウントも、今朝の二十四節気の投稿でそう書いていました。

広く使われている言い方ですし、ざっくり言えばそのとおりです。ただ国立天文台が公開している数字を引っぱってくると、秋分の日の昼と夜は同じ長さになっていません。しかも誤差みたいな話ではなく、東京で16分の差が付きます。

東京の秋分の日は、昼が16分長い

国立天文台の日の出入り@東京(2026年9月)の表で23日の行を見ると、日の出が5時29分、日の入りが17時37分。引き算すると昼は12時間8分です。1日は24時間なので、残りの夜は11時間52分。差は16分あります。

国立天文台自身も質問3-3「春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるの?」というページを用意していて、書き出しがいきなり「そう思っていらっしゃる方は多いようですが、実際にはそうではありません。これには主に2つの理由があります。」です。問い合わせが多いんだろうなという空気が出ています。

ちなみにこの「東京」は、東京都のどこか適当な場所ではありません。国立天文台の前身の東京天文台があった港区麻布台の日本経緯度原点、東経139度44分28.8869秒・北緯35度39分29.1572秒のことです。標高もその場所の実際の高さではなく0メートルとして計算されています。住んでいる街で数分ずれるので、秒単位で合わせにいくなら自分の地点で計算し直すのが正解です。

理由その1、日の出は太陽の「上辺」で決めている

ひとつ目の理由は定義の話です。国立天文台のページには、日の出も日の入りも「太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」として定義されていると書かれています。てっぺんが顔を出した瞬間が日の出で、てっぺんが沈みきった瞬間が日の入りというわけです。

もしこれが「太陽の中心が地平線と一致する瞬間」だったら、日の出から日の入りまでに太陽が動く道のりと、日の入りから次の日の出までに動く道のりはぴったり同じになります。でも実際の定義だと、日の出から中心が東の地平線に達するまでと、中心が西の地平線を過ぎてから日の入りまでのぶん、太陽は余計に動かないといけません。その余計な移動時間がまるごと昼に足されます。

太陽の見かけの半径はだいたい15分角で、時間にすると約1分。朝に1分、夕方に1分ぶん稼ぐので、この定義だけで昼が2分ほど水増しされます。

理由その2、大気が太陽を浮き上がらせている

ふたつ目は大気です。国立天文台の説明は「地球には大気があるために、地平線近くにある天体は、大気の中を通る光の屈折によって、少し浮き上がって見えるのです。」。地平線すれすれの太陽は、光が大気で曲げられて、実際の位置より上に見えています。

どれくらい浮くかは大気の状態でも変わるので、日の出入りの計算では35分8秒角(時間ではなく角度の単位)浮き上がるものとして処理しています。太陽の直径より大きい値です。地平線に太陽がまるまる1個ぶん沈んでいても、私たちにはまだ見えている計算になります。角度を時間に直すと2分強ぶん、日の出は早く、日の入りは遅くなります。

暦計算室の暦Wiki「昼と夜の等しい日」は、この2つを足し算してくれています。視半径ぶんの約1分と大気差ぶんの2分強で合計3分強。ただし日本付近では太陽が地平線に対して斜めに昇ってくるので、同じ高さを稼ぐのにもう少し時間がかかって約4分になります。日の出で約4分、日の入りで約4分。合わせて8分ぶん昼が伸びて、12時間0分だったはずの昼が12時間8分になる、という流れです。

昼が8分伸びれば、そのぶん夜は8分削られます。だから差は8分ではなく16分になります。

夜のほうが長くなるのは、4日後の9月27日から

では昼と夜が本当に近づくのはいつか。暦Wikiには「実際に等しくなる日を探すと、春秋分から4日ほどずれていることがわかります。」とあります。東京の9月の表で追いかけると、ちょうどそのとおりでした。

9月26日は日の出5時32分・日の入り17時33分で、昼は12時間1分。まだ昼のほうが2分だけ長い。翌27日は日の出5時32分・日の入り17時31分で、昼は11時間59分になり、ここで夜が2分長くなります。つまり2026年の東京だと、昼のほうが長い最後の日が9月26日で、27日から夜のほうが長い季節に入ります。秋分の日にはまだ、夏の在庫が4日ぶん残っている感じです。

  • 9月23日(秋分の日) 昼12時間8分/夜11時間52分
  • 9月26日 昼12時間1分/夜11時間59分
  • 9月27日 昼11時間59分/夜12時間1分

太陽が真西に沈むのも、23日ではなく24日

同じ理屈は方角にも効きます。暦Wikiははっきり「春秋分の日の出入り方位は真東や真西ではなくなります。」と書いています。

表の方位の欄を見ると、23日の日の出は89.3度。真東は90度なので、0.7度だけ北寄りから昇ります。日の入りは270.4度で、真西の270度より0.4度だけ北寄り。ズレの向きも「昼が長くなる側」で揃っています。

数字を1日ずつ送っていくと、日の入りの方位が270.0度、つまり真西ぴったりになるのは9月24日でした。日の出のほうは24日が89.8度で25日が90.3度なので、真東を通過するのはその間です。秋分の日に真東から昇って真西に沈む太陽を撮ろうとすると、1日ぶんだけ早いことになります。

数字がまるごと同じだった年がある

おまけをひとつ。暦Wikiがこの説明に使っている例は2013年の秋分で、当時の東京は日の出5時29分、日の入り17時37分。昼12時間8分、夜11時間52分で差は16分です。

今年の表と見比べると、時刻まで完全に同じでした。秋分の日は年によって9月22日から24日の間を動きますし、内閣府の祝日一覧でも「秋分日」としか書かれていないくらい年ごとにブレるのですが、13年離れた2013年と2026年がどちらも9月23日で、分単位まで一致していました。

国立天文台のFAQが例に出している2020年の春分(3月20日)も、東京は日の出5時45分・日の入り17時53分で昼12時間8分・夜11時間52分。春でも秋でも、東京の「等しいはずの日」は判で押したように12時間8分になります。

秋分の日については、9月22日が祝日ではなく「休日」だった今年の5連休のほうもカレンダー由来の小ネタ扱いされがちですが、こっちは法律、今日のは天文の話です。休みの理由も昼の長さも、調べると案外どっちも理屈で決まっています。

夕方に外へ出る用事があるなら、17時37分あたりの空を見てみてください。沈んでいくあの太陽は、計算上はもう地平線の下にいます。

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