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ピカチュウ型に「シュガースプレー」を敷いて焼いたら全部溶けて泥色になっていた

2026年9月18日 ・ トレンド「カラフルピカチュウ シュガースプレー ケーキ型 スプリンクル 焼くと溶ける ポケモン」より

お菓子作りには「やる前に一回考えたほうがいい思いつき」というものがあって、たいていは最後まで走ったあとに気づく。おかかちゃん(@okakaricho)さんが2026年9月17日に投稿した実験は、その典型みたいな仕上がりになった。

ピカチュウの顔の形をしたケーキ型の内側に、色とりどりのスプリンクルをびっしり貼り付けて、そのまま生地を流して焼く。うまくいけば表面がカラフルなドット柄のピカチュウが焼き上がるはずだった。

型の内側をスプリンクルで埋めてから生地を流した

本人の前フリはこうだ。

そういえば、マーブルチョコのシュガーコーティングって溶けなかったよね? なので今回は、シュガースプレーをこのケーキ型に付着させて焼いたら、カラフルピカチュウができるのでは?!

マーブルチョコの外側の色付きコーティングが焼いても残る、という記憶が前提になっている。これ自体は本人の体感として書かれたもので、根拠が示されているわけではない。ただ言いたいことは分かる。クッキーの上に散らしたカラースプレーが焼き上がりでも色を保っていた、という経験なら心当たりがある人は多いはずだ。あとで触れるように、この感覚は製菓材料の解説を読む限りそこまで外れてもいない。

画像を見ると型の中はほぼ埋まっている。耳の先からほおのあたりまで、棒状のスプリンクルが隙間なく並んでいる。ただ目と鼻と口のところだけは型の内側から山のように出っ張っていて、そこにだけ粒が乗っておらず、つるりとした黄色が見えたままだ。右奥には「sprinkles FOR THE MODERN BAKER」と書かれた透明ボトルが転がっている。準備の段階だけ見れば、これはかなり期待できる絵面だ。

投稿の最後には 「※AIではありません😂」 と添えられていた。この一言が後で効いてくる。

開けてみたら、目と口元だけがピカチュウだった

5時間半後、結果が投稿された。

白い皿の上に乗っているのは、茶色と黒に赤や緑が斑に混ざった、焦げた泥みたいな色の物体だ。かろうじてピカチュウの輪郭は残っている。耳もある。鼻もある。ただ色だけが完全に別物になっている。

面白いのは、目と口元の部分だけ生地そのままの薄いベージュが残っていること。焼く前の型を見返すと、まさにその出っ張りの上にだけスプリンクルが乗っていない。つるつるの山には粒が留まらず、そこだけ生地が直接型に触れたわけだ。おかげで「泥まみれのピカチュウが目だけこっちを見ている」みたいな絵になった。左右のほおも下地の色がうっすら透けているが、こちらは赤や黒が斑に乗ってしまっている。縁からは溶けたスプリンクルがはみ出し、皿の周りには焼く前の粒が散らばったまま残っている。

添えられていた言葉は一行だけ。

な…なんでえええええ(゚Д`゚)?!!!!

「溶けなかったよね?」の記憶自体は間違っていない

ここが面白いところで、本人の前提はそこまで外していない。製菓材料のアラザンについてクラシルの解説記事は、クッキーやパイなどの焼き菓子は焼く前にのせても、焼いている間に溶けずにそのまま残ることが多いと書いている。焼く前に散らして大丈夫、という記憶はふつうに正しい。

ただし同じ記事には続きがあって、オーブンの温度や加熱時間によっては表面のコーティングがはがれたり、変形・変色したりすることがあるとも注意されている。さらに水分の多いお菓子に使うと湿気を吸って光沢が落ちやすい、とも。今回の条件はこの注意書きを全部踏んでいる。

そもそも中身がほぼ砂糖だ。同記事によるとアラザンの主な原料は砂糖・コーンスターチ・水あめ・ゼラチンで、Wikipediaの説明でも砂糖とデンプンを粒状に固めて銀粉や銀箔をかぶせたものとされている。カラースプレーやシュガースプレーも、名前のとおり砂糖が主役の粒だ。

クッキーの上なら、粒は表面に乗っているだけで生地に埋まらないし、焼き時間も短い。対して今回は型の内側に貼り付けたところへ水分たっぷりの生地を流し込んでいるので、粒は下から型の熱、上から生地の水分と、両側からはさみ撃ちになる。溶けた色は生地に染みていくから、隣り合った赤と緑と青が混ざって濁る。そこへ砂糖の焦げが乗れば、行き着く先は茶色だ。同じ材料でも、どこに置くかで結果はまるで変わる。

「AIではありません」の前フリが、あとから効いてしまった

反応は結果のほうに集中した。9月18日時点で表示回数は510万を超え、いいねは4万7千、リポスト8千、返信は467件。前フリの投稿が1,400いいね台だったので、失敗したほうが30倍以上伸びたことになる。

この伸び方には前フリの一言が効いている。実験前に 「※AIではありません」 と書いたのは、型いっぱいのカラフルな粒があまりに作り物めいて見えるからだろう。ところが焼き上がった現物のほうが、輪郭だけピカチュウで配色が完全に狂っているという、それこそ生成画像の失敗作みたいな見た目になった。予防線を張る場所が一手ズレていた形になる。

お菓子作りで「これいけるんじゃない?」と思いついたときのわくわくと、オーブンを開けた瞬間の「あ」の落差は、やったことがある人なら身に覚えがあるはず。ちなみにポケモン絡みでうまくいった側の工作も世の中にはあって、サーティワンのモンスターボールサンデーの容器を鉢カバーに転用した話はきれいに決まっていた。

同じ型を使うなら、次は普通に焼いてから上にスプリンクルを載せるのが安全そうだ。もっとも、その正解ルートで作ったピカチュウは510万回も見られなかったはずなので、どちらが得だったのかは分からない。

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