周東佑京が満塁ランニングホームラン、小久保裕紀以来27年ぶり。1試合2発は史上初
満塁ホームランなのに、打った本人が全力疾走している。9月8日、みずほPayPayドームでのソフトバンク対日本ハム戦で、そんな場面が出ました。8回2死満塁、打席に立ったソフトバンクの周東佑京選手です。
8回2死満塁、右翼フェンスを直撃した打球
周東選手の打球はフェンスを直撃しました。スタンドには入らず、跳ね返ったボールが外野を転々とする間に、周東選手は一塁から二塁、三塁と回って本塁まで走り切ります。走者3人と本人で4点。記録はランニング満塁本塁打です。
映像を出したパ・リーグTVの公式アカウントも「世にも珍しい記録👀」と書いていました。Full-Countによれば、打ってから本塁に帰ってくるまでは15秒弱。打った瞬間はスタンドに入ったと思っていたそうで、東スポには「ジャンプしたのを見て、違うと思って走りました」と話しています。右翼手が跳ぶのを見て「入っていない」と分かり、そこから走り出したという順番です。一塁を回ってから加速し、三塁コーチが腕を回すのを見て本塁へ、というのが本人の説明でした。
ランニング満塁本塁打は27年ぶり、2リーグ制以降8本目
ここからが本題で、この打ち方の満塁本塁打がとにかく出ない。日刊スポーツの【データ】記事によると、ランニング満塁本塁打は1999年8月20日の日本ハム戦で小久保裕紀選手(当時ダイエー)が打って以来、27年ぶりです。
数え方が2種類あるので、ここは分けて書いておきます。日刊スポーツの表記では2リーグ制以降で8本目、プロ野球史上では通算9本目。どちらも本数ですが、8と9がずれるのは数える範囲の違いで、差の1本は2リーグ制になる前のぶんです。一方で27年ぶり9人目、パ・リーグでは6人目と伝えている媒体もあり、こちらは人数の数え方。日刊スポーツは「過去8人はその試合では本塁打1本だけ」と書いているので、その8人に周東選手を足して9人になります。史上通算の本数9と人数9はここで一致するわけです。
27年前についても日刊スポーツが書いていて、小久保選手が打った1999年8月20日も相手は日本ハム、球場も福岡ドーム(現みずほPayPayドーム)でした。同じカード、同じ場所です。しかもその小久保選手は現在のソフトバンクの監督なので、27年前の記録保持者がベンチで見ていたことになります。
満塁弾そのものはシーズン中に何本も出るもので、8月には西武の中村剛也選手が延長11回に代打で満塁本塁打を放って23年連続本塁打を決めています。それでも走って一周するタイプの満塁弾となると、平成の終わりから令和をまたいで1本も出ていなかったことになります。
初回にも先制2ラン、だから1試合2発が史上初になった
周東選手はこの日、1回にも打っています。無死一塁から右翼へ、先制の2ラン。8回のランニング満塁弾はこの日2本目でした。
日刊スポーツによると、過去にランニング満塁本塁打を打った8人はいずれもその試合の本塁打がその1本だけで、ランニング満塁弾を含む1試合2発は周東選手が初めてです。27年ぶりの珍記録に、さらにもう一段だけ上書きが乗った形になります。ホークス公式は「ウキョーの足が速すぎる!ランニング満塁ホームラン!」という一文を添えて映像を出しました。数字が伸びたのは先に挙げたパ・リーグTVのほうで、あちらの動画には公開から数時間で6万件を超えるいいねが付いています。
NPB公式のボックススコアで見ると、周東選手はこの日4打数3安打、2得点、6打点。NPBのスコアには1打席目が「右越本②」、5打席目が「右ラ本④」と並んでいます。
打った本人は「ゆっくり走りたい」
周東選手といえば盗塁の選手で、記録の中身も結局は足でつくったものでした。試合後の言葉は東スポによると「うれしかったなって感じです。僕らしいなと思いました」。ただ本音も出ていて、「キツい…。ゆっくり走りたいです。やっぱホームランは」とも話しています。ダイヤモンドを歩いて一周できるのがホームランの特権なのに、それを1本ぶん取り上げられているので、言い分としてはわかる気がします。
守備でも3回に、水谷選手の右中間深くへの大飛球をフェンス際でジャンプキャッチしていました。走って守って打って、この日は全部が周東選手の日です。
試合は14対1でソフトバンクが勝ちました。ソフトバンクはモイネロ投手が6回1/3を投げて勝利投手、日本ハムは山﨑福也投手が4回2/3で被安打7、被本塁打2、失点4という内容です。点差が開いた終盤、日本ハムは捕手の進藤勇也選手をマウンドに送り、進藤選手は2球で1アウトを取って無失点で切り抜けています。
同じみずほPayPayドームでは8月にも、ホームランを「マルタイ棒ラーメンポール」に直撃させた牧原大成選手に棒ラーメン1年分360袋が贈られるという出来事がありました。前田健太投手のNPB通算100勝のように到達までの年月で語られる記録もあれば、こういう1球で決まる記録もあって、次にランニング満塁本塁打が見られるのはまた何十年か先かもしれません。映像はパ・リーグTVとホークス公式が上げているので、まだ見ていない人は走り出しのところから見てほしいです。