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「シュクメルリ」と二郎の共通点はニンニク、合体させた限定麺も実在していた

2026年9月21日 ・ トレンド「シュクメルリ ラーメン二郎 二郎系 ニンニク ジョージア料理 レジャバ 駐日ジョージア大使 松屋 シュクメルリ鍋定食 シュクメルリ二郎系まぜそば らーめん三極志 東日暮里」より
松屋で提供されたシュクメルリ。黒い鉄鍋に白いガーリックソースで煮込んだ鶏肉とサツマイモが入り、ライスと味噌汁が並んでいる
画像: 松屋で提供されたシュクメルリ(CC BY-SA 4.0 / IXTA9839, via Wikimedia Commons。当サイトで縮小・切り抜きをしています。改変後の画像も同じ CC BY-SA 4.0 で提供します

ラーメンを食べ終わって、母国の郷土料理を思い出す。そんな体験はふつうしないと思うのだが、ニンニクの量が一定量を超えると起きるらしい。駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバさんが9月20日の夜に投稿したのは、ラーメン二郎を食べ終えた父親がタクシーの中でこぼした一言だった。

二郎を出たあとのタクシーで、父の口から出たのは母国の料理名

投稿は9月20日の19時45分。レジャバさんの公式アカウント(@TeimurazLezhava)から、写真1枚と短い文が出ました。二郎を食べ終わってタクシーに乗った父親が、ニンニクの量を見て「これじゃシュクメルリと変わらないじゃないか」と言った、という内容です。21日の夕方時点でいいねは2万2千を超え、返信も99件が付いていました。

添付されているのは店内の1枚です。赤いカウンターに向かって白髪の男性が黒い箸を持っていて、丼の中身は太麺ともやしと豚。背後の壁には黄色い貼り紙があり、帰りに丼とコップをカウンターの上段に上げてほしい、という趣旨の案内が読めます。店名が写り込んでいないので、どこの店かまでは分かりません。

大使の父親はアレクサンドレ・レジャバさんという生物工学者で、広島大学への留学や理化学研究所での勤務を経験しています。大使自身も4歳で来日して東広島市で少年時代を過ごしているので、親子そろって日本の食事情にはかなり詳しいはずです。そのうえで出てきた比較対象が二郎でもラーメンでもなく、実家の料理だったわけです。

シュクメルリは鶏肉をニンニクで煮込むジョージアの郷土料理

Wikipediaの記述によると、シュクメルリ(შქმერული)は「鶏肉をガーリックソースで煮込んだ、伝統的なジョージア料理の一つ」。主な食材は鶏肉とニンニクで、好みで牛乳が入ります。名前の由来はラチャ地方オニ地区にあるシュクメリ村で、村の名前がそのまま料理名になりました。

作り方を見ると、ニンニクの入り方が二郎と違うことが分かります。鍋にバターを溶かして鶏肉の表面をカリカリに焼き、火が通ったら鶏肉をいったん取り出す。鍋に残った油に水を加えて、ここでニンニクとナッツを入れて5分ほど煮立てる。最後に牛乳かクリームを注いで鶏肉を戻す、という手順です。ニンニクは薬味として上から乗るのではなく、ソースそのものに溶けています。だから量を入れても角が立たず、いくらでも入ってしまう。

二郎系のほうは、トッピングコールで刻んだニンニクが丼の上に山盛りで乗ります。入り方は正反対なのに、口に入った瞬間の「ニンニクだな」という情報量だけが一致した。父親のコメントは、そこを言い当てていたことになります。

日本に広めたのは松屋で、しかも発端は大使本人だった

シュクメルリという名前を日本で聞くようになったのは、2019年12月に牛丼チェーンの松屋が「シュクメルリ鍋定食」を一部店舗限定で試験販売してからです。松屋版は本来の具材にサツマイモが足されていて、ライスと一緒に出てきます。この記事の冒頭に置いた写真がその鍋で、白いソースの中にサツマイモの紫色の皮が見えています。

面白いのは、この試験販売を掘り当てたのがレジャバさん本人だったところです。Wikipediaのレジャバさんの項目には、2019年12月11日に当時臨時代理大使だったレジャバさんが大使館のスタッフと松屋の店舗でシュクメルリを食べ、その様子を自身のTwitterに投稿した、と書かれています。このメニューは全国69店舗限定で、しかも松屋側が熱心に宣伝していなかったため、発見されたこと自体に広報担当が驚いたそうです。

そこから火が付いて、松屋は2020年1月から2月末まで全国で販売。「松屋復刻メニュー総選挙」では2020年6月と2023年7月の2回とも1位を取り、2021年1月、2024年2月、2026年6月に復活販売されています。日清食品が松屋監修のカップ麺を出し、ファミリーマートがレトルトと弁当とスープを、永谷園がカップスープを出す、という広がり方までしました。ちなみに9月21日時点で松屋の公式メニューページにシュクメルリの名前は載っていないので、今は復活待ちの期間です。

つまり7年近く前は本人が松屋で食べて日本中にシュクメルリを知らせ、今回は父親が二郎を食べて日本中に「二郎とシュクメルリは似ている」を知らせた。親子で同じことをやっています。

返信欄には「二郎は実質シュクメルリ」という言い回しが並んだ

いちばん伸びた返信は @cuttle_shuttle さんの「こうして この世界にまた一つ新たなトリビアが生まれた」で、続けて「二郎は、実質シュクメルリ」と置いていました。350を超えるいいねが付いています。

この形の言い換えが目立っていて、「二郎は日本のシュクメルリ」「二郎とはラーメンではなく、シュクメルリであったか」「二郎ってシュクメルリ系だったんだな」と、同じ構文がいくつも並びました。@niko2niko722 さんは「日本の二郎系は ジョージアのシュクメルリなの納得。」と書いたうえで、「松屋は、シュクメルリを年中やってくれ。」と要望まで付けています。

「ニンニク以外は別物では」という冷静なツッコミもあった

一方で、同一視に待ったをかける返信も出ています。@E_Zcamera さんは「たしかにシュクメルリめちゃくちゃニンニク多かった」と認めつつ、「クリーミーなのは二郎と違うけど」と線を引きました。

もう少し細かく突っ込んだのが @nekojirou28124 さんで、「シュクメルリは鶏肉とニンニクソースで煮込んで牛乳を入れるシチューみたいなものらしいので…」「似てるのかなぁ?豚骨を煮込んだものだからね。二郎って…」と、ベースが鶏と豚で違う点を挙げています。ただ最後は「まあ、ラーメンに合いそうではありますね。」と落としていました。「シュクメルリと二郎を一緒にするなw」という短い抗議もあれば、「豚をチキンに変えればシュクメルリ二郎に。」と作る側に回る人もいて、まとまる気配はありません。

合体させた「シュクメルリ二郎系まぜそば」は東日暮里で出ている

ここで話が終われば大喜利で済んだのですが、返信欄で @chenjj0509 さんが実物を貼りました。東京・東日暮里の「らーめん三極志」が、シュクメルリと二郎系を合体させた限定麺を出している、という指摘です。260を超えるいいねが付いていました。

店の公式アカウント(@twobasehit)の9月15日の告知を見ると、たしかに本物でした。シルバーウィークの限定麺として9月16日から28日まで「シュクメルリ二郎系まぜそば」を提供する、という内容です。

説明文にあるのは、ジョージアの伝統料理シュクメルリを「当店自慢の二郎系スタイルに大胆アレンジしました!」という一文。売りは「濃厚な鶏の旨みと強烈なニンニクの香り、香ばしい炙りチーズ、そしてアクセントのパクチー」。鶏ベースでニンニクを効かせる部分はシュクメルリのままで、まぜそばに寄せてチーズとパクチーが乗る形です。同じアカウントは9月21日の朝にも今週の限定麺として名前を挙げているので、この記事を書いている時点ではまだ出ています。

大使の投稿より前から限定麺は始まっていたので、店が便乗したわけではありません。ニンニクで両方を結びつける発想に、先に手を出していた人がいたということです。

ちなみにニンニクの量を指定する「マシ」「マシマシ」といった二郎系のコールは、外から見るとかなり独特な文化です。ちいかわ公式の漫画でも「ナシ」と「マシ」の聞き間違いがネタになっていました。ニンニクの有無を口頭で伝える仕組みがある時点で、量が常識の範囲を超えている証拠でもあります。

限定麺は28日まで。ニンニクで殴られたい人は、三河島まで行ってみてほしい。

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