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「スレンダーマン」とは?元ネタは2009年の合成写真、最初の投稿と正体

スレンダーマン(Slender Man)(すれんだーまん) ・ 2026年10月8日 公開

黒いスーツにネクタイ、顔はのっぺらぼう、背だけが異様に高い。「スレンダーマン(Slender Man)」は、2009年に海外の掲示板で作られた創作の怪人です。古い民間伝承っぽく見えますが、生まれたのは写真加工のコンテストでした。

最初の投稿から、YouTubeのフェイクドキュメンタリー、ホラーゲーム『Slender』、マイクラのエンダーマンまで、広がった順に整理します。

「スレンダーマン」とは?

スレンダーマンは、極端に背が高く痩せた、顔のない人型の怪人です。服装はきっちりした黒いスーツに白いシャツ、ネクタイ。腕は伸び縮みし、背中から触手が生えているという描かれ方もあります。

設定の核は「子どもにつきまとう」こと。森の木々のあいだや、写真の隅っこに、いつの間にか立っている。何かをしてくるより先に「そこにいる」こと自体が怖い、というタイプの怪異です。

英語圏では「Slenderman」と1語でつなげて書かれることも多く、日本語でもスレンダーマン・スレンダー・マンの表記が混ざっています。

元ネタは2009年の合成写真

心霊写真コンテストへの投稿

始まりは、アメリカの大型掲示板Something Awfulです。2009年6月8日、フォーラムで「paranormal pictures」というフォトショップ・コンテストのスレッドが立ちました。普通の写真を加工して、それっぽい心霊写真に仕立てる遊びです。

そこへ2009年6月10日、Victor Surgeというハンドル名のユーザーが白黒写真2枚を投稿しました。子どもたちが遊ぶ写真の奥に、背の高い細い人影を合成したものです。本名はエリック・クヌーセン(Eric Knudsen)だと、のちに明かされています。

日本語版Wikipediaなどでは投稿日を6月8日としていることがありますが、6月8日はコンテストが始まった日です。写真が出たのは10日なので、ここは分けて覚えておくと混乱しません。

目撃談風のキャプションが肝

写真には、実際の記録っぽいキャプションが付いていました。1枚目は「We didn’t want to go, we didn’t want to kill them…(行きたくなかった、殺したくなかった)」で始まり、最後は「1983年、撮影者不明、死亡したとみられる」で締められています。

翌6月11日には、本人が別の写真と、架空の医師の証言を追加しました。ここから他のユーザーも勝手に設定を足し始め、スレッド全体で1体の怪人を育てる集団創作になっていきます。英語圏のミーム辞典Know Your Memeによると、4chanのオカルト板(/x/)で最初に言及されたのは2009年6月24日です。

YouTubeの「Marble Hornets」で動き出す

写真の怪人を「動く怪人」に変えたのが、YouTubeシリーズの「Marble Hornets」です。映画学生のトロイ・ワグナー(Troy Wagner)さんとジョセフ・ディレージ(Joseph DeLage)さんが作った、ビデオ日記風のフェイクドキュメンタリーでした。

第1話の「Entry #1」が公開されたのは2009年6月20日。最初の写真投稿から10日しか経っていません。作中では怪人を「The Operator」と呼び、視聴者が手がかりを集めて謎を追う、ARG(代替現実ゲーム)の作りになっています。

上が公式チャンネルの「Entry #1」です。音声は入っておらず、48秒ほどの無音の映像なので、再生して音が出なくても故障ではありません。2026年10月8日時点で再生回数は約873万回。Know Your Memeによれば、チャンネル登録者は2013年2月の時点で25万人を超えていました。

ゲーム『Slender』で一気に有名に

日本で名前が知られるきっかけになったのは、ゲームのほうだと考えていいと思います。

2012年夏、インディー開発のParsec Productionsが、PC向けの無料ホラーゲーム『Slender: The Eight Pages』を公開しました。夜の森を懐中電灯1本で歩き回り、8枚のメモを集めるだけのゲームです。ただし、メモを集めるほどスレンダーマンが近くに現れるようになり、目が合うと画面にノイズが走ってアウトになります。

配布サイトにはアクセスが集中して一時つながらなくなり、8月までに200万ダウンロードを超えたとされます。日本ではGame*Sparkが2012年7月5日に紹介していて、同誌の2012年の年末特集でも取り上げられました。

このゲームはゲーム実況との相性がとにかく良かったのが大きいです。

  • ルールが単純で、見ている側もすぐ分かる
  • 何も起きない時間が長く、実況者の独り言で間が持つ
  • 振り返ったらいる、という分かりやすいビックリがある

2013年3月26日には続編『Slender: The Arrival』が発売されました。脚本にはMarble Hornetsの制作陣が参加しています。「スレンダーマン ゲーム」で検索すると出てくるのは、主にこの2本です。

マイクラのエンダーマンとの関係

マインクラフトのエンダーマンも、よく並べて語られます。黒くて細長い体、異常に長い手足、目が合うと襲ってくる性質。並べてみると、たしかに似ています。

エンダーマンは、マイクラ作者のNotchさんが2011年7月26日に新モブとして公開しました。Know Your Memeは、ユーザーがこのモブをスレンダーマンと呼んだことを受けて「Enderman」という名前になったと書いています。英語版Wikipediaのほうは「似ていると複数のユーザーが指摘した」という書き方です。

Notchさん本人の公式な説明は確認できていないので、命名がスレンダーマン由来というのは「そうだとされる」話として受け取っておくのが安全です。見た目と「目を合わせるとヤバい」という仕組みが似ているのは、プレイすれば誰でも分かります。

映画化と、現実の事件

人気が広がるにつれて、商業作品にもなりました。クヌーセンさんは2010年に「Slenderman」の商標を登録したとされ、2016年5月には映像化の権利をMythology Entertainmentに売却しています。

  • 2017年1月23日、HBOがドキュメンタリー『Beware the Slenderman』を放送
  • 2018年8月、映画『Slender Man』が米国で公開。怪人を演じたのは長身の俳優ハビエル・ボテット

映画は批評家の評価こそ低かったものの、製作費約1,000万ドルに対して、その数倍の興行収入を上げています。

HBOのドキュメンタリーが扱ったのは、2014年5月31日に米ウィスコンシン州ウォキショーで起きた刺傷事件です。当時12歳の少女2人が、スレンダーマンに認められたいという動機を語って同級生を襲い、被害者は一命を取り留めました。創作の怪人が現実と混ざって受け取られた例として、英語圏ではよく引き合いに出されます。

八尺様とはどっちが先?

日本の八尺様とセットで語られることも多いです。背の高い人型で、子どもを狙うという共通点があるからですね。ゲーム化された『八尺様がいた夏休み』の記事のように、ネット怪談の長身キャラとして並べて紹介される場面もよく見かけます。

ただ、八尺様が洒落怖スレに投稿されたのは2008年で、スレンダーマンの2009年6月より先です。「八尺様はスレンダーマンの影響を受けた」と紹介されることもありますが、投稿の順番でいえば八尺様のほうが1年ほど早く、似た怪異が日米で別々に生まれたと見るほうが時系列には合います。

なぜここまで広まったのか

流行の理由は、生まれ方そのものにあります。

ひとつは、最初から「本物っぽく見せる」ためのコンテストで作られたこと。目撃談風のキャプション、白黒写真、撮影者は行方不明という設定は、どれも「実在の記録」を装うための演出です。

もうひとつは、誰でも設定を足していい空気があったこと。作者が設定を固めなかったので、掲示板の住人、YouTubeの映像作家、ゲーム開発者がそれぞれ好きに肉付けしていきました。のちのSCP財団やバックルームズ、サイレンヘッドと同じ、ネット発の共同創作型の怪異の先輩にあたります。

使い方・例文

  • 「夜の公園の街灯の奥、背の高い人影がスレンダーマンにしか見えなかった」
  • 「スレンダーマンのゲーム、実況で見る分には最高、自分ではやりたくない」
  • 「エンダーマンってスレンダーマンが元ネタってほんと?」
  • 「スレンダーマン、昔の伝説かと思ってたら2009年生まれで自分より年下だった」

関連する言葉

同じネット発の創作怪異としては、報告書形式のSCP財団、4chanの1枚の画像から映画になったバックルームズ、1枚の絵から広がったサイレンヘッドが近い存在です。日本側では、長身の怪異として比べられる八尺様と、その投稿元の洒落怖、ネットで語り継がれる話全体の枠組みとして都市伝説があります。英語圏の詳しい経緯はKnow Your Memeのスレンダーマン項目で追えます。

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