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御座候はいまも1個110円、最後に値上げしたのは2023年1月。10円で始まった値段の歴史

2026年9月7日 ・ トレンド「御座候 110円 値段 値上げ 価格 推移 回転焼 今川焼き 大判焼き 赤あん 白あん 姫路」より

御座候の前を通ると、つい列に並んでしまう。そんな告白がXでざわついています。9月6日の12時58分に投稿されたポストで、翌日には3万1000いいねを超えました。

本文はこうです。「御座候の前を通ると買わずにはいられない不治の病を患っています。いまだに一個110円(税込)って、慈善事業かな?」。添えられた1枚目の写真は実演販売のカウンターで、「北海道産小豆使用」の垂れ幕の下、職人が鉄板の上にあんを乗せているところ。値札には「御座候 赤あん 白あん 110円」と出ています。2枚目は紙箱に5個並んだ焼き上がりです。

で、本当に今も110円なのか。公式の商品ページを開くと、店頭実演販売の欄に「御座候 赤あん 1個 ¥110 (税込)」とありました。値段が動いていないのは事実です。ならいつからその110円なのか、その前はいくらだったのか。株式会社御座候の会社沿革に、70年ぶんの値段が全部載っていました。

今も1個110円、最後に値上げしたのは2023年1月16日

110円になったのは2023(令和5)年1月16日です。公式の「お客様へ価格改定のお知らせ」に載っている表では、回転焼の御座候が95円から110円へ、360gのつぶあんが395円から420円へ(いずれも税込)となっています。

理由も同じお知らせに書かれています。「現在、報道にもありますように原材料、包装資材、エネルギー等あらゆる価格が上昇しており、また、物価の上昇に対しては職人の賃金上昇を行う必要が差し迫っています。」。原材料だけでなく、焼く人の賃金を上げる必要がある、とわざわざ書いてあるのが目を引きます。

日付についての一文もあります。「私たちは多くのお客様と共にあり、商売をさせていただいているという想いから、最繁忙期となる年末年始の価格改定を避け、上記のタイミングとなりましたこと、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」。年末年始をまたがず、明けて半月経った1月16日にずらした、という説明です。お知らせの冒頭には「喜ばれる品を、気持ちよく廉く」という商品理念も置かれています。

このときの反応を神戸新聞が記事にしていて、見出しがそのまま当時の空気でした。「御座候」値上げに…なぜか応援の声続々「今までが奇跡」「100円超えても買う」 兵庫県人の愛されソウルフード。同じ記事によると、その前の改定は2019(令和元)年8月で、原材料費の高騰を理由に85円から95円になっています。令和に入って2度目の値上げが2023年1月ぶんだった、ということです。

そこから2026年9月の今まで、値札は110円のまま。約3年8か月、動いていない計算になります。

10円で始まって、70年で14回動いた

会社沿革がおもしろいのは、創業からの値段が年月つきで全部並んでいるところです。冷菓業と回転焼業を開いたのが1950(昭和25)年4月、姫路に御座候本店を開業したのが1955(昭和30)年10月で、そのときの値段が1個10円。以降はこう動いています。

時期1個の値段
1955(昭和30)年10月10円(御座候本店 開業)
1962(昭和37)年12円
1965(昭和40)年4月15円
1969(昭和44)年12月20円
1971(昭和46)年11月25円
1973(昭和48)年10月30円
1974(昭和49)年1月40円
1976(昭和51)年3月50円
1981(昭和56)年7月55円
1987(昭和62)年12月60円
1991(平成3)年10月70円
2008(平成20)年3月80円(税込)
2014(平成26)年4月85円(税込)
2019(令和元)年8月95円(税込)
2023(令和5)年1月110円(税込)

10円から110円まで、値札が変わった回数は14回。約70年で11倍になった計算です。

並べると、上がり方が一定でないのがよくわかります。目立つのは1973年10月の30円と、1974年1月の40円。3か月しか空いていないうえに、上げ幅が一気に10円です。第一次オイルショックが起きたのが1973年10月なので、時期はきれいに重なります。逆に1980年代は55円と60円で6年以上動いておらず、平成に入ってからは10年単位で止まる区間が出てきます。

いちばん長い据え置きは、70円のまま16年5か月

沿革の年月を引き算すると、最長の据え置きが見えます。1991(平成3)年10月に70円になってから、次に80円へ動く2008(平成20)年3月まで、約16年5か月。この間ずっと70円でした。

小学校に上がった子が大学を卒業するまで、値札が同じだった計算になります。間隔が縮んだのはむしろ最近のほうで、80円は6年1か月、85円は5年4か月、95円は3年5か月しか持ちませんでした。

そう考えると、いま110円で止まっている3年8か月は、御座候の歴史の中ではまだ短いほうに入ります。止まっていること自体が珍しいわけではない、という話でもあります。

「110円なんて良心的過ぎて心配になっちゃう」

この投稿の前後で、Xに並んでいる声もだいたい値段の話です。

「私も御座候の前を通ると自然と列に並んでしまう」と書いたうえで、「110円なんて良心的過ぎて心配になっちゃうよ」と続けた人。「御座候って1個110円なんか…いや安いんだけど前は80何円だったのになって…」と、値上げ前の記憶のほうに引っかかっている人もいました。80何円というのは、2014年から2019年までの85円のことだと思われます。

ちょっと変わった副作用を報告している人もいます。御座候が110円だと再認識してしまったせいで、自販機でジュースを買おうとするたびに「このお金があればあんこでみっちみちのベイクドモチョチョが楽しめるんだよな…」という思考が割り込んでくるようになった、というもの。自販機に入れようとした小銭で御座候が1個買える、と一度気づいてしまうと戻れないやつです。

赤あんと白あんを1個ずつ買った人は「今時、220円で買える和菓子で、ここまで満足感のあるものはあろうか?」と書いていました。同じ和菓子でいうと、マスカットを皮ごと1粒くるんだ陸乃宝珠のような1個数百円の世界もあるので、110円という帯がどのあたりにいるのかは想像がつきます。

110円という数字は、この秋よそでも見かけました。くら寿司が9月4日から最低価格を115円から110円に下げたばかりです。

呼び名は違っても、値札は同じ

神戸新聞は御座候の商品を紹介する段落で「地域により、大判焼きや今川焼き、回転焼きなどとも呼ばれます」と書いています。反応の中にも「呼び名に何かと地域色が出て話題に事欠かない代物。」と触れている人がいて、この食べものは名前で盛り上がる定番ネタでもあります。

ただ、御座候の店で買うぶんには呼び名がどれでも値札は110円です。赤あんも白あんも同じ値段で、1個201kcal。あんは全部、兵庫県姫路市の自社工場でつくられています。

次に駅ビルや百貨店の地下で列を見かけたら、値札の数字だけ確認してみてください。10円から始まって14回動いてきた末の、いまの110円です。

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