← 一覧へ 暮らし

新型「E723系」が山形線デビュー、車内は座席を広げて定員が31人減っていた

JR東日本の新型車両「E723系5000代」が、2026年9月19日から奥羽本線(山形線)の福島〜新庄間で走り始めました。外観の色づかいは719系5000番代や701系5500番代を踏襲しているので、写真をパッと見ただけだと代替わりに気づきにくい。

変わったのは中身のほうです。ロングシートの座席幅は470mmに拡大。ただ、同じ資料の定員の行を見ると、数字がひとつ逆を向いています。E723系は245名で、JR東日本が比較に挙げている719系は276名。座席を広げたぶん、31人ぶん乗れなくなっているということです。

デビュー当日の実車に記念ヘッドマークが付いていた

営業運転初日の朝、山形で撮影された実車の写真がXに上がっています。先頭車の車号表記は「E723-5000」、行先表示は「福島」。前面の向かって左下には「E723 -Debut!-」と書かれた円形の記念ヘッドマークが付いていました。

投稿した @Kairi_Yamagata さんは「さて、噂の片帯を見るかぁ…?!あれ? 告知になかったラッピングがされている! という事でE723系5000番代デビューです!!」と書いています。「片帯」というのは写真のとおりで、前面のオレンジと緑の帯が向かって右側だけに入っている。隣の線路に停まっている既存車両は同系色の帯を左右に流しているので、並ぶと非対称さがよく分かります。

前面まわりの形に意味が仕込まれている例だと500系新幹線の長い鼻がカワセミのくちばし由来だった話が有名どころですが、この片帯についての説明は今のところ見当たりません。初日から撮り鉄がホームに集まるのは、こういう「実物を見ないと分からない部分」があるからでもあります。

ロングシートの座席幅は470mmに広がった

JR東日本の公式メディアに、E723系5000代の中身がまとめられています。座席はロングシートで、座席幅は470mm。車体はステンレス製、2両編成の1M1Tで、最高速度は110km/hを想定した設計です。

470mmという数字だけ出されてもピンと来ないと思いますが、ロングシートの1人ぶんの幅としては広い部類です。座り慣れた通勤電車で「詰めれば座れるでしょ」と言われるあの感じが、少し緩和される方向の変更ということになります。

広げたぶん、定員は31人ぶん減っている

そのかわりに削られたのが定員です。JR東日本が並べている3形式の数字がこちら。

形式定員
E723系245名
719系276名(ワンマン対応)
701系273名

E723系と719系の差は31人、701系との差は28人。1両あたりに直すと15人前後ですが、2両編成の短い列車なので体感は小さくないはずです。座席の幅を広げれば1列に並べられる人数は減るし、後で触れるフリースペースや電動車いす対応トイレも床面積を食います。快適性を足した結果が定員の数字に出ている、という素直な引き算です。

同じ引き算を逆向きにやったのが、JR北海道が発表した新型「エアポート」739系でした。あちらは転換クロスシートをロングシートに変えて定員を266人増やし、そのうち座席の増加は8席だけ。空港アクセスと山形線とで、車内に求められているものが真逆になっているのが分かります。

全車両にフリースペース、各客室に防犯カメラ

座席以外の装備も公表されています。全車両にフリースペースが設けられ、車いすやベビーカーで乗る人に配慮した設計。さらに電動車いす対応の洋式トイレが配置されます。

安全まわりでは、各客室に防犯カメラと非常通話装置を設置。車両側面にもカメラを積んで、乗務員が運転室から乗降を確認できるようにしています。これはワンマン運転への対応力を確保するためのもので、比較表で719系の定員に「(ワンマン対応)」と注記が付いているのと同じ話につながります。制御方式にはVVVFインバータ制御を採用し、従来方式より消費電力量を削減するとのこと。

福島と山形、両方の駅で出発式が行われた

初日は両端の駅で出発セレモニーがありました。鉄道ファンの記事によると、福島駅は8時ごろから5番線ホームで、福島8時08分発の米沢行きに合わせて実施。福島市長とJR福島駅長による出発合図のほか、自治体関係者や福島エリアのオリジナルキャラクターによる見送りが行われました。

山形駅のほうは早くて、6時10分から4番線ホーム。山形6時28分発の福島行きに合わせて、出発合図や自治体・JR関係者の見送りがありました。どちらも見学には入場券か有効な乗車券類・定期券が必要とアナウンスされていて、上の写真が撮られたのもこの時間帯です。

福島〜新庄は、山形新幹線「つばさ」と線路を共用する区間を含みます。新幹線が来る同じホームに2両編成の普通列車が入ってくる光景そのものが、他の路線ではあまり見られないやつです。

22両が出そろうまで

E723系5000代は計22両、2両編成×11本が導入されます。初日に走ったのはそのうちの一部で、これから順次入っていく形です。

座席幅470mmを取るか、31人ぶんの定員を取るか。実際に座ってみないと分からない類の変更なので、山形線に乗る用事がある人は、まず座席の幅と、前面の帯がどっち側に入っているかを見てみてください。

出典: JR東日本「奥羽本線(山形線)に新型E723系5000代を導入します」 / 鉄道ファン「JR東日本,E723系5000番代の営業運転を9月19日から開始」

広告