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「インクレディブル ミーム」の元ネタはAI実写化、曲と段階の一覧

Mr.インクレディブルミーム(みすたーいんくれでぃぶるみーむ) ・ 2026年9月29日 公開

Mr.インクレディブルの顔が、1段階ずつ怖くなっていく。または、どんどん笑顔で光り輝いていく。あの連番動画が 「Mr.インクレディブルミーム」 です。

元をたどると、2020年にクリエイターがAIでアニメの顔を「実写化」した実験画像に行き着きます。BGMは1曲に決まっておらず、版ごとに違います。

「Mr.インクレディブルミーム」とは?

ピクサー映画『Mr.インクレディブル』の主人公ボブ(Mr.インクレディブル)の顔を、段階(フェーズ)ごとに並べて見せる動画ミームです。向きは2種類あります。

  • Uncanny(不気味化)…顔が段階ごとに崩れ、暗く歪んでいく。BGMもだんだん低く不穏になる
  • Canny(Ascended、神化)…顔が段階ごとに笑顔になり、光り輝いていく。静かな曲から始まって最後はヘヴィメタルまで上がる

使い方は「〇〇したときの反応」を、段階ごとの顔で見せるのが基本です。たとえば「テストの点数」を並べて、点が低いほど不気味な顔、高いほど輝く顔にする。言葉を足さなくても、顔の段階だけで反応の大きさが伝わります。

日本のYouTubeでは「Mr.インクレディブルと見る〇〇」「Mr.インクレディブルで見る〇〇」という題の動画が定番の形になりました。

元ネタ・由来

始まりはAIの「実写化」画像(2020年)

2020年10月15日、Nathan Shipleyさん(@CitizenPlain)が、ピクサー作品のキャラクターをStyleGANで実写の顔に戻した実験画像を投稿しました。アニメ絵を人間の顔に戻す、いわば「リバース・トゥーニファイ」です。手法は @EladRichardson さんと @yuvalalaluf さんのフレームワークです。

この投稿は3万8千いいねを超えました。妙にリアルなMr.インクレディブルの顔が、このあとミームの素材として独り歩きしていきます。

画像ミームから動画ミームへ(2020〜2021年)

Know Your Meme によると、流れはこうです。

  • 2020年11月10日、Redditで「先生が持っているコピー」と「生徒に配られるコピー」を比べる型に改変される
  • 2021年6月18日、2コマ版が3か月で3万9千upvoteを集める
  • 2021年9月5日、「知らない人 vs 知ってる人(People Who Don’t Know vs. People Who Know)」の型で再流行する

ここまでは2コマの画像ミームでした。段階が増えて動画になるのは、この直後です。

最初の「だんだん不気味になる」動画

2021年9月26日(米国時間)、YouTubeのチャンネル músicos Cínicos 鯉 が33秒の動画「mr. increíble se vuelve cada vez mas inquietante」を投稿しました。スペイン語で「Mr.インクレディブルがだんだん不穏になっていく」という意味で、これがUncanny版の最初とされます。

Know Your Memeは9月27日と書いていますが、YouTube側の投稿日時は米国時間の9月26日です。再生数は現在90万回を超えています。

逆向きのCanny版と世界的な拡散

  • 2021年11月27日、MexicoEmpireFOREVER が最初の逆向き版(Canny)を投稿。この動画はすでに削除されています
  • 2021年12月8日、TikTokで「hearing your name called at:(〇〇で名前を呼ばれたとき)」のキャプションを付けた版が拡散
  • 2021年12月30日、ItsFarhang のYouTube版が1か月で860万再生
  • 2021年12月31日、Redditで10段階の「Mr Incredible Becomes Ascended」が投稿され、転載版も1か月で380万再生
  • 2022年1月13日、MexicoEmpireFOREVER が30分59秒の最長版を投稿

この年末年始で、UncannyとCannyの両方が世界中の定番になりました。流れは Canny版のKnow Your Meme にもまとまっています。

曲(BGM)の一覧

よく「インクレディブル ミームの曲は何?」と検索されますが、1曲には決まりません。フェーズごとの曲は、作った人や版によって入れ替わります。確認できた定番は次のとおりです。

  • Uncanny版の第1段階…『インクレディブル・ファミリー』のサントラ(作曲マイケル・ジアッキーノ)から「Life’s Incredible Again」を遅くしたもの(ファンWiki)
  • Canny版の第1段階…最初のCanny版では、『デジモンアドベンチャー』武之内空(CV水谷優子)の「空色の風」(アルバム『Girls Festival』収録)が使われたとKnow Your Memeが書いています
  • ほかの版…ファンが作った拡張版では、DELTARUNEの「Bluebird of Misfortune」を途中に挟む版もあります

いちばん広まった10段階の並びでは、曲は次のように切り替わっていきます(ファンWikiの各段階ページより)。

段階曲・音
1「Life’s Incredible Again」を遅くしたもの
2Kevin MacLeod「Sneaky Adventure」
3「Life’s Incredible Again」を歪ませたもの
4〜6ネットのホラー動画から取った不穏な音や悲鳴
7米ラジオ番組「Coast to Coast AM」の「シベリアの穴」の回の音声
8Repulsive「Cry Of The Unheard」
9「Sonic.exe」版のグリーンヒルゾーン
10「Just a Burning Memory」をさらに暗くしたアレンジ

第1段階と第3段階が同じ曲の加工違いになっていて、明るいサントラが崩れていく音の変化そのものが不気味さを作っています。

聞いた動画の曲名を知りたいときは、その動画の概要欄を見るのがいちばん確実です。

段階(フェーズ)の一覧と数

段階の数も版によってまちまちです。meemes.funによると、公式扱いは18フェーズと5つのサブフェーズで、拡張版は124フェーズまで伸びています。いちばんよく見るのは10段階版か18段階版です。

18段階は、一度に作られたものではありません。ファンWikiの記録では、次のように人から人へ継ぎ足されていきました。

  • 最初の動画(músicos Cínicos 鯉)…新しい顔を3つ加えた。これが後の第4〜6段階になる
  • MadameMomazos…第4〜6段階の音を差し替え、第2段階と第7段階を足した
  • Tus Memes Semanales…第8〜10段階、続けて第11〜14段階を足した
  • Elkunderr…第15〜18段階を足し、ここで一気に拡散した

各段階の中身はおおよそ次のとおりです。

  • 第1段階…ピクサーが2019年10月9日に公開した『インクレディブル・ファミリー』のコンセプトアートが元とされる(ファンWiki)
  • 途中の段階…冒頭のAI実写化の顔や、それを加工した顔が続く
  • フェーズ35…18段階より先の拡張版(The CJ Planets作)では、Rift Rat作の「Raging Wojak」(赤い肌で目が無く、黒い涙を流して叫ぶウォジャック)とされる。ただし35番目が別の画像になっている版もある(ファンWiki)

各段階の画像を誰が作ったかは、ファンWikiの記録に頼る部分が大きく、はっきりしないものも多いです。なお、Uncanny版の後半には閲覧注意の画像を含む版があります。

なぜここまで流行ったのか

顔の段階だけで反応の大きさを表せるので、言葉が要りません。英語圏でもスペイン語圏でも日本でも、同じ動画がそのまま通じました。

もうひとつは量産のしやすさです。顔と曲はそのままで、並べる題材を差し替えるだけで新しい1本ができます。「Mr.インクレディブルと見る〇〇」がシリーズのように増えたのはこのためです。

使い方・例文

  • 「Mr.インクレディブルで見る、夏休みの残り日数」
  • 「バイト先で店長に名前呼ばれたときの顔、完全にUncannyのフェーズ5」
  • 「推しのライブ当選メール見たときの自分、Canny最終形態だった」

関連する言葉

感情を顔の絵柄で表すミームとしては、ウォジャックやトロールフェイスが先輩にあたります。フェーズ35にウォジャックが入り込んでいるのも、その流れです。

元がAIで作った画像という点では、AIスロップとも近い位置にあります。ただ、こちらはAIの生成物そのものより、人間があとから段階と曲を足して遊んだことで広まりました。

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