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「花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すか」とは?元ネタはドラえもんのコラ

花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すか(かべんのみをたべるぜいたくなひつじをどこにかくすか) ・ 2026年9月29日 公開

ドラえもんが怒った顔で「花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すか」と詰め寄り、のび太が哲学書みたいな言い回しで返す。元ネタは原作のセリフを差し替えたコラ画像で、2026年6月にXで2万いいねを超えました。

意味ははっきりしません。分からないのに妙に説得力がある、そのズレを楽しむフレーズです。

「花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すか」とは?

漫画『ドラえもん』のコマを使い、セリフだけを難解な問答に入れ替えたコラ画像の一節です。画像の一番上でドラえもんが言うセリフが、そのまま呼び名になりました。

検索すると「花弁の実を食べる」と変換ミスした形でも打たれていますが、画像の表記は「花弁のみ」です。花びらだけを食べる、という意味の「のみ」ですね。

決まった意味はありません。ニコニコ大百科も、何を指す問いなのかは断言していない立場です。確定した解釈が無いまま、言葉の響きと絵面のギャップだけで広まりました。

元ネタはドラえもんのコラ

発端は、背靄(@ber_acdc)さんが2026年6月21日に投稿した画像1枚だけのポストです。本文は無く、いいねは2万2千を超えています。

画像は4つのコマでできていて、セリフは次のとおりです。

  • 上段のドラえもん(怒り顔)「花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すか」
  • 中段ののび太(ウインクで指を立てる)「その問いは既にして君の初発の意図を亡失している」「本来問われるべきは『羊を何から隠すのか』ということである」
  • 下段右のドラえもん「水がないところまで泳ぎ着いた水泳選手などいない!!」
  • 下段左ののび太「北極点から歩き始める全ての人は南を目指さざるを得ない!!」

後半の2つは、ニコニコ大百科ではまとめてのび太の発言として書かれています。ただ画像を見ると、下段右はドラえもん、下段左はのび太です。言い合いの形で終わっているわけですね。

なぜウケたのか

笑いどころは、いつものドラえもんとのび太が絶対に言わない言葉で口論しているところです。いつもは泣きつく側ののび太が「初発の意図を亡失している」と余裕で返すので、絵と文字が噛み合いません。

しかも一文ずつ読むと、それっぽい理屈が通っています。北極点から歩き出せば、どっちへ行っても南に向かうのは本当です。正しいのに何の話か分からない、この手触りが「分からんけど好き」という反応を呼びました。

投稿者の背靄さんは、同じ型の難解でシュールなコラを連作しています。6月17日には『ちびまる子ちゃん』の山田を使った1枚(2,405いいね)、7月23日にはジャイアンが「『名前の無い悪』をやっていくんだ」と語り出す1枚を出し、こちらは3万いいねを超えました。

ニコニコ大百科には2026年7月5日に項目が立ち、8月に最終更新されています。9月29日時点では、大百科トップの「おすすめトレンド」欄にも並んでいました。

『星の王子さま』由来という説

ニコニコ大百科では、サン=テグジュペリの『星の王子さま』から来ているという説が紹介されています。原作を読むと、羊と花と「隠す」がちゃんと揃っていました。

青空文庫にある大久保ゆう訳『あのときの王子くん』では、話はこう進みます。

  • 王子にヒツジの絵をねだられた「ぼく」は、ヒツジが入っている「ハコ」の絵を描く
  • 王子は「ヒツジがちいさな木を食べるんなら、花も食べるのかな?」と心配する
  • 「ぼく」はヒツジに「くちわ」を描いてあげると約束する
  • 結末で「ぼく」は、王子が自分の花を夜じゅうガラスのおおいの中に隠し、ヒツジから目を離さないはずだと考える

原作は「花をヒツジから隠す」話です。コラのほうは「贅沢な羊をどこに隠すか」と、隠す対象がひっくり返っています。のび太が「本来問われるべきは『羊を何から隠すのか』」と返すのは、このズレを突いているようにも読めます。

ただ、作者がそれを意図したかどうかは分かりません。あくまで「そういう説がある」という段階です。原作は青空文庫で無料で読めます。

同じコマのコラは昔からある

このコマを使ったコラ自体は新しくありません。ニコニコ大百科によれば、遅くとも2014年ごろには同じコマで、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の「語りえぬことには沈黙しなければならない!」を使ったコラが出回っていたそうです。

怒るドラえもんと得意げなのび太の組み合わせは、哲学っぽい言葉を乗せる台として昔から使われてきたわけです。2026年の1枚は、その台にオリジナルの問答を書き下ろしたものといえます。

原作のコマをそのまま使って文脈だけずらす寄生獣コラとは逆で、こちらは絵をそのまま残してセリフを丸ごと書き換える作り方です。

使い方・例文

画像そのものを貼って返すのが一番多い使われ方です。文字で使うときは、意味の分からない問いかけや、会話がかみ合っていない場面の例えになります。

  • 「上司の質問、花弁のみを食べる贅沢な羊をどこに隠すかレベルで分からん」
  • 「その問いは既にして君の初発の意図を亡失している」(的外れな質問への返し)
  • 「北極点から歩き始める全ての人は南を目指さざるを得ないんだよ」(当たり前のことを重々しく言いたいとき)

後半の2つは、のび太とドラえもんのセリフの流用です。フレーズ単体でも通じる人が増えたので、元画像を知っている人同士ならネタとして成立します。

関連する言葉

ドラえもんの画像がミーム化した例では、スネ夫が自慢話をするときに流れている曲があります。この曲名で出回った謎画像については、背景の正体を調べたニュース記事も書きました。

画像を加工してネタにする文化全体ではクソコラが近い言葉です。ただ、このコラは合成の粗さではなく、セリフの書き下ろしで笑わせている点が違います。

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