映画ドラえもん「のび太の蒸気時間車」はリメイクではなく完全オリジナルになる
9月15日の朝6時半、ドラえもん公式が新作映画の公開日を出した。『映画ドラえもん のび太の蒸気時間車』、2027年3月5日(金)公開。同時に本編映像を使った特報も解禁されている。
タイトルが発表されたのは2026年7月24日の朝7時で、そこから2か月近く、この作品にはずっと付いて回っている検索ワードがある。「のび太の蒸気時間車 リメイク」だ。前作がリメイクだったせいで、今回もそうなのかと引っかかっている人がけっこういる。
先に答えを書いておくと、今作はリメイクではない。映画公式サイトの紹介文にも、ドラえもんとのび太たちが21世紀の日本から時空を越えて大冒険を繰り広げる「完全オリジナルストーリー」とはっきり書かれている。原作の大長編に『のび太の蒸気時間車』という話は存在しない。
リメイクかどうかは、タイトルの付け方で見分けられる
ややこしくなっている原因は、直前の45作目が2026年2月27日公開の『新・のび太の海底鬼岩城』だったことにある。1983年の『のび太の海底鬼岩城』を作り直した一本で、つまり今年2月の劇場はリメイク回だった。その次の新作となれば、また原作ものかと考えるのは自然な流れだと思う。
ただ、このシリーズはリメイクのときに必ずタイトルで合図を出している。
- 『新・のび太と鉄人兵団』(2011年)/原作は1986年の『のび太と鉄人兵団』
- 『新・のび太の大魔境』(2014年)/原作は1982年の『のび太の大魔境』
- 『新・のび太の日本誕生』(2016年)/原作は1989年の『のび太の日本誕生』
- 『のび太の宇宙小戦争 2021』(2022年公開)/原作は1985年の『のび太の宇宙小戦争』
- 『新・のび太の海底鬼岩城』(2026年)/原作は1983年の『のび太の海底鬼岩城』
頭に「新・」が付くか、末尾に西暦が付くか。作り直しの回はこのどちらかになっていて、素の原作タイトルがそのまま出てくることはない。今回の『のび太の蒸気時間車』はどちらも付いていないので、タイトルを見た時点で新作だと判断できる形になっている。
近年の並びを見ても、2023年『のび太と空の理想郷』、2024年『のび太の地球交響楽』、2025年『のび太の絵世界物語』とオリジナルが3年続いて、2026年にリメイクが1本挟まった、という流れだ。今作はその後のオリジナル回にあたる。
19世紀のロンドンで、線路が光って時間が巻き戻る
特報は30秒ほどの短いもので、霧っぽい19世紀イギリスの街並みと、その時代の衣装を着たのび太たちが映る。そこへ光る線路の上を走っていく「蒸気時間車」が出てきて、最後に映像そのものが巻き戻り、ドラえもんの「時間の流れが、変わってる!」という叫びで終わる。
同時に出たティザービジュアルは、その蒸気時間車をバックに、19世紀イギリスのファッションに身を包んだドラえもんとのび太が並んでいる一枚。記念写真を撮っているような構図で、色味もモノクロ寄りに寄せてある。
公式が付けたキャッチコピーは「これは、過去と未来をつなぐ“時間”の物語」。ティザービジュアルの投稿でも「すこし・ふしぎ」という言い方をしていて、藤子・F・不二雄がSFに当てていた読み方をそのまま持ってきている。舞台がロンドンで、乗り物が蒸気機関車で、時代が19世紀。スチームパンクの絵面が一通りそろっていて、ドラえもんの画面ではあまり見ない組み合わせになる。
脚本は『サマータイムマシン・ブルース』の上田誠
面白いのはスタッフの顔ぶれのほうかもしれない。脚本を書くのは劇団ヨーロッパ企画の上田誠で、映画ドラえもんシリーズには初参加になる。
この人、時間ものをずっと書いてきた書き手だ。壊れたエアコンのリモコンを取りに前日へ戻る『サマータイムマシン・ブルース』、2分先の未来が映るモニターだけで押し切る『ドロステのはてで僕ら』、川辺の旅館で同じ2分を繰り返す『リバー、流れないでよ』。アニメでも『四畳半神話大系』のシリーズ構成や、その続編にあたる『四畳半タイムマシンブルース』の脚本を担当している。
タイムトラベルを大冒険の道具として使うのではなく、限られたルールの中で登場人物をぐるぐる走らせるのが得意な人、という印象が強い。そこにタイムマシンを標準装備しているドラえもんが合流するとどうなるのか、というのが今作のいちばんの見どころになりそうだ。
監督はTVアニメ『ドラえもん』に2020年から関わってきた森山瑠潮で、こちらも映画シリーズは初。新しい組み合わせで完全オリジナルを作る、という布陣になっている。
「春」としか書かれていなかった公開日が確定した
7月のタイトル発表時点では、公開時期は「2027年春」としか出ていなかった。今回の特報解禁で3月5日(金)に確定した形になる。春休みの頭に当たる金曜で、シリーズのいつもの枠だ。
公式の投稿は、出てから1時間足らずで1,700を超えるいいねが付いていた。ちなみに2027年の劇場は「ポケモン:ワイルドカード」も公開予定で、国民的アニメの新作映画が並ぶ年になる。
リメイクを期待していた人には申し訳ないけれど、今回は原作なしの一本勝負。公開まではまだ5か月半あるので、当分は蒸気時間車がどういう仕組みの乗り物なのかを勝手に想像して過ごすことになる。ドラえもんの誕生日まであと86年という話もあったし、時間の話題に困らない作品ではある。