「生まれた日の新聞」が休刊日でも、平成の休刊日の9割は夕刊が出ていた
「生まれた日の新聞」をその場で印刷してくれる自販機の画像が、9月21日の朝からXでまた回っている。転載した投稿のいいねは16万を超えた。機械の正面には「あなたが生まれた日の新聞をプリントします。」と書いてあって、画面に誕生日を打ち込んだ次の画像では「この日は休刊日となります。別の日をご指定ください。」と出ている。500円玉を握りしめて来たのに、自分の生まれた日だけ新聞が無い。笑うしかない。
この画像、実は初出が2020年12月24日で、当時も約7万いいねを集めている。元の投稿はすでに削除されていて、今回のものは別のアカウントによる再投稿だ。6年近くたってまた同じ画像で笑いが起きているあたり、「自分の誕生日はどうなんだろう」と気になる人が毎回いるんだと思う。
で、気になったので調べた。結論から言うと、休刊日生まれでも新聞がもらえないケースはかなり少ない。
貼り紙には「夕刊・2面を差し替え」と書いてある
画像をよく見ると、機械の正面に白いラベルが貼ってある。収録期間は「1912年(大正元年)7月1日〜2019年(令和元年)12月31日」。その下に、こんな注記があった。
大正4年〜昭和11年までは全面広告の紙面が多いです。休刊日など紙面が無い場合は夕刊・2面を差し替えております。
つまり機械の側は、休刊日なら夕刊や2面で埋める前提で置かれている。一方で画面のほうは「別の日をご指定ください」と言っている。画面に打ち込まれていたのは平成05年11月15日で、2枚目の入力画面と3枚目の「休刊日」の画面が同じ操作の続きなのかは、画像の並び以外に手がかりがない。貼り紙と画面のどちらが実際の動きなのかは、画像からは分からなかった。
筐体はオレンジ系の色で、赤い帯に「あんぷり」の文字が見える。お誕生日新聞の公式サイトの沿革では、2009年に「あんぷり2」のボディカラーがオレンジイエローに変わっているので、その世代の機械とみられる。
平成の休刊日319日のうち、夕刊が出ていたのは289日
お誕生日新聞のサイトには、休刊日や全面広告の日を調べるチェッカーがあり、その元データを見ると新聞社ごとの休刊日が1日ずつ登録されている。画像で入力されていた1993年11月15日も、読売新聞の休刊日として載っていた。ただし付いているメッセージは「ご希望の日付は朝刊が休刊のため夕刊を提供します。」だ。この日は朝刊が休みだっただけで、夕刊はちゃんと出ていた。
同じデータで、平成(1989年1月8日〜2019年4月30日)の読売新聞(東京本社版)の休刊日を数えてみた。
約9割が「朝刊は休みだけど夕刊は出ている日」で、夕刊すら無いのは1月2日の30日だけ。その1月2日には「ご希望の日付は休刊日のため翌日以降の紙面を提供します。」というメッセージが付いている。朝日も毎日もほぼ同じ比率だった。
平成生まれで休刊日に当たった人も、ほとんどは夕刊の1面をもらえる計算になる。正月2日生まれの人だけは、翌日以降の新聞で我慢することになる。
ちなみに休刊日そのものは、時代が下るほど増えている。読売のデータでは1960年が3日、1970年が4日だったのに対し、2019年は1月2日と、2月から12月までの月1回ずつで12日あった。昭和の古い日付ほど、休刊日に当たる確率は低い。
いまの機械とコンビニは「直近発行の新聞」を出す
この自販機は2019年から「ペパPON!(ペパポン)」という愛称になっている。公式サイトのペパPON!の説明には「ご希望の日付が休刊日などの場合は、直近発行の新聞をプリントします。」とあり、休刊日だからといって何も出てこない仕様ではない。設置は全国で60台と少なめだ。
自販機が近くに無くても、コンビニプリント版がある。全国のファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ポプラなどのマルチコピー機から、朝日・読売・毎日・日経・The Japan Times・沖縄タイムスの紙面を1枚500円(片面・白黒)で印刷できる。こちらも「※休刊日の場合は直近発行の新聞をプリントします。」と書いてある。細かい疑問はよくあるご質問にまとまっている。
始まりは1996年のナンジャタウン
お誕生日新聞の自販機は、1996年7月に池袋のナムコ・ナンジャタウンの開業に合わせて特注機として作られたのが最初だ。価格は当時から1枚500円のまま変わっていない。
翌1997年1月に量産機の「あんぷり」1号機が完成したときは、印刷の待ち時間が約1分30秒で、おつりも出なかった。2006年の「あんぷり2」でHDDに切り替わって待ち時間は15秒に縮み、2009年に今のオレンジイエローの色になった。話題の画像の機械は、このあたりの世代にあたる。動いている様子は公式チャンネルの動画で見られる。
新聞社のグループ側にも似た窓口はあって、読売新聞の関連会社の読売プラスが「記念日の新聞」を扱っている。
「家族全員休刊日」という人も
画像が回るのと同じタイミングで、自分の誕生日を試した人の投稿も出ていた。
家族そろって休刊日というのはなかなかの引きだ。ほかに「その日が休刊日とかもあるのは知らなかった!全国紙や地方紙で見つからないのかな?」という声もあった。全国紙なら、上で見たとおり朝刊が休みの日はたいてい夕刊が出ている。
誕生日から何かを探す遊びは新聞以外にもあって、ボカロ曲なら誕生日から楽曲を探せる「Vocabirth」がある。自分の生まれた日の新聞が気になったら、まずは休刊日かどうかを調べてから500円を入れてみて。