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「ナガエツルノゲイトウ」の駆除方法、答えは除草剤2回で生育10%以下

水辺のふちから水面へ張り出すように広がる、白い小さな花をつけたナガエツルノゲイトウの群落
画像: 水面に広がるナガエツルノゲイトウの群落(CC BY 2.0 / Harry Rose, via Wikimedia Commons)。当サイトで縮小・切り抜きをしています

NHK「クローズアップ現代」が9月15日の夜に外来植物を特集してから、ナガエツルノゲイトウという長い名前を検索する人が増えている。番組の予告投稿には、農家の「稲が吸うべき栄養分というのを全部こいつが吸ってしまう」という言葉が引かれていた。

見た目は水辺にありそうな地味な草で、白い小さな花をつける。ところがこれ、刈っても抜いても戻ってくる。「最悪の侵略的植物」とも言われるくらいで、検索されているのもだいたい「で、どうやって駆除するの?」という一点だ。先に答えを書いておくと、いま公的に示されている駆除方法は「除草剤をタイミングを変えて2回」になる。

農林水産省の公式チャンネルに解説動画があるので、まずは実物から。

刈ると増える。断片から再生するのが厄介なところ

ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草で、農水省のページには「南米原産の多年草で、主に水辺に生えます」とある。水の上にマット状に広がることもあれば、畑や水田の中で立ち上がることもある。

問題は増え方だ。農研機構は「節を含む茎や根からの栄養繁殖によって増殖」すると説明している。種で増えるというより、ちぎれた茎の切れ端そのものが次の株になる。草刈り機で豪快に刈るのは、この植物からすればただの株分けだ。抜いてその場に放置するのも同じで、断片が残っていればそこから立て直してくる。

水田で本当に怖いのはその先で、農研機構は「代かき後の落水時などに再生能力を持つ節を含む茎や根の断片が水路に流れることで、周囲に拡散する懸念があります」と書いている。自分の田んぼで切った切れ端が水路を下って、下流の田んぼで根づく。一枚の田んぼの中で完結しない。

被害の出方も地味にきつい。農研機構が挙げるのは「競合による水稲の減収や収穫作業の阻害」。農水省のページには「流下によるスクリーンの目詰まり被害」とあり、東京都環境局は「在来植物と競合し、在来植物の減少を引き起こす」「農業水利施設で繁茂し、通水を阻害する」「除塵機やポンプ等への負荷や詰まり」と並べている。稲が負けるだけでなく、用水の設備まで詰まらせるわけだ。

農研機構の答えは、除草剤を2回に分けて当てること

では現実的にどうするのか。農研機構が2025年2月5日に公表したプレスリリースが、いまのところいちばん具体的な答えになっている。水稲の移植栽培を対象にした防除体系だ。

開発されたのは3通りの体系だが、軸になるのは単純で、薬を変えて2回当てる形だ。1回目は移植後にピラクロニルを含む除草剤。2回目はフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤で、こちらはタイミングが決まっている。ナガエツルノゲイトウの再生始期から草丈5cmまで(移植の約20日後)か、生育期の草丈35cm以下(移植の約40日後)のどちらかだ。要は、再生してきたところを狙って2発目を入れる。

効果は「地上部の生育を慣行と比べて10%以下に抑制」。ゼロにはならないが、一桁%まで押さえ込めれば稲との競合はかなり変わる。

地味に効くのがコストの話で、実証体系-1は慣行より10aあたり約2,300円安く済み、慣行比73%。実証体系-2でも10aあたり50円高いだけだ。追加の手間を積み上げる対策ではなく、除草剤の組み合わせとタイミングを組み替えるだけで到達している。移植が遅い普通期栽培の地域向けには除草剤3剤を使う実証体系-3も用意されていて、こちらは10aあたり約4,000円高くなるかわりに、作期やほ場条件を選ばずに効く。農研機構は2025年6月にナガエツルノゲイトウ防除技術の標準作業手順書も公開しているので、実際に田んぼを持っている人はそちらまで読むのが早い。

1989年に1か所、いまは26都府県

日本で最初に見つかったのは1989年。農研機構によると、そこから「2024年12月現在で東北以南の26都府県で分布が確認」されるまで広がった。うち14府県では水田への侵入も確認されている。35年で、東北から西の広い範囲に行き渡った計算になる。

2005年からは特定外来生物に指定されていて、東京都環境局のページの言い方だと「栽培、保管、運搬、譲渡、放出、植栽等が禁止されています」。良かれと思って持ち帰る、水槽に入れる、別の場所に捨てる、あたりは全部アウトだ。そして断片から再生する性質を考えると、運ぶ行為そのものが分布を広げる行為でもある。

自治体側も手をこまねいているわけではなく、滋賀県の公式チャンネルには駆除作業の様子がそのまま上がっている。彦根市の新海浜で、人力で引き上げていく地道な作業だ。

見かけたらどうするか

散歩コースの水路や池のふちで、白い小さな花をつけた草が水面にマット状に張り出していたら、候補のひとつではある。ただ、見た目だけで決めつけて引き抜き、持ち帰るのがいちばんまずい。自治体の環境部局や農水省のページの窓口に写真を送って確認してもらうほうが確実だ。

身近な場所でいきなり目立つ植物や菌類は意外と多くて、長雨のあとに公園で大量発生した白いキノコのような例もある。植物のタネがオカヤドカリの背負った貝殻に乗って運ばれていたという研究もあるくらいで、運び屋になるのは人間だけでもない。ナガエツルノゲイトウの場合はその運び屋役がだいたい水路と、人の靴や農機具だ。

田んぼを持っていない人にできるのは、水辺で遊んだ後に長靴や道具に付いた泥をその場で落としておくくらいの話になる。地味だが、切れ端ひとつで増える植物が相手なら、それが一番効く。

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