「ブラジルミク」の元ネタはErinの1枚、W杯でミクの親権争いに
初音ミクを、ブラジルの国民になったつもりで描き直す。それが 「ブラジルミク」(Brazilian Miku) です。2024年にファンアートとして世界中に広まり、2026年のワールドカップでは、勝った国がミクを連れていくという冗談にまで育ちました。
「ブラジルミク」とは?
読み方は「ぶらじるみく」。初音ミクの公式設定とは関係なく、ファンが描いた非公式のアレンジです。
お約束の要素はだいたい決まっています。
- 日焼けした肌
- 黄・緑・青のブラジルカラーの衣装
- サッカーのユニフォームやボール
- ブラジルの国民的な炭酸飲料ガラナ(Guaraná Antarctica)
水色の長いツインテールは、そのままです。ミクの見た目を残したまま、お国柄のアイコンだけを足していくのが型になっています(ニコニコ大百科)。
元ネタはErinさんの1枚
発端は、2024年6月25日にイラストレーターのErinさん(@ErinArtista)が投稿した「Brazilian Hatsune Miku sketch」です。日焼けしたミクがブラジル代表風の黄色いシャツを着て、ガラナのグラスと屋台の軽食を手にしたスケッチで、2026年10月時点で約12万いいねを集めています。
最初は1枚のスケッチでしたが、これに乗っかるファンが続きました。
2024年8月に世界へ
流行が一気に広がったのは2024年8月です。Doodlyさん(現 @doodly_sheery)の「brazilian miku」が、約52万いいねの大バズになりました(元の投稿)。Know Your Meme によると、5日間で閲覧は1,290万を超えたとされています。
同じ頃には、TikTokでブラジルミクのダンスアニメが投稿され、8日で240万再生を超えたという記録もあります(Know Your Meme調べ)。
8月下旬には、他の国のミクをその国の衣装と名物で描く「Every Country’s Miku」のシリーズにも派生しました(Know Your Meme)。
W杯でミクの親権争いに
2年越しにこのミームを再燃させたのが、2026年のワールドカップです。
2026年6月29日(日本時間30日)、決勝トーナメント1回戦で日本とブラジルが当たりました。日本は29分に佐野海舟選手が代表初ゴールで先制します。しかし後半アディショナルタイムにマルティネッリ選手に勝ち越され、1対2で敗れました(テレビ東京)。
この試合の前後から、ネットでは「日本に勝った国がミクを連れていく」という冗談が広がります。ミクは日本のキャラなのに、勝ったのはよりによってブラジルミクのいる国でした(KAI-YOU)。
話はここで終わりませんでした。7月5日、ブラジルはノルウェーに1対2で敗れます。ノルウェーはハーランド選手の2得点で、史上初のベスト8に進みました(KAI-YOU)。ここでミクの親権はノルウェーに移った、というわけです。
Haaland (Ha Ha Ha)の曲がショート動画で流れていた大会だけに、ミクがノルウェー側に回ったのは、妙に出来すぎた話でした。
「Hatsune Miku is Officially Norwegian」と題した投稿は、約5万いいねになっています。New University によると、400万ビューを超えたそうです。
その後も、勝ち上がった国がミクを受け取る流れが続きました。
- 準々決勝でイングランドがノルウェーに勝つ
- 準決勝でアルゼンチンがイングランドに勝つ
- 決勝でスペインが延長1対0でアルゼンチンに勝つ(日本時間7月20日)
最後はスペインが優勝し、ミクの親権もスペインに渡りました(New University)。
「ミクの呪い」と企業の便乗
ミクを連れていった国が、次の試合で負ける。ファンの間では、そんな指摘が出ました。
実際、ブラジルはノルウェーに、ノルウェーはイングランドに、イングランドはアルゼンチンに、アルゼンチンはスペインに負けています。スペイン語圏のアカウントが「¡LA MALDICIÓN DE MIKU ES REAL!(ミクの呪いは本物だ)」と投稿し、約1.6万いいねになりました。
最後にミクを受け取ったスペインは優勝したので、次の試合がないまま大会が終わりました。呪いの連鎖は決勝で止まった形です。
「毎回2対1で負ける」という話も出回りましたが、決勝は1対0なので、そこまでは言えません。呪いと呼べるのは「次の試合で負けた」ところまでです。
企業も乗りました。KFC Españaは「DEVUELVAN A MIKU(ミクを返して)」と投稿し、約5,300いいねになっています(該当の投稿)。クリプトンやFIFAの公式な反応は、確認できていません。
使い方・例文
ミームの使い方は、2つに分かれます。
1つ目は、絵そのものを指すときです。
- 「ブラジルミクの元ネタ、これだったのか」
- 「各国ミクの中でも、ブラジルミクは別格に完成度が高い」
2つ目は、W杯のネタとして使うときです。
- 「次の試合のミクの親権は、どこの国に行くんだろう」
- 「ミクを持った国は次で負けるから、むしろ連れていかれたくない」
関連する言葉
ミクがここまで世界のネタにされるのは、ボカロ文化が長く育ててきたキャラクターだからです。ネギを持つ姿の原点は、ロイツマのネギ回しにあります。ミクを世に広めた初期の曲では、みくみくにしてあげる♪も外せません。作り手の側を知りたいときは、ボカロPも合わせてどうぞ。
公式のほうのミクの動きは、別の記事でも追っています。ニコニコの初音ミク19周年の生放送や、ポケミクに参加したsupercellのryoが、いまのミクの空気を伝えています。