新弟子検査で握力計を破壊、エストニアの20歳は把瑠都の紹介で入門
握力計を壊したのは、エストニア出身で20歳のザドロズノイ・アナトーリ(秀ノ山部屋)。11月2日にあった九州場所の新弟子検査での出来事だ。
壊れたのは握力計のほうで、本人は無事。身長と体重の基準は、きっちり満たしている。
握力計が「パーン」と壊れた
九州場所(8日初日・福岡国際センター)の新弟子検査は、福岡市内の病院で行われた。スポーツ報知の記事(ライブドアニュースの転載)によると、アナトーリが握力計を右手で握った瞬間、「パーン」という音が院内の部屋に響いたという。
本人は少したどたどしい日本語で、「壊してしまって、握力を測れなかった。でも力には自信がある」と答えている。
日刊スポーツでは、すべての検査が終わったあとに、握力を測るしぐさをしながら英語で「broke」と言い、「パーン!」と擬音まで添えて説明したと書かれている。
握力測定は、身長と体重を測ったあとに別室で行われた。つまり体格の計測はもう終わっていて、そのあとに壊れたことになる。
カメラマンが握力計を撮ろうとすると、看護師が「撮るのはご遠慮ください」と要望した。この病院では毎年新弟子検査をやっているのに、残骸は撮影禁止になった。それだけ衝撃的な光景だったらしい。
179cm・128kgで基準はクリア
握力は測れなかったものの、体格は日刊スポーツによると179センチ、128キロ。基準の「167センチ以上、67キロ以上」を余裕で超えている。
相撲協会の公式ページで、新弟子検査の体格基準を確かめておく。
公式の受検資格のページを読むかぎり、握力の基準は書かれていない。握力計が壊れたことが、そのまま検査の合否に響くわけではなさそうだ。
同じ回の受検者は4人で、山田颯飛さんと工藤大知さん(ともに錣山部屋)、モンゴル出身のラウバスレン・ミャンガンバヤルさん(大嶽部屋)。全員が体格基準を満たした。
合格者は内臓検査の結果を待って、場所の初日に発表される。
把瑠都の紹介で秀ノ山部屋へ
アナトーリは柔道やレスリングの経験があり、13歳で出た相撲大会でエストニア王者になった。
元大関・把瑠都の兄が指導する相撲クラブに通っていて、そこから道が開けた。報知によると、把瑠都から紹介されたのが、秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)だ。
把瑠都は本名カイド・ホーヴェルソン。エストニア出身の元大関で、Wikipediaにも詳しい。
初土俵を踏めば、把瑠都以来3人目のエストニア出身力士になる。
日刊スポーツの10月29日の記事では19歳と書かれていた。検査の当日、11月2日に20歳の誕生日を迎えている。
日本語は「BLEACH」の字幕で勉強
日本の暮らしにもなじんでいるようだ。ちゃんこはおいしい、うどんも焼き肉も好き、と話している。
そして日本語の勉強には、アニメ「BLEACH」の字幕も使うことがあるという。
そのBLEACHは、この10月にTVシリーズの最終回を迎えたばかりだ。最終回のエンディングの話は、「BLEACH」最終回のEDの記事にまとめてある。作中の技の読み方なら、破道の九十九「五龍転滅」の記事もある。
握力計を握りつぶす20歳が、アニメの字幕で日本語を覚えている。ちょっと不思議な組み合わせだ。
初土俵は来年の初場所以降
報知の記事では、アナトーリは秀ノ山部屋の研修生として紹介されている。力士になる前の段階だ。
Wikipedia「力士」には、2018年ごろから、外国出身の入門希望者には新弟子検査の前に半年から1年の研修期間が課されるようになった、と書かれている。アナトーリが「研修生」と呼ばれているのは、この仕組みの流れだとみられる。
さらにアナトーリとミャンガンバヤルさんの外国籍の2人は、興行ビザを取ってから前相撲に出る。そのため初土俵は、来年の初場所(1月)以降になる見通しだ。
日本出身の受検者は、合格すれば今回の九州場所で初土俵を踏む。
「刃牙みたい」の声も
この話は、Xでもかなり広がった。livedoornews の投稿は、11月2日の夜の時点で8,658いいねを集めている。
漫画にたとえる声が並んだ。『刃牙』シリーズの花山薫を思い出した、という人もいた。
@cobta さんは「ジャンプの新連載かと思った。」と書いている。たしかに握力計がパーンと壊れる場面は、少年漫画の1話目に出てきそうだ。
目標は「親方と把瑠都関の最高位の大関」だと本人は話している。現実の土俵で、漫画の1話目がどこまで続くのか。
初日の合格発表と、来年1月の初場所を待ちたい。
参考にした記事は、スポーツ報知(ライブドアニュース転載)と、日刊スポーツの11月2日の記事、10月29日の記事。