「台風コロッケ」とは?元ネタは2001年の2ch「念のため16個」
台風が近づくと、なぜかコロッケを買って帰る。理由を聞かれても答えられないのに、やってしまう人がいる。これが「台風コロッケ」です。大雨と風の中でコロッケを買う理由は、2001年の2ちゃんねるに書かれた、たった一言の報告にさかのぼります。
「台風コロッケ」とは?
意味は「台風が近づいたときにコロッケを買い込んで食べる、ネット発祥の風習・ネタ」です。
備蓄でもなければ、験担ぎでもありません。台風の実況をしながら「とりあえずコロッケ」と言い合う、半分は冗談の習慣です。台風が近づくたびに、Xで「台風コロッケ」の名前を見かけます。
元ネタは2001年8月の台風11号実況スレ
発端は2001年8月21日の昼、2ちゃんねるのニュース速報板です。台風11号が本州に上陸しそうだと盛り上がる実況スレッドに、「こちら横浜」という名前の住人が書き込みました。
「念のため、コロッケを16個買ってきました。」
続けて「もう3個食べてしまいました」と書いたとされますが、こちらは二次資料経由の情報なので、確かめきれていません。スレッドが立っていた当時は、本州への上陸が約2年ぶりかと言われていた台風でした。みんなが懐中電灯や食料の話をしているところに、備えているようで全然備えていない報告が混ざったわけです。
笑いどころは「念のため」と「16個」のズレにあります。台風への備えを語る言葉なのに、買ってきたのはコロッケで、しかも半端な数。これが実況スレの空気に刺さって、コロッケを食べたくなる住人が続出したと伝えられています。
発端の書き込みが本当にあったことなのか、ネタだったのかは、今となっては確かめようがありません。ただ、真偽にかかわらず、この一言が残ったという事実のほうが大事で、風習はここから始まりました。
知られたのは11年後の2012年
そこから約10年は、2ちゃんねらーの間だけの習慣でした。ニコニコ大百科によると、大規模オフ板などでは、台風中継のアナウンサーの後ろでコロッケを食べてテレビに映る、というオフ会まで開かれたそうです。
外に出たのは2012年6月、台風4号のときです。Twitterでトレンド入りして、ネットメディアが相次いで取り上げました。ねとらぼが約300人にとったアンケートでは、以前から知っていた人が約5割、最近知った人が2割弱、当日に実際に食べた人が約3割という結果でした。
知っている人が半分、食べた人が3割。ネタの風習としては、かなり浸透していたことがわかります。
企業もゲームも便乗した
ネタが定着すると、お店が乗ってきました。
- 2014年7月、ぐるなびが台風とコロッケ関連の検索数が連動していると発表した(GIGAZINEの記事)
- 2017年9月の台風18号で、イオンの一部店舗でコロッケが完売した
- 同年10月21日から、イオンが「台風コロッケ」として通常の5割増しで販売した(毎日新聞の報道による)
- 同年、スマホゲーム『台風コロッケ』も登場した。育成しながらコロッケを配達するアクションゲーム
2018年9月には、KSB瀬戸内海放送が高松市の精肉店を取材しています。台風が近づく中、1人のお客さんが約20個のコロッケを買っていったそうです。大手スーパーも、前年10月の台風21号の日には惣菜のコロッケを3〜5割増しで用意して、よく売れたと報じられました。2019年10月の台風19号でも、テレビ朝日のニュースがコロッケの売れ行きを伝えています。
本当にコロッケは売れるのか
ここは両論あります。
売れたという報道は上のとおり、複数あります。一方でニコニコ大百科には、大手の流通やコンビニに取材しても「台風でコロッケが売れる」事実は確認できなかった、と書かれています。台風の前に売れていたのは、カップ麺、レトルト食品、懐中電灯でした。
どちらが正しいかは、書き手が決められる話ではありません。店や年によって違うのだと思います。たしかなのは、「台風=コロッケ」という結びつきが、実際の売れ行きとは別に、ネタとして独り歩きしていることです。
理由を後づけで探すなら、台風の日は外に出たくないから、すぐ食べられる惣菜が欲しくなる、くらいでしょうか。ただ、そんなもっともらしい理屈より「16個買った人がいたから」のほうが、この風習には似合います。
なお台風が来る前に買うべきなのは、本来は水や食料、電池です。コロッケは、それを済ませたあとのお楽しみにしておくのが安全です。
2026年、若い世代は「知らない」
もうひとつ、最近の話があります。2026年6月3日、にじさんじのフミさんが「台風コロッケ配信をする」と投稿したところ、若い世代のリスナーにはいまひとつ伝わらなかったとインサイドが伝えています。
2001年の2ちゃんねる発で、2012年に有名になった風習です。その頃に学生だった世代には常識でも、いま10代の子たちにとっては、生まれる前か幼い頃の話。台風のたびにトレンドに出てくる「台風コロッケ」を、見たことはあっても意味は知らない、という人は多いはずです。
友達に「台風コロッケ、やる?」と聞いて通じなかったら、この記事の16個の話を教えてあげてください。
使い方・例文
- 「明日台風直撃らしい。とりあえず台風コロッケ買ってきた」
- 「スーパーのコロッケが売り切れてた。みんな考えること同じだな」
- 「台風コロッケ、今年は何個いく?」
関連する言葉
台風の夜にコロッケの写真を載せる行為は、飯テロの一種でもあります。また、台風コロッケと同じ2ちゃんねる発祥の長文ネタなら、吉野家コピペがあります。
定番の返し文句の元祖であるぬるぽ・ガッや、2ちゃんねるの書き込みが現実に広まった電車男など、当時の掲示板の空気を感じられる語もあわせてどうぞ。
ネットミームで遊ぶ「ミームかるた」の紹介記事でも、遊んでほしい相手として「台風前夜にコロッケを買ってきてしまうおまいら」が挙げられていました。