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「ヴイックス ヴェポラッブ」販売終了、やめたのは大正製薬だけ

2026年9月16日 ・ トレンド「ヴイックス ヴェポラッブ 販売終了 なぜ ヴェポラップ 大正製薬 イワキ マルマンH&B 製造販売承認 承継 どこで売ってる」より

実家の薬箱に、青いふたの瓶が入っていた家は多いと思う。鼻が詰まった夜に胸へ塗られて、あのスースーする匂いで寝かされたやつだ。その「ヴイックス ヴェポラッブ」が販売終了、というニュースが流れてざわついたのが2025年。それから1年以上経つのに、ドラッグストアの棚からは消えていない。何が終わって、何が終わっていないのかを整理しておく。

大正製薬が「販売終了」を出したのは2025年7月

発表は大正製薬のニュースリリースで、日付は2025年7月14日。文面はこうなっている。「大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区、社長:上原 茂](以下、当社)は、塗るかぜ薬ブランド「ヴイックス ヴェポラッブ」全製品につきまして、2025年9月30日(火)をもちまして、当社からの販売を終了させていただくことになりましたのでお知らせいたします。」

ポイントは「当社からの販売を終了」という書き方のほうだ。製品をやめます、とは書いていない。

同じリリースには続きもある。「なお、「ヴイックス メディケイテッド ドロップ」、「ヴイックス メディカル トローチ」、「ヴイックスのど飴」は、引き続き、当社から販売させていただきます。」。のど飴とドロップとトローチは大正製薬のまま残り、塗るほうだけが手を離れた形になる。

では理由は何だったのか。リリースに「なぜやめるのか」の説明は無い。ただ、その先のことなら書いてある。「日本国内における「ヴイックス ヴェポラッブ」の当社による販売は終了いたしますが、今後の販売につきましては世界で「ヴイックス」ブランドを展開しているプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社が新たな販売元とのパートナーシップのもと、準備を進めています。」。つまり発表した時点ですでに、次の売り手を用意する話まで公式に出ていた。報道では大正製薬とP&Gの販売契約が2025年9月30日で切れることが背景とされているが、やめる理由そのものを会社が説明した文章は見あたらない。

製造販売承認は2025年12月1日にイワキが承継した

ここからが、検索した人がいちばん知りたいところだと思う。塗るヴェポラッブは、売り手が変わって生き延びている。

マルマンH&Bのお知らせに経緯が出ている。「この度、イワキ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役会長:門倉 稔、以下「イワキ」)は、2025年12月1日付で、大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:上原 茂)より、指定医薬部外品「ヴイックス ヴェポラッブ」の製造販売承認を承継することを決定いたしましたので、お知らせいたします。」

製造販売承認というのは、その製品を作って世に出す資格そのものだ。これが会社ごと移ったので、製品としては切れ目なく続くことになる。売り場に並べる役は別の会社が担っていて、同じお知らせに「なお、販売・流通業務(販売総代理店)はマルマンH&B株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:溝田 勝彦)が担当いたします。」と書かれている。承認を持つのがイワキ、流通させるのがマルマンH&B、という二段構えだ。

承継した側のグループも、当日に告知を出していた。アステナホールディングス公式が2025年12月1日に投稿したのがこれ。

「今後も変わらぬ品質でお届けします!」と書かれている。出荷の時期についてはマルマンH&Bのお知らせに「承継後の出荷開始は2026年4月頃を予定しております。」とあった。予定として案内されていた話なので、いま実際にどの店の棚に何個あるかは店ごとに違う。近所で見かけなかったとしても、それは製品が無くなったからではない。

値段は50gが1,320円、100gが2,508円

中身の情報も公開されている。区分は指定医薬部外品で、容量は50gと100gの2種類。ちなみに大正製薬が販売終了の対象として挙げていたのはビン50g・ビン100g・チューブ80gの3つで、チューブのほうは今のところ新しい体制のラインナップに入っていない。

成分は100g中に、dl-カンフルが5.26g、テレビン油が4.68g、l-メントールが2.82g、ユーカリ油が1.33g、ニクズク油が0.69g、杉葉油が0.44g。あの匂いの正体はだいたいこのあたりだ。メントールとユーカリとカンフルが同居しているのだから、そりゃ鼻に来る。

使い方について公式に書かれているのは「ぬるかぜ薬ヴイックス ヴェポラッブは、胸・のど・背中にぬることで、鼻づまり、くしゃみなど、かぜに伴う諸症状を緩和します。」という説明だ。塗る場所として挙がっているのは胸とのどと背中の3か所になる。

正式は「ヴェポラッブ」、通じているのは「ヴェポラップ」

正式な表記は「ヴイックス ヴェポラッブ」で、最後は小さい「ッ」+「ブ」。ところが世間で通っているのは「ヴェポラップ」や「ヴィックス」のほうで、検索の打たれ方を見ても濁らない形が目立つ。パッケージを毎回確認して買う商品でもないので、耳で覚えた音のまま定着したのだと思う。

もうひとつ定着しているのが、塗る場所の話だ。公式が挙げているのは胸・のど・背中なのに、なぜか足の裏に塗る家庭が一定数ある。

「今でも寝てる子供の鼻が詰まってると足の裏にヴェポラッブぬりぬりしちゃう。真偽のほどは知らんけどこれは儀式みたいなもんなので…」と、本人も効くかどうかは横に置いている。公式の説明に足の裏は出てこないので、あくまで各家庭に伝わってきた習慣ということになる。親にやられた側が、親になって同じことをやっている図でもある。

ちなみに「ちいかわ」にヴェポを買いに行く話がある、というのもファンの間では知られている。あの瓶が世代をまたいで通じるくらいには、生活に埋まっている商品だったわけだ。

棚から消えたわけではない

まとめると、2025年9月30日で終わったのは大正製薬からの販売で、2025年12月1日にイワキが製造販売承認を承継し、いまはマルマンH&Bが売っている。のど飴・ドロップ・トローチは大正製薬のまま。製品そのものが世の中から引き上げられた、という話ではない。

次にドラッグストアで見かけたら、瓶の裏の製造販売元のところを見てみてほしい。書いてある社名が、たぶん記憶にあるものと違っている。

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