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「ギコギコはしません」の元ネタはQVC福島の包丁実演、小林製薬が本人起用でCM化

ギコギコはしません(ぎこぎこはしません) ・ 2026年9月13日 公開

テレビショッピングで包丁を実演していた人が、「ギコギコはしません」と言い切った直後に、包丁をギコギコさせる。たったそれだけの数秒が、2018年からずっとネットに残り続けています。2026年にはとうとう小林製薬が本人を起用してCMを作りました。

「ギコギコはしません」とは?

言っていることと、実際に動いている手が真逆になっている。その矛盾そのものを指すフレーズです。元は包丁の実演販売で出た一言ですが、今は「〜はしません」と宣言した直後にそれをやってしまう場面全般へのツッコミとして使われます。

宣言と行動のズレを笑う型なので、包丁とも通販とも関係ないところで飛んできます。ダイエット中に「食べません」と言いながら食べる、課金しないと言った5分後に石を割る、あたりが典型。前後の文脈も専門知識もいらず、見れば意味が分かるのが強いところです。

元ネタ・由来

発言の主は、テレビショッピングQVCの実演販売士・福島豊さん。ネットでは「QVC福島」と呼ばれています。実演していた商品は「燕三条のパン切り包丁 ハイブリッドソースライサー」(アーネスト株式会社 A-76693)。新潟県燕市の製品で、刃渡りは23.5cm、刃先の波刃・刃元の波刃・直刃を組み合わせた複合刃になっています。

問題の一言がこれです。

「ギコギコはしません。一度刃が入ってしまったら、スゥーーッと刃が降りていってくれるんで」

そして刃をパンに入れた途端、前後にギコギコと動かし始めます。よく見ると発言する直前からすでにギコギコしているのも込みでネタになりました。宣言の前も後もギコギコしている、という救いのない構図です。

ちなみに商品名はよく間違われていて、ニコニコ大百科の本文も「ハイブリッドスライサー」になっていますが、アーネストの商品ページでの正式名称は「ハイブリッドソースライサー」です。発売は2016年9月1日、メーカー希望小売価格は税抜4,800円。今はアーネストのサイトでも販売終了商品のほうに入っています。

放送そのものがいつのものかは公表されていません。確認できるいちばん古い流通記録は、2018年4月15日にニコニコ動画へ投稿された切り抜き「QVC福島 - ハイブリッドソースライサー 衝撃デビュー戦 ver.石橋」(sm33055915、現在7万9,737再生)です。よく貼られているのは同じ年の6月22日に上がった「QVC福島 - 燕三条のパン切り包丁 ハイブリッド ソースライサー ver.石川」(sm33404812、10万5,159再生)のほうで、実演には ver.石川 と ver.石橋 の複数の版が出回っています。どれが最初の放送なのかまでは特定できません。2019年ごろからX・YouTube ショート・TikTokで使われるブームが起き、ニコニコ大百科に単独項目が立ったのが2023年2月22日でした。

名誉のために書いておくと、包丁の切れ味自体は本物です。実演でも断面はきれいに出ています。大百科によると、後日、同じ実演販売士のレジェンド松下さんのライブで福島さん本人がこの件に触れていて、「スーッと行く予定がちょっと止まっちゃったから『ギコギコしません』って三回ぐらい往復したころにはもう切れてた」と語ったとされます。止まったから動かした、動かしたら先に切れてしまった、というだけの話だったわけです。

小林製薬が本人を起用してCMにした

2026年6月2日、小林製薬が『糸ようじスルッと入るタイプWEB「最狂ギコギコRemix」篇(1YS-0034)』を公開します。出演しているのは福島さん本人。尺は60秒で、電ファミニコゲーマーの記事によると、使われている曲は同人サークルCOOL&CREATEのビートまりおさんによる「最終鬼畜妹フランドール・S」です。

曲のほうも元をたどると東方Projectで、2002年の『東方紅魔郷』でエクストラステージのボスを務めるフランドール・スカーレットのテーマ「U.N.オーエンは彼女なのか?」のアレンジです。その紅魔郷は2026年9月10日に『東方紅魔郷:New Classic』として作り直されたばかり。企業のWEB動画が、実演販売の切り抜きと東方アレンジの音MADという二つのネット文化を同時に踏んでいます。

数字も伸びました。2026年9月13日時点の再生数は2,777,537回。途中経過を並べると、7月5日時点で221万回、8月20日時点で275万回です。公式Xの投稿もリポスト約3万、いいねは約14万まで伸びました。

作った側の狙いもはっきりしています。宣伝会議アドタイの記事によると、出発点にあったのは「20〜30代に歯間ケアを習慣化してもらう」という課題。若い層には「痛そう」「面倒そう」「自分にはまだ早い」という心理的なハードルがあって、従来型の広告では届きにくいという読みでした。そこでミームの「ギコギコはしません」を、商品の「スルッと入る」に接続した。Lmaga.jpの取材には、いちばん恐れたのが「ネット文化を雰囲気だけ真似た企業広告」に見えることで、制作チームは当時の空気を体で知っている「ギコギコはしません」世代のメンバーで固めたと答えています。ミームを表面だけ借りた広告とは手つきが違います。

使い方・例文

  • 「ギコギコはしません(ギコギコ)」
  • 「今日は課金しませんって言った5分後に石割ってた。ギコギコはしませんじゃん」
  • 「二度寝はしませんって宣言してからの二度寝、完全にQVC福島」
  • 「糸ようじのCM、本人出てるのズルい」

宣言と行動が食い違った人にそのまま投げるのが基本の使い方です。自分のやらかしに自分で付ける自虐としてもよく使われます。

関連する言葉

放送の一場面がネットに残ったという意味では切り抜き文化の産物で、同じ音が反復するぶん素材としても刻みやすく、音MADの定番ネタになりました。CMの楽曲と同じ東方アレンジの系譜には、影絵PVで知られるBad Apple!!があります。

ファンが勝手に作って広めたものを、あとから公式や企業が拾い上げる流れも珍しくなくなりました。歌詞が全部「んふんふ」の曲が公式CDに収録された件も同じ型で、ネットで育った素材のほうが先にあって、権利を持つ側が後から追いつく形になっています。

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