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ミニマリスト妹と「マキシマリスト」姉の部屋、対義語の由来は1907年の英語

ミニマリストの対義語は「マキシマリスト」。モノに囲まれて暮らす側の呼び名だ。

この言葉をいま覚えた人が大量に出ているきっかけが、9月22日の13時21分に投稿された写真2枚の投稿だった。ユーコ(@yukowalski)さんが書いた文は「ミニマリスト妹VSマキシマリスト姉」の17文字だけ。

説明も、どっちが偉いという話も、一切ない。それでも2日後には表示1574.2万、いいねは24万件近くまで伸びていた。

写真2枚、量だけが真逆

1枚目はミニマリスト側の台所だ。対面キッチンのカウンターに出ているのは、ソープボトルと小さなトレー、奥の端にコンロが見えるくらい。

奥の壁は濃い緑で、黒い冷蔵庫と黒いトースター、木の棚にケトルとコーヒーミルと木箱。棚の上にはかごが3つ並ぶ。手前の床にはロングコートチワワがこっちを見て伏せていて、右手にはムートンを掛けたバタフライチェアがある。

2枚目のマキシマリスト側は、まず部屋の使い方が違う。壁際ではなく部屋の真ん中に、白いスチールラックが両面の書架みたいに何本も立っている。

そこに文庫とコミックがびっしり。壁側の棚にはAKIRAのフィギュアとコミック、PEANUTSのグッズ、招き猫、PEZだけを並べた専用棚。

さらにギターが2本とMarshallのアンプ、ラックの上に金具で据えたPAスピーカーが2台、足元にはDJ機材と赤いスツールまで置いてある。

見ていて気持ちがいいのは、どちらの部屋も散らかっていないところだ。物が10あるか1000あるかという量の差だけで、どちらも収まるべき場所に収まっている。

ミニマリストの対義語になった

投稿がバズったあと、反応で目立ったのは部屋そのものより「マキシマリストって何」のほうだった。

日本語での「マキシマリスト」は、ミニマリスト(最小限主義者)の逆で、好きな物に囲まれて暮らす人を指す使われ方が中心になっている。インテリアやファッションの記事では、装飾や色をあえて盛るスタイルの名前としても出てくる。

つまり「部屋が汚い人」ではない。物の多さを自分で選んでいる人、というニュアンスで使われている。

実際、投稿を見て初めてこの語を知った人の反応が並んだ。

「マキシマリストという単語をはじめてしった!私が好きなやつだ」(@2guu_ さん)

「昔は持たざる物が正義だったのに マキシマリストって良い言葉が生まれたのね…」(@omochagagacha さん)

元は1907年の英語

ここからがこの言葉のおもしろいところで、maximalist は日本で作られた造語ではない。

英語の辞書 Merriam-Webster の maximalist の項 は、名詞の意味を「計画や目標のすべてを実現するために、即時かつ直接的な行動を主張する人」と説明していて、初出を1907年としている。

語源辞典の Online Etymology Dictionary も同じく1907年とし、ロシア語の maksimalist をもとに maximal と -ist を組み合わせてできた語だと書いている。指していたのはロシアの社会革命党の急進派で、要求をひとつも引っ込めない人、という意味だ。

要するに、もともとは持ち物の話ではなく、革命政党の急進派を指す呼び名だった。部屋の写真に添えられる言葉になるまでに100年以上かかっている。

英語で美術の「盛る」スタイルを maximalist と呼ぶ用法のほうは、あとから来た。ミニマリズムの旗手だったフランク・ステラが立体的で装飾的な作品へ移っていった時期の展示評が、1987年11月2日の TIME 誌で 「Art: The Grand Maximalist」 と題されている。日本語の使い方はこちらの流れに近い。

自称する人がどっと出てきた

反応を眺めていると、他人の部屋への感想より「自分はこっち」という自己申告のほうが目立つ。

「マキシマリストなりたすぎる おれもモノに囲まれて生きたい」(@Tw17_Ng06 さん)

「断然マキシマリストなので引っ越しとか大変」(@chi_myon36 さん)

@y_no_idea さんは「性格的にマキシマリストなので、家にものをリスみたいに貯蔵しがちだし、部屋にものが溢れて圧迫感を生み出しがちだった」と書きつつ、この夏に売却を進めたら床面積が増えて「うちのアパートこんなに広かったのね」となった、と続けている。

自虐も多い。@ryooooooouji さんは「ミニマリストの反対語でマキシマリストってあんのね」と書いたあと、「俺はマキシマリストどころかゴミ屋敷」と自分にオチをつけていた。

言葉が来たことで助かる、という声もあった。@Co_mayu_Co さんは「マキシマリストがもう少し流行ってくれなきゃ困る」として、ミニマリストの収納術を見ても「その数なら私も収納できるようーと共感できない」と書いている。物が多い前提の収納テクが読みたい、という話だ。

一方で、語がしっくり来ないという人もいる。@nats_tree さんは「マキシマリストというより、大荷物界隈という方がしっくり来る」と、外出時の荷物の多さのほうを自分の本体だと考えていた。

目指すところは人それぞれだった

同じ2枚を見ても、どっちが正解かの答えは見事に割れている。

@momosakitoka さんは「マキシマリストとして大事だと思うことは、どれだけ物質を圧縮できるかということ」と書いていて、量を減らす方向ではなく詰め方の技術を磨く派だ。

逆に @pprn301 さんは「引っ越しは脱マキシマリストのチャンス」と、この機会に降りる側へ回ろうとしていた。@Yam_Yuic1110 さんの「間のミディマリスト位でいいのではなかろうか?」という折衷案も出ている。

そもそも1枚目はミニマリストと言えるのか、という声もあった。@momomota53 さんは「どちらもおしゃれで綺麗だが左はミニマリストではない」としたうえで、自分は「マキシマリスト中のマキシマリストです。(万年断捨離中)」と付け加えている。

なお、投稿主が姉と妹のどちらなのかは書かれていない。返信も一部のアカウントに限られているので、そこは分からないままだ。

減らす側に振り切るなら、セカンドストリートに62点持ち込んで522円だった話のように手放すハードルもそれなりにある。「推し活」を続けていれば物は勝手に増えるし、どちらに寄せるかは結局その人の趣味の数で決まるのだと思う。自分の部屋を見回して、どっち寄りか考えてみてほしい。

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