「獅子原ミーム」の元ネタと歌詞、「ドアを開けてくれ」の全セリフ
低い声で「マジでこの建物に入りてぇんだ」と迫って、最後に「ドアを開けてくれぇぇぇ」と叫ぶ。2026年5月あたりからTikTokで急に増えたあの音源が 「獅子原ミーム」 です。元をたどると、日本のマンガの公式アニメと、海外のインディーホラーゲームが1本の線でつながります。
「獅子原ミーム」とは?
獅子原ミームは、マンガ『女子力高めな獅子原くん』の公式YouTubeアニメが投稿した17秒の動画をなぞる形式のミームです。主人公の獅子原颯太がドアの前に立ち、低い声で歌いながら「ドアを開けてくれ」と迫る、それだけの動画です。
TikTokではこの音源に合わせて、自分が入りたい場所や状況に置き換えた動画を作ります。定休日の店の前、閉まった学校の門、推しのライブ会場、バイト先のロッカールーム。何でもいいので「入れてくれ」と言いたい対象を撮って、あの声を乗せるだけで成立します。置き換えのハードルが異様に低いのが流行った理由でしょう。
「獅子原颯太ミーム」「獅子原くんミーム」と呼ばれることもあります。TikTok側にも「獅子原颯太ミーム」「獅子原ミーム 流行」といったトレンドページが立っています。
元ネタ・由来
※再生数はいずれも2026年9月18日時点。
出発点はインディーのホラーゲーム
話はミームより2年前にさかのぼります。2024年2月15日、インディーホラーゲーム『That’s not my Neighbor』が itch.io でリリースされました。開発したのは Nacho Sama 名義の個人デベロッパー(Steamの表記は Nachosama Games)で、コスタリカのイグナシオ・アルバラード氏とされます。1955年のアパートを舞台に、プレイヤーはドアマンとして住人に化けたドッペルゲンガーを見分けるという内容です。書類と顔を照合して、怪しければ入れない。2025年3月11日にはSteam版も出ました。開発元はAUTOMATONの記事でこれを「一種のリブート」と説明していて、モードが増えて操作感も作り直されています。
つまり「ドアを開けろ」と迫ってくる相手を追い返すゲームです。ミームで叫んでいる側は、ゲームでは追い返される側にあたります。
そのゲームのファンが作った曲が4,000万回再生
2024年4月10日、このゲームを題材にした楽曲「Open The Door」(LongestSoloEver feat. DayumDahlia)のミュージックビデオがYouTubeに公開されました。ゲームのファンが作った二次創作曲ですが、再生数は4,187万回。ゲーム本編より曲のほうが広く知られているレベルです。
住人になりすました側の目線で「リストに俺の名前があるだろ」「もう待ちたくない」と食い下がり、最後に「だからドアを開けてくれ」と押し切る構成になっています。
日本語版の発火点は公式のYouTubeアニメ
2025年7月24日、マンガ『女子力高めな獅子原くん』の公式チャンネル「女子力高めな獅子原くん【YouTubeアニメ】」が、この曲を獅子原颯太に歌わせた17秒の動画を投稿しました。タイトルは「あけろ!!「Open the door」 #獅子原くん #openthedoor」。これが163万回再生まで伸び、日本語圏で音源として定着します。
投稿からTikTokで火がつくまで10か月ほど空いているのが不思議なところで、確認できた再現動画は2026年5月2日・4日・5日あたりから急に増えます。5月29日と6月3日には解説動画が出て、それぞれ48万回・36万回再生。なぜこのタイミングだったのかは、はっきりした理由が見つかりませんでした。
歌詞・セリフの全文
一番よく切り取られるサビはこの部分です。
クソが。マジでこの建物に入りてぇんだ。これ以上待てやしねぇ。みんなも入りたがってる。だからドアを開けてくれぇぇぇ
その手前には、ドアマンに食い下がるやりとりが入ります。公式動画の自動字幕から拾うと「リストに俺、載ってる」「あるよ」「問題ないな」「早く入らせてくれ」「ちょっと電話するね」「誰もいないって」「もしもし」という流れです。自動生成の字幕なので表記そのものは正確でない可能性があります。
英語の原曲では、同じ位置に “See my name on the list, right” “everything checks out” “let me inside” “gonna make a little call” “why, there’s nobody” “hello” が並び、サビが “I need to get into the building / don’t wanna wait anymore / … / so if you could open the door” となります。構成が一対一で対応しているので、日本語版は原曲の訳詞カバーとみられます。
「クソが。」から始まるので、そのままの音量で外で流すと普通に事故ります。TikTokで使われているタグも #マジでこの建物に入りてぇんだ #これ以上まてやしねぇ #だからドアを開けてくれぇぇい と、サビの途中をそのまま切り出したものが並んでいます。
元になった作品『女子力高めな獅子原くん』
獅子原颯太は、料理も裁縫も得意な「女子力の高い」男子高校生です。ただし中学時代は最強の不良として恐れられていたという設定で、このギャップが話の軸になっています。低い声で凄みながらドアを叩くミームの絵面が成立するのは、元がこのキャラだからです。幼馴染の水戸百合香との関係を描くラブコメで、次にくるマンガ大賞2021のWeb部門16位、第6回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞8位に入っています。
原作はGANMA!の作品ページで読めます。ミームの音源になった動画も含めて、投稿は公式YouTubeチャンネルと公式Xにまとまっています。
使い方・例文
- 「バイト先の休憩室のドア閉まってて獅子原ミーム歌ってた」
- 「獅子原ミームの元ネタ調べたらホラーゲームの曲でびっくりした」
- 「開演30分前の会場前で全員が獅子原くんの顔してる」
関連する言葉
マンガやアニメのワンシーンがTikTokで再現されて広がる型としては、ドブカスラッシュが最近の代表例です。作品側の演出がそのまま素材になり、絵が描けない人も生身で真似できる点まで共通しています。ドラマのセリフが翌朝には替え歌になっていたVIVANTの「規律 規律 規律の遵守」も、同じく「音を借りて自分の状況に置き換える」遊びでした。
音源の中毒性で広がったという意味ではスピキやエッホエッホと近い位置にあります。海外発の音源が日本語版を経由して入ってくる流れはブレインロットまわりでもよく起きていて、獅子原ミームの場合は「原曲が二次創作曲」という層がもう1枚挟まっているのが珍しいところです。ゲームのファンが作った曲が本家より再生されるのは、二次創作の力が一番わかりやすく出た例と言えます。