「磁気切符」は2027年春からQR乗車券に、廃止の理由は金属入りの紙
裏が黒い、あの小さな切符が2027年春から消えていきます。廃止の理由は、黒い部分に金属が入っていて紙として再利用しにくいからです。
10月13日、首都圏を中心とする鉄道7社が、2027年春から磁気乗車券をQRコード付きの乗車券に置き換えると共同で発表しました。
連名は次の7社です。
- 京成電鉄
- 京浜急行電鉄
- 仙台空港鉄道
- 東京モノレール
- 東武鉄道
- JR東日本
- 北総鉄道
リリースの題名は「鉄道事業者 7 社 QR 乗車券のサービス開始について」。7社の全路線・全駅が対象です。
裏の黒い層は金属入り
ふだんSuicaやモバイルPASMOで改札を通っていると、紙の切符の裏をじっくり見る機会はあまりないと思います。
あの黒い面が磁気層です。乗車の情報がここに書き込まれていて、改札機は切符を吸い込んだ瞬間にそれを読み書きしています。
この「黒い面」が、今回の置き換えのいちばん分かりやすい理由になっています。
2024年5月29日に各社が出した最初の発表には、こう書かれています。
磁気乗車券の用紙は金属を含んでいるため、リサイクルにあたり磁気層の分離・廃棄が必要であり、一定の環境負荷がかかっています。
見た目はただの紙でも、そのままでは古紙に戻せない。使い終わった切符を再生するには、まず磁気層をはがして捨てる手間がかかっていたわけです。
QR乗車券ならコードを印刷するだけなので、よりリサイクルしやすい用紙に替えられる、というのが各社の説明です。
改札機の維持も難しい
理由はもう2つあります。どちらも改札機の側の事情です。
1つ目は機械の維持です。磁気券を扱う改札機や券売機は、仕組みが複雑で鉄道専用の専門性も高い。各社は、このまま中長期的に維持していくには持続できるシステムへ移る必要がある、としています。
改札機に入れた切符は、反対側から一瞬で出てきますよね。あの短い区間で磁気の読み書きまで済ませているので、機械の中身はかなり込み入っています。
2つ目は券詰まりです。磁気券は機械に投入する方式なので、どうしても詰まりなどの不具合が起きます。かざすだけのQRなら、故障を減らせて点検も楽になるという理屈です。
切符は約2.8倍の大きさに
使う側でいちばん変わるのは、切符の大きさです。
今の磁気切符は30×57.5mmの小型券です。QR乗車券は、一部を除いて57.5×85mmの大型券になります。
面積で比べると約2.83倍。85mmは、だいたいクレジットカードの長いほうの辺くらいの長さです。財布の小銭入れに切符を突っ込んでいた人は、入れる場所を考え直すことになりそうです。
出口でひと手間増える
使い方も少し変わります。
今は入るときも出るときも、切符を改札機に入れるだけです。出口では改札機が切符をそのまま吸い込んで回収してくれます。
QR乗車券は、入るときも出るときも改札機のリーダーにかざします。そして出るときは、かざしたあとに改札機に付いた回収箱へ自分で切符を入れます。QR乗車券は改札機の取り込みに対応しないためです。
流れをまとめると、こうなります。
- 券売機でQR乗車券を買う
- 改札機にかざして入る
- 改札機にかざして出る
- 回収箱に切符を入れる
QR乗車券に対応した改札機が無い駅では、有人の窓口を使います。細かい扱いは決まり次第、各社が知らせるとしています。
普段ICカードしか使わない人にはほぼ関係ありません。ただ、ICカードを忘れた日や、帰省で遠くの駅まで切符を買うときに「あれ、入れるところが無い」となる人はいそうです。
8社の予定が7社に
2024年の発表の時点では、参加は8社でした。今回までに顔ぶれが少し変わっています。
- 新京成電鉄は2025年4月に京成電鉄へ吸収合併されたので、京成に含まれる形になった
- 西武鉄道は今回の7社に入っていない
- 代わりに仙台空港鉄道が加わった
2024年の発表では、時期は「2026年度末以降、順次」とされていました。今回それが「2027年春」に固まった形です。対象は自動券売機で買う近距離の切符で、各社共用のQR乗車券管理サーバーを使い、会社をまたぐ切符も発券できるようにするとしていました。
東武鉄道は自社のお知らせで、2027年3月から移行すると書いています。券売機で買うQR乗車券はすべて大型券です。
企画乗車券は一部を除いてスマートフォンで使うデジタル企画乗車券へ移り、券売機での発売を終えます。株主優待乗車証は引き続き発行されます。
つくばエクスプレスはもう全廃
磁気切符をやめる動きは、実はひと足先に始まっています。
つくばエクスプレスは、2026年9月30日で磁気乗車券をすべて廃止しました。運営する首都圏新都市鉄道が2026年1月に発表していたもので、乗りものニュースが詳しく伝えています。
10月1日からは、自動改札機で磁気乗車券を使えません。有効期間内の磁気券を持っている人は、係員に見せれば使えます。他社の磁気の連絡定期券も同じく係員に見せる扱いです。
7社の切り替えが2027年春から本格的に進むので、関東の切符はここから数年で一気に様子が変わりそうです。
自動改札は日本生まれ
切符を吸い込むタイプの自動改札機は、日本で生まれた技術です。
切符を機械に吸い込ませる方式は、それから60年近く続いてきました。2027年春からは、それが「かざして箱に入れる」に変わっていきます。
裏が黒い切符を最後に買ったのがいつか、思い出せない人も多そうです。見かけるうちに1回くらい使っておくのもありかもしれません。
発表の内容はITmedia NEWSや鉄道プレスネットも詳しく伝えています。
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