「バットマン」の相棒に仮面ライダーゼロワン、選ばれた理由は“社長”
9月19日の19時ちょうど、DC公式のXアカウントが「伝説は、ここから始まる―」という一文とともにコラボ発表を投げた。相手が誰かというと、仮面ライダーゼロワンである。
投稿は深夜の時点で表示110万回、いいね2.3万、リポスト9,500まで伸びていた。ただ、この記事で本題にしたいのは発表そのものより「なぜゼロワンなのか」のほうだ。仮面ライダーは平成だけで20作品あり、令和に入ってからも毎年新しい主役が増えている。その中でわざわざゼロワンが指名されている。理由はDC側がちゃんと説明していて、聞くと拍子抜けするくらいシンプルだった。
発表の場は、ワーナーが都内で開いた「バットマンの日」のイベント
コラボがお披露目されたのは、ワーナー ブラザース ジャパンが9月19日に都内で開いた『バットマンの日』スペシャルファンイベント“Rule the Night”のステージだ。バットマンが「夜を支配する“ダークナイト”」と呼ばれることにかけて、RULE THE NIGHT(夜を支配せよ)をテーマに組まれたイベントだった。
そのステージに仮面ライダーゼロワンが出てきて、バットマンと並んだ。書き下ろしのコラボビジュアルもそこで解禁されている。プロジェクト名は「Batman x Kamen Rider ZERO-ONE LEGENDS UNITE ー 日米ヒーロー、新たなる伝説の始まり ー」という長めのもので、日米を代表するヒーロー同士の初タッグという建て付けになっている。
中身はオリジナルコミックと、バンダイの商品展開
決まっているのは2本立てだ。ひとつはDCコミックスが作る、両ヒーローが共演するオリジナルコミック。もうひとつがバンダイからの商品展開になる。実際に出てくるコミックアートも、商品の中身も、どちらもこれから順次発表される段階で、この日は「やる」と「ビジュアルはこれ」までが出た形だ。
おもちゃ側の温度感が分かりやすかったのが、仮面ライダーおもちゃウェブ公式の投稿だった。
「関連商品が進行中」に続けて「あんな商品やこんな商品も…❓」と引っぱっている。バンダイ/BANDAI SPIRITSトイ事業部の井上光隆さんは発表に寄せたコメントで、この企画は構想から実現まで4年かかったと明かしていた。ゼロワンの放送が終わったのが2020年夏なので、番組が終わって数年経ってから動き出した企画ということになる。思いつきで出てきた話ではないらしい。
DCがゼロワンを選んだ理由は、ブルース・ウェインと同じ“社長”だから
ここが本題。DCコミックスのアンドリュー・マリーノさんが、シネマトゥデイに載ったコメントでパートナー選びの経緯をこう説明している。
「この2人のヒーローだからこそ生み出せる、オリジナルな物語が描けると考え、仮面ライダーゼロワンをパートナーに選びました」。そして続く一文が答えだった。「バットマンことブルース・ウェインはウェイン・エンタープライズのCEO、一方、仮面ライダーゼロワンこと飛電或人は飛電インテリジェンスの社長です。この共通点から、この2人にしか描けない物語が生まれました」
つまり、どちらも大企業のトップである。
仮面ライダーゼロワンは2019年に始まった令和最初の仮面ライダーで、主演は高橋文哉さん。演じる飛電或人は、AIリーディングカンパニー「飛電インテリジェンス」の若き社長という立場で、人型ロボット「ヒューマギア」をめぐる戦いに巻き込まれていく。昼は会社を背負って、夜はヒーローとして戦う。言われてみれば、ゴッサム・シティで昼はウェイン・エンタープライズのCEO、夜はバットマンをやっている人と、生活のかたちがほぼ同じだ。
歴代ライダーには孤高の戦士もいれば刑事も探偵もいる中で、「肩書きが社長」という一点でゼロワンが浮上した。異種コラボの理由としては、かなり分かりやすい部類だと思う。
そもそも「バットマンの日」は9月の第3土曜日
ついでに押さえておくと、バットマンの日は毎年9月の第3土曜日で、世界一斉に祝われる記念日だ。2026年はそれが9月19日に当たった。日付が毎年ずれるので「今年はいつ」となりやすいが、探し方としては9月の第3土曜を見ればいい。
バットマンの初登場は1939年の『ディテクティブ・コミックス』27号。そこから80年以上、ゴッサム・シティを守り続けているキャラクターで、記念日はその節目を祝うために設けられている。
東映側が持ち出したのは、1971年の第2話で戦った「蝙蝠男」
面白かったのが仮面ライダー側のコメントだ。東映の白倉伸一郎さんが、今回のタッグをこう位置づけている。
「1971年に誕生した仮面ライダーが、最初に立ち向かったのは蜘蛛男、そして第2話で戦ったのは蝙蝠男。石ノ森章太郎先生たち、当時の制作者が、どのヒーローを道標としていたかは明らかだ」初代仮面ライダーの第1話の敵が蜘蛛男、第2話の敵が蝙蝠男。つまりスパイダーマンとバットマンを意識していたよね、という読みである。そのうえで白倉さんは「その後1978年、東映は蜘蛛のヒーローと手を携えたが、蝙蝠(こうもり)のヒーローとは交わる機会を得られないまま、半世紀近くの時が流れた」と続けた。1978年に東映が実写ドラマ化した『スパイダーマン』のことだ。
蜘蛛のほうとは48年前に組めた。蝙蝠のほうとは組めないまま来て、仮面ライダー生誕55周年でようやく実現した。コメントの締めは「日米のヒーロー史に刻まれる歴史的事件だ」で、社長つながりというゆるい入口の裏で、55年ぶんの宿題が片付いたという話にもなっている。
続報待ちの状態で、ざわついているのは玩具のほう
発表時点で出ているのは書き下ろしビジュアルとプロジェクト名まで。コミックの発売時期も、商品のラインナップも、価格もまだ何も出ていない。DC公式の投稿も「プロジェクトの詳細は今後順次発表するのでお楽しみに」で終わっている。
それでも反応が伸びたのは、バンダイ側が「あんな商品やこんな商品も」と含みを持たせたからだろう。ライダーのコラボ商品といえばまず変身ベルト用のアイテムが思い浮かぶし、ゼロワンの場合はプログライズキーという分かりやすい受け皿もある。おもちゃウェブの投稿も8,000件以上のいいねが付いていた。
仮面ライダー周りは今年、フォーゼ15周年や最新作マイスのスピンオフと話題が続いている。そこに海の向こうのダークナイトが混ざってくるとは思わなかった。続報が出たらまた追いかけたい。