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「どこでもポップに泣ける指輪」は目に当てると漫画の号泣、作者はオモコロの八羽

漫画で誰かが泣くとき、涙って普通に垂れない。目のあたりから左右に、勢いよく吹き出す。あの形だけを取り出して立体にしたら指輪になった、という投稿が9月18日のお昼に出て、19日の朝までにいいねは14万を超えた。表示は1,520万回、リポスト1万3千、ブックマークが8,700。保存している人がかなり多い。

投稿したのは八羽(@aoiwa_88)さん。文はたった一行で、「いつでも漫画みたいに号泣できるように、指輪を作りました。」とだけ書いてある。

「どこでもポップに泣ける指輪です。」

添付された1枚目が、そのまま商品紹介みたいな体裁になっている。白背景の写真の下に、赤い大きな字で「どこでもポップに泣ける指輪」、行を変えて「です。」。さらに下に「これさえあれば、いつでも……」と続く。

物としては、水色のパーツが指輪から生えている形だ。輪郭は漫画の涙そのもので、根元から先に向かって4〜5本に枝分かれしながら、外側へ跳ねていく。片手ぶんで手のひらより大きい。

使い方は見ればわかる。両手にはめて握り、こぶしを目の下に当てる。それだけで涙が左右に吹き出している顔ができあがる。2枚目の写真では本人がその状態で顔をくしゃくしゃにしていて、写真の下に顔文字の 。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。 が添えてある。⊃ と ⊂ は目をこするこぶしなので、顔文字を先に決めて、そこに足りないパーツを現実で足した格好になる。

空っぽの浴槽でも薄暗い階段でも、心配されない

出どころは、オモコロに9月18日付で載った工作記事「どこでもポップに泣けるように、涙の指輪を作る」だった。ツイートの3枚目と4枚目は、その記事に出てくる検証写真をそのまま持ってきたものになる。

3枚目は、水を張っていない浴槽の中に服のまま座って泣いている写真。記事では「空っぽで冷ややかな浴槽の中…」と説明されている。4枚目は階段の途中に裸足で座って泣いている写真で、こちらは「団欒のすぐ隣にある、薄暗い階段…」。どちらも普通なら声をかけるやつだ。

それでも大丈夫、というのが記事の言い分になっている。本人いわく「どんなに寂しい場所で泣いていても、ポプ泣き(ポップな泣き方)のおかげで全く心配する気になりません」。ポプ泣きという略し方まで用意されていた。涙の見え方については「喚こうが、のたうち回ろうが、コミカル、リリカル、チャーミング。」と書いてある。

指輪版には惜しい点があったので、タイツで作り直している

ツイートで止まっていると気づかないが、元記事はここで終わらない。八羽さんは指輪について「素晴らしい逸品に見えて実は厄介な点がありまして…」と切り出し、「日常遣いするには少し惜しい面があります」と認めている。

そこで作り直したのが布バージョンだ。「タイツとアームカバーを」「切って」「縫い付けて…」と工程が写真で流れて、出てくるのは腕にかぶせるタイプの涙。指輪の扇形のしぶきとは形が変わって、水色の細い布が2本、腕から下へ長く垂れる。

改良版の利点として記事が挙げているのは、まず持ち歩きと使用中の省スペース。それから「柔らかいので、人混みでも誰も傷つけることなく安心して泣くことができます。涙は人を傷つけるためにあるものではありませんからね。」という一文が続く。もうひとつ大きいのが、腕に付ける方式なので片手が空くこと。記事では「片手が空いてるから遊戯はもちろん…」として公園のシーソーに乗り、そのあとソフトクリームを持って買い食いまでしている。号泣しながら。

走ったときの挙動にも触れていて、布が風になびいて涙感が増すらしい。ただし本人も「腕を目に当てているせいで視野がほぼゼロ」と書いている。それでも「なんかいつもの1.3倍くらい早く走れてる気がするし。」で済ませているあたりが強い。

作者はオモコロの八羽、ベロ・ホイッスルや通話専用バイオリンの人

八羽さんはオモコロで工作記事を書いているライターで、過去の記事一覧を見るとこの路線が一本道でつながっている。「優雅に電話するために、通話専用バイオリンを作る」「改造ロングネイルで快適に生活しよう!」「【舌のような笛】ベロ・ホイッスルを作ろう!」といった具合だ。

Xのほうでも似た系統が伸びていて、2024年11月に出した「青い血が出ているように見える絆創膏をつくりました。」は8万3千いいねを集めている。

作品はポートフォリオにもまとまっている。漫画的な記号を現実の物にする、という一点でずっとやっている人だとわかる。

手作りの小道具が伸びる型としては、サーティワンのモンスターボール容器を鉢カバーに転用した人もいた。狙いがはっきりしている工作は、作りが素朴でも強い。

泣きたいのに泣けないという話は、この指輪だと解決しない。深刻に見えなくなるだけで、泣いていること自体は変わらないからだ。それでも記事を読み終わるころには、こぶしを目に当てて泣いてみる価値はある気がしてくる。作るなら指輪より布版が先だと思う。家のタイツが1枚減るけど。

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