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「サイレンヘッド」とは?SCPじゃない元ネタと、2026年にワーナーで映画化が決まるまでを解説

サイレンヘッド(Siren Head)(さいれんへっど) ・ 2026年9月3日 公開

森の奥や住宅街の向こうに、細長い鉄塔みたいな影が立っている。頭のところに付いているのはスピーカーで、そこから空襲警報みたいな音が鳴る。それが「サイレンヘッド(Siren Head)」です。検索すると「SCPの何番?」というサジェストが必ず出てくるのですが、実はSCP財団とは無関係。ここが最大のややこしいポイントなので、元ネタから順に整理します。

「サイレンヘッド」とは?

サイレンヘッドは、頭部が2つのサイレン(拡声器)になっている、細長い人型のクリーチャーです。体は錆びた金属と乾いた皮膚が混ざったような質感で、腕は異様に長い。顔と呼べるものは無く、あるのは音を出す装置だけ、という設計になっています。

サイズは身長40フィート(約12メートル)とされます。作者本人のもっとくだけた説明では「電柱ぐらいの大きさ」。ビルの怪物ほど巨大ではないけれど、住宅街に立たれたら明らかに世界がおかしい、という絶妙な高さです。

怖さの中心は見た目よりのほうにあります。サイレンヘッドは、遠くで聞こえるサイレン、緊急放送のアナウンス、誰かの助けを呼ぶ声などを、頭のスピーカーから流して獲物をおびき寄せるという設定です。「音は聞こえるのに姿は見えない」段階がいちばん怖い、という構造がしっかり作り込まれています。

元ネタ・由来

作ったのはカナダのアーティスト、トレバー・ヘンダーソン(Trevor Henderson)さん。最初のアートが投稿されたのは2018年8月で、当時のハンドルネームは slimyswampghost でした。投稿先はTumblrやTwitterなど複数のSNSにまたがっており、どれが第一報かは資料によって食い違うため、ここでは断定しません。

絵に添えられていたのは短い一文だけ。休暇中に墓地を見て回っていた女性が、古い墓地から電柱くらいの大きさのそれが立ち上がるのを見た、という内容です。設定資料も年表も無く、「目撃談っぽい一文+写真みたいな絵」だけで放り出す。この余白の作り方が、後から他人が設定を足していける土台になりました。Know Your Meme によれば、この最初の投稿は2019年12月の時点で1,300いいね・260リツイートを超えています。バズの起点としては、意外なほど静かな数字です。

モチーフになったのはナンバーステーション(numbers station)だとされています。正体不明の短波ラジオ局が延々と数字を読み上げるアレを、そのまま生き物の形にしたわけです。意味の分からない音が延々鳴っている不気味さ、という点でたしかに同じ血が通っています。

広がり方も早く、2018年10月31日にはインディー開発の Modus Interactive が、PS1風の粗いグラフィックのホラーゲーム『Siren Head』を Windows / macOS 向けに公開しました(itch.ioの配布ページは今も残っています)。これはヘンダーソンさん本人に許諾を取ったうえでの制作です。翌2019年12月7日には itch.io ユーザーの thuleanpanteon が2D横スクロール版『Siren Head 1995』を公開しています。

TikTokで一気に爆発した2020年

決定打は2020年4月30日。映像作家の @alexhoward_ さんが、普通の住宅街の映像にサイレンヘッドを合成した動画をTikTokに投稿しました。これがTikTokでのミーム化の起点で、公開から1週間で2,300万再生・330万いいねまで伸びています。念のため書いておくと、この動画は作者ヘンダーソンさん本人の作ではなく、@alexhoward_ さんが作った合成動画です。

芸が細かいのは音のほうで、使われているサイレンは2010年6月にシカゴ中心部で竜巻の際に録音された実際の音源だとされます。作り物の絵に本物の警報音を乗せたことで、「これ、どこかの街の実際の映像では」という一瞬の錯覚が生まれた。ここからサイレンヘッド動画は量産期に入り、日本のTikTokやYouTubeにも一気に流れ込みました。

なお、ヘンダーソンさん本人のX(旧Twitter)アカウント @slimyswampghost は、現在は非公開(鍵アカウント)になっていて、初期ポストを外から辿ることはできません。表示名も「Trevor Henderson🍉(not here anymore)」に変わっています。原典が表から消えて、二次的な動画やゲームのほうが残っているというのは、ネット怪談としてはむしろらしい状況かもしれません。

SCP財団ではない

日本語で「サイレンヘッド SCP」と検索する人がとにかく多いのですが、サイレンヘッドはSCPオブジェクトではありません。淡々とした報告書の文体で異常存在を記録していくSCP財団は、投稿がクリエイティブ・コモンズで共有される共同創作です。一方のサイレンヘッドは、ヘンダーソンさん個人が権利を持つオリジナルキャラクターで、そもそも仕組みが違います。

混同が定着した理由もはっきりしていて、実際にSCP財団のフォーラムで記事化が試みられた過去があるからです。ユーザー Lord Crunchy がサイレンヘッドの記事を書こうとしたものの、キャラクターが作者のライセンスで保護されているため却下されました。作者本人も「SCPではない」と明言しています。

このとき下書きに割り当てられていた番号がSCP-6789で、ネット上には今もこの数字だけが独り歩きしています。ただし下書きは却下されているうえ、その番号には2021年にまったく無関係の別オブジェクト(ポーランドの製鉄所の地下で植物が異常な速さで育つ空間)が正式に登録されています。つまり「SCP-6789=サイレンヘッド」は二重に間違っている、ということになります。

見た目が怖くて出自がネットだと、とりあえずSCPだと思われる。同じ勘違いは八尺様くねくねでも起きがちですが、どちらも掲示板発の創作怪談でSCPとは別系統です。

2026年、ワーナーで映画化

そのサイレンヘッドが、ついに劇場にやってきます。2026年7月1日、ワーナー・ブラザースが映画化権を獲得したと報じられました。5社が競り合った末の獲得だと伝えられています(Deadlineの報道)。

体制は次の通りです。

  • 監督はブライアン・ダフィールド
  • 脚本はダフィールドと、『WEAPONS/ウェポンズ』のザック・クレッガーの共同執筆
  • 製作にはロイ・リーらが参加
  • 原作者のトレバー・ヘンダーソンさんはエグゼクティブプロデューサーとして関わる

キャストと公開時期は、現時点ではまだ発表されていません。

ヘンダーソンさんのキャラクターが映像化されるのはこれだけではなく、同じ作者のカートゥーンキャット(Cartoon Cat)も2026年7月13日に TriStar Pictures での映画化が発表されています。1人のアーティストのネットお絵かきが、2週間のうちに2本のハリウッド企画になったわけです。

この流れは、ネット怪談の実写化ラッシュとしても見ておくと分かりやすいです。4chan発のバックルームズはA24が映画化し、全米初週末興収8,100万ドル、世界初週末1億1,800万ドル、48カ国で初登場1位という結果を出しています(日本語吹替版の声優も発表済み)。日本でも「巨頭オ」の実写映画化が決まり、ゲームの世界では『八尺様がいた夏休み』がキヨさんの実況で伸びるといった動きが続いています。匿名の投稿から生まれた怪異が、そのまま商業作品の原作になる時代になりました。

使い方・例文

  • 「サイレンヘッドってSCPだと思ってたけど、全然関係ないらしい」
  • 「遠くで防災無線鳴ってて、サイレンヘッド来たかと思った」
  • 「サイレンヘッドの映画、監督と脚本は決まったのにキャストがまだ出てない」
  • 「サイレンヘッドの原典ポスト、もう全部消えてるの逆に怖い」

関連する言葉

同じネット発の共有された怪異という点ではSCP財団、匿名掲示板の1枚の画像から映画にまで育った例としてバックルームズが近い立ち位置です。日本側の古典なら八尺様くねくね、ネットで語り継がれる話全体の枠組みは都市伝説にまとまっています。より詳しい英語圏での経緯はKnow Your Memeのサイレンヘッド項目が追いやすいです。

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