「体は剣で出来ている」とは?Fateアーチャーの詠唱、英語と元ネタ
「体は〇〇で出来ている」と書き出して、〇〇に好きなものを入れる。ネットで20年以上続いているこの型の元は、ゲーム『Fate/stay night』でアーチャーが唱える「体は剣で出来ている」です。
「体は剣で出来ている」とは?
『Fate/stay night』に出てくる固有結界「無限の剣製(Unlimited Blade Works)」を展開するときの詠唱で、その1行目にあたるのがこの一文です。詠唱するのはアーチャー(CV諏訪部順一)と、主人公の衛宮士郎です。
いまは詠唱そのものより、「体は剣で出来ている」の部分を別の言葉に差し替えるパロディとして知られています。「体はカフェインで出来ている」「体は米で出来ている」のように、自分の食生活や趣味を言い切る形です。
元ネタは『Fate/stay night』の詠唱
『Fate/stay night』は、TYPE-MOONが2004年1月30日に発売したWindows向けのビジュアルノベルで、シナリオは奈須きのこさんです(Wikipedia)。Wikipediaには、作品の骨子は奈須さんが中学生のころにノートに書いていたものだ、という記述もあります。
その後、2006年1〜6月にスタジオディーンのTVアニメ、2010年1月23日に劇場版「Unlimited Blade Works」、2014年10月からはufotableのTVアニメ「Unlimited Blade Works」(分割2クール)と、映像化のたびに詠唱も広く知られていきました。
詠唱の全文は商業作品の文章なので、ここには貼りません。行ごとの日本語と英語が並んだ形で読みたいときは、ニコニコ大百科の「無限の剣製」にまとまっています。ここでは、ネタとして使われる部分だけ触れます。
- 1行目は「体は剣で出来ている」。英語では「I am the bone of my sword.」
- アーチャー版は「故に、その生涯に意味はなく/その体は、きっと剣で出来ていた」で結ばれる
- 士郎版は「担い手はここに独り。剣の丘で鉄を鍛つ。ならば我が生涯に意味は不要ず。この体は、無限の剣で出来ていた。」で結ばれる
同じ出典には、美遊の兄版や無銘版の詠唱も載っています。誰が唱えるかで結びが変わるので、「体は剣で出来ている」を知っていても、結びの一文まで覚えている人は意外と少ないかもしれません。
英語の詠唱は日本語の訳ではない?
この詠唱は、英語の文字列が日本語と並べて語られることがよくあります。サジェストには「英語」「文法」「意味」が並んでいて、英語側の「i am the bone of my sword」も「全文」「意味」「日本語」と一緒に調べられています。
ニコニコ大百科の対訳を見ると、日本語と英語が行ごとに素直な訳になっているわけではありません。たとえば英語の「I have created over a thousand blades.」の位置にあるのは「幾たびの戦場を越えて不敗」で、「Unknown to Death.」の位置にあるのは「ただの一度も敗走はなく」です。英語は剣を千本以上作ったという話で、日本語は戦場を越えて負けないという話なので、同じ行でも言っていることが違います。
英語として文法がおかしいかどうかを断定できる中立な出典は見つかっていません。ここでは、「英語と日本語でずれている行がある」「文法や意味がサジェストに出るほど気にされている」というところまでにしておきます。英語の詠唱を作った側の意図も、確認できる資料がないので書きません。
なぜ「体は〇〇で出来ている」はネタになったのか
ニコニコ大百科の「無限の剣製」には、2004年以降さまざまな二次創作でパロディが作られ、詠唱は改変の元ネタとして使われている、という説明があります。流行した理由として、奈須さんらしい中二心にあふれた詠唱と、能力そのものの魅力が挙げられています。
改変の初出ははっきりしません。サジェストには「社畜」「なんj」「パロ」「コピペ」といった語が並ぶので、そうした場所で数えきれないほど作り替えられてきたのは確かです。ただ、「社畜」版に決まった定型文があるのかどうかは確認できていないので、ここでは触れません。
流行った理由は、書き手の分析としては、1行目の形がやたらと差し替えやすいからだと思います。「体は」と「で出来ている」の間に何を入れても、それっぽく言い切れる。2行目以降まで真似れば、元ネタを知っている人にはそのまま通じます。
海外でも同じ遊び方があります。KYM(Know Your Meme)は2024年4月5日に、「Unlimited Blade Works」をコピペとして取り上げた解説を出しています(What Is Unlimited Blade Works?)。海外の使われ方としては、1行目だけを別の言葉に差し替える型と、途中まで書いて続きを相手に返してもらう型の2つが紹介されています。
2026年10月、諏訪部順一さんの投稿で再燃
2026年10月23日には、声優の諏訪部順一さんがこの一文をXに投稿しました。国際学力調査PISAの読解問題にある「飛行機は犬でできている」と並べた小ネタで、いいねは約4万にのぼっています。
返信には、「身体はカレーで出来ている 血潮はルーで 心はライス」と詠唱をカレーに置き換えた替え歌も付いていました。投稿の経緯は「飛行機は犬でできている」の記事に書いています。
諏訪部さんは8月にも、「ご遠慮ください」の意味をめぐる投稿で8万を超えるいいねを集めました。こちらは「ご遠慮ください」「お控えください」の記事にまとめています。
使い方・例文
使うときは、1行目の形をそのまま借りて、〇〇を自分の話にします。以下は編集部で作った例文です。
- 「体はコーヒーで出来ている。血潮は砂糖で、心はミルク」
- 「体は課金で出来ている。財布は空で、心はガチャ」
- 「体は睡眠不足で出来ている。今日も3時間」
元ネタを知らない人に使っても、「体は〇〇で出来ている」だけならネタとして通じてしまいます。2行目以降まで真似ると、知っている人にだけ刺さる内輪ノリになるので、相手を選んだほうが安全です。
関連する言葉
「体は剣で出来ている」の言い回しは、ゲームの設定を中学生のノートに書き溜めていたような、いわゆる中二病の文体と相性がいいです。それを大人になってから笑って引用するところまで含めて、この詠唱の味になっています。
また、文面を決まった形のまま貼って遊ぶという点では、コピペの一種でもあります。差し替え型のコピペは、元の形を知らない人にも「これはネタだ」とわかるのが強いところです。