「ヤラララ」の正体は重音テトSV2のボカロ曲、作者はABM
ショート動画を流していると、やたらと当たる曲がある。歌詞はほとんど聞き取れないのに、「ヤラララ」のところだけ妙に残る。で、あとから探そうとすると曲名が分からない。「ヤラララ」とだけ検索窓に打ち込んだ人がけっこういるはずなので、先に答えから置いておく。
曲名はそのまま「ヤラララ」、歌っているのは重音テトSV2
タイトルは聞こえたまんまの「ヤラララ」。動画のほうは「ABM - ‘ヤラララ’ (YARARARA) feat. 重音テト」という表記で、頭に MV と付いている。つまり歌っているのは人間ではなく、合成音声の重音テトだ。
しかもクレジットされているのは重音テトSV2、正式名称で言うと「Synthesizer V 2 AI 重音テト」のほう。VocaDBの曲ページによれば、この音源が発売されたのは2025年11月27日で、曲が出た時点ではまだ半年も経っていない新しいテトだった。エイプリルフール発のネタキャラから始まった重音テトが、いまや5,000万再生クラスの曲のメインボーカルを張っている。
作ったのはABM、絵もアニメも全部ひとり
作者は AnythingBecomeMoe、略して ABM。ニコニコ版の説明文に本人が書いているクレジットが、この人の仕事量を物語っている。
制作期間:2ヶ月 プロデューサー / 作曲 / 作詞 / 編曲:AnythingBecomeMoe 絵コンテ / キャラクターデザイン / イラスト / アニメーション / モーショングラフィック:AnythingBecomeMoe ボーカル:重音テト SV2
曲を書いたのも、キャラを設計したのも、MVを1枚ずつ動かしたのも同じ人。VocaDBのアーティスト紹介では韓国のミュージシャン兼イラストレーター兼アニメーターと英語で説明されていて、ニコニコ側でも「海外PのVOCALOID」というタグが付いている。ボカロPという呼び名がどこから来たかはミーム辞典の「ボカロP」にまとめてあるけれど、ここまで全工程をひとりで抱えている人はPというより工房に近い。
YouTubeへの投稿は2026年5月25日の15時ちょうど。配信サイトへのリリースはその2日後の5月27日で、先に動画、あとからサブスクという順番だった。
VocaDBに並ぶ曲名が4つある
この曲、名前の表記が1つではない。VocaDBの曲ページには次の4つが登録されている。
- ヤラララ(日本語)
- YARARARA(ローマ字)
- 야라라라(韓国語)
- BLAHBLAHBLAHBLAH(英語)
最後のやつが効いている。blah blah blah は英語で「なんやかんや」「ぺちゃくちゃ」にあたる言い回しで、日本語で「ヤラララ」と聞こえるあの繰り返しを、英語圏向けに置き換えるとこうなる、という並びになっている。意味のある単語を探しても出てこないのは当然で、もともと口から出る音そのものが曲名になっている。
歌詞そのものを読みたい人は、うたてんの「ヤラララ」の歌詞ページにふりがな付きで載っている。聞き取れなかった部分はだいたいここで解決する。
ニコニコ版は62万再生、タグは「殿堂入り」
同じ日にニコニコ動画にも本人が上げていて、こちらの動画IDは sm46354721。9月14日時点で再生62万7,104回、コメント2,114件、マイリスト2,793件。タグには「SynthesizerV殿堂入り」と「ボカロP自作アニメーションMVリンク」が並んでいる。
YouTube側は同じ時点で5,544万6,021回。桁が2つ違うので、どこで流行ったかがそのまま数字に出ている。ボカロ曲の入口がニコニコからYouTubeとショートに移って久しいことは、誕生日からボカロ曲を探せるサイト「Vocabirth」の記事で数えた27,253曲の内訳にも表れていた。
「プロセカ ヤラララ」で検索されている理由
検索の並びを見ると「ヤラララ」と一緒に「プロセカ」を打っている人も多い。テトの曲イコールあのゲーム、と連想するのは自然な流れだけれど、ABMの「ヤラララ」はゲーム向けに書かれた曲ではない。本人がYouTubeとニコニコに上げた個人制作のMVが出発点で、クレジットにゲーム側の名前は出てこない。
じゃあ何を見て検索しているのかというと、ファンが作った動画のほうだ。TikTokにはハコイクク(@hakoikk)の「【プロセカ】中盤の本家再現の編集が大変すぎた 既存の収録曲で『ヤラララ』合わせてみた」といった、ゲームの既存曲のプレイ映像をこの曲に合わせて編集した動画が上がっている。Beat Saberのカスタム譜面も有志の手で作られていて、それを遊んでいる動画も見つかる。音ゲー勢が勝手に譜面を作って遊ぶところまでがセットになっていて、そのクリップがまたショートで回る。書き下ろし新曲がゲームから出てくるプロセカの「アンチサイノウ」とは、広がり方がちょうど逆になっている。
次にショートで流れてきたら、曲名は「ヤラララ」、声は重音テト、作ったのはひとりで全部やるABM。それだけ覚えておけば、もう検索しなくて済む。本家のMVはABMのYouTubeチャンネルにある。