JR北海道の新型「エアポート」739系、定員266人増の中身は立ち席
JR北海道が2026年9月18日、快速「エアポート」に新しい車両を入れると発表しました。形式名は739系3000代。いま走っている721系の置き換え用で、6両編成6本の合計36両、2027年春からの営業運転を予定しています。
リリースの数字を並べていくと、途中で1行だけ引っかかるところが出てきます。定員が527人から793人へ、266人も増えているのに、そのうち座席の増加分は8席しかない。
定員は266人増、座席は8席増
もう一度、数字だけを取り出します。編成定員は721系3000代が527人(うち座席279席)、739系3000代が793人(うち座席287席)。差し引きすると定員は266人増、座席は8席増です。
つまり増えた266人のうち、258人ぶんは立って乗る枠ということになります。リリースのインテリア説明にも「機器レイアウト変更により確保した空間で座席数を増やします」とあり、座席そのものは確かに増えている。ただ、その増分は8席です。
転換クロスシートがロングシートに変わる
からくりは座席配列の行にあります。721系3000代は転換クロスシートで、739系3000代はロングシート。どちらも4号車のuシートだけは回転式クロスシートのままです。
転換クロスシートは、背もたれをパタンと倒して進行方向に向きを変えられる、2人掛けが前後に並ぶあの座席です。座り心地の評判はいいけれど、座席と座席のあいだの通路が狭くなるぶん、立って乗れる面積が減ります。ロングシートは壁に沿って横一列に座る形なので、車内の中央がまるごと空く。同じ車体で立ち席を増やすなら、ここを変えるのが一番効きます。
新千歳空港と札幌を結ぶ快速「エアポート」は、スーツケースを持った人と通勤の人が同じ電車に乗る路線です。ロングシート化で床が広くなるのは大きい荷物を置く側にはプラスに働きますし、座って移動したい側から見れば、進行方向を向いて座れるのは4号車だけになります。同じ変更が、乗る人の事情によって逆向きに効くタイプの話です。新幹線の東京駅始発なら自由席で十分か論争と同じで、この手の話は結論が一本にならない。
前面のアクセントは航空機の主翼
デザインの話も入っています。外観は733系と同じ高運転台で、そこに航空機の主翼(ウイングレット)をイメージしたアクセントを前面に配置する、と書かれていました。
ウイングレットは、旅客機の主翼の先端でくいっと上を向いている、あの部分のことです。翼の先で発生する渦を抑えて燃費を良くするための装備で、窓側に座ると視界に入ってくるパーツでもあります。空港アクセス車両だからそこを持ってきた、という理屈。言われないと気づかないところに元ネタを仕込むやつです。
車いすスペースは2箇所から6箇所へ
座席まわり以外は、素直に増えている項目が並びます。車いすスペースは721系3000代の2箇所から6箇所へ。床の色を変えて場所を分かりやすくし、介助者用の折り畳み式簡易腰掛も設置されます。
車内案内表示器は721系3000代には無く、739系3000代では1両あたり3箇所にディスプレイが付きます。車内防犯カメラも721系には無かったもので、739系では設置されます。4号車のuシートは座席構造を見直して足元のスペースを広げるとのこと。車体は軽量ステンレス製からアルミダブルスキン製に変わり、編成(6両・2M4T)と設計最高速度130km/h、トイレ2箇所は721系と同じです。
実際に乗るのは2027年春から
739系3000代の営業運転開始は2027年春の予定です。数字の上では定員が約1.5倍、車いすスペースは3倍になります。ただ、座って新千歳空港まで行ける枠は287席ぶんのままです。
空港まで立ったまま乗ることになるのか、荷物を置ける床が広いほうがいいのか。北海道へ行く予定がある人は、2027年春以降のエアポートで前面のウイングレットを探しつつ、そのへんを自分の荷物量と相談してみてください。
出典: JR北海道「新型「エアポート」編成の導入について」(2026年9月18日・PDF) / JR北海道 ニュースリリース一覧