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「射殺す」の意味は弓矢で殺す、読み方は“いころす”

「射殺す」は“いころす”と読み、矢を射あてて殺すという意味の言葉です。銃が生まれるずっと前からある語でした。

平安の話で銃なんかねえよと言われた

発端は、サムハラさん(@meizisamuhara)が10月3日の夜に投稿したこのポストです。

平安時代の話の中で「射殺した」と書いたら、「しゃさつ」と読まれて銃の話だと笑われた。もしかして「いころした」という読み方は一般的じゃないのか、という問いかけです。

この投稿には6万を超えるいいねと、400件以上の返信が付きました。普通に読める派と、初めて知った派で反応がはっきり分かれています。

辞書の答えは“いころす”

まず辞書を見ます。コトバンクの精選版 日本国語大辞典には「い‐ころ・す【射殺】」という見出しがあり、意味は「矢を射あてて殺す。」の一行です。

用例の最初は日本書紀(720年)です。鳴き声のあやしい鳥が木の上にいるので射よ、という場面で、「射」の字に「イコロシ」と訓が振られています。

江戸時代の雑兵物語(1683年頃)にも出てきます。こちらはそのまま引くと分かりやすいです。

「弭鑓で突殺たと、矢で射殺したとは、矢のかたが手柄は上だとおもふ」(雑兵物語)

槍で突き殺すより矢で射殺したほうが手柄は上、という足軽の会話です。辞書が最初の用例に日本書紀を挙げるくらい、「射殺す」は昔から弓矢の言葉として使われてきました。

“しゃさつ”も最初の意味は弓矢

おもしろいのはここからです。笑ったリプのほうは「しゃさつ=銃」という前提でしたが、音読みの“しゃさつ”も銃専用ではありません。

同じ日本国語大辞典の「しゃさつ」では、意味の1つ目が「弓矢で射(い)殺すこと」です。鉄砲やピストルで撃ち殺す意味は、その後ろに並んでいます。

漢籍の典拠に挙がっている『史記』李広伝は、弓の名手として知られる前漢の将軍の伝記です。デジタル大辞泉も「銃や弓などでうち殺すこと」と、弓をはっきり含めています。

つまり平安の話で弓矢を使って「射殺した」と書くのは、どちらの読みで読まれても間違いではありません。読みも意味も、リプの側が二重に勘違いしていたことになります。

返信欄も割れていた

返信や引用には、いろいろな角度の声が並びました。

  • 弓の時代の言葉が、そのまま銃に転用されたのではという推測
  • いころすが珍しいというより、しゃさつのほうが日常でよく見るだけという整理
  • 「弓で」が前に付いていないと、いころすとは読みにくいかもという意見
  • 子どものころ、歴史ものの小説や漫画のふりがなで覚えたという人

3つ目の指摘はけっこう大事で、ニュースで毎日のように見るのは“しゃさつ”のほうです。文脈が無いと、銃のほうに引っぱられるのは無理もありません。

BLEACHとFateで見た人も多い

この字を“いころす”で覚えた人の入口は、たぶん小説よりアニメや漫画です。

BLEACHの市丸ギンの斬魄刀は、解号が「射殺せ『神鎗』」で、読みは“いころせ”です。刀が一気に伸びる能力なので、弓矢ではないのに「射」の字を使っているのが渋いところです。

Fate/stay nightでは、ヘラクレスの宝具として「射殺す百頭(ナインライブズ)」が出てきます。バーサーカーとして呼ばれた本編の彼は使えず、作中では士郎が投影して放つ技です。ヒュドラを射殺した弓の技を元にした流派という設定で、こちらは本来の弓矢の意味そのままです。

読み方で割れる話題は、ほかにも「赤魚」は“あかうお”か“あかざかな”かで一度ざわついています。

時代ものを書いていて「射殺した」にツッコまれたら、日本書紀と日本国語大辞典を出せば大丈夫です。気になる人は、手元の辞書でも引いてみてください。

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