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ファイナルファンタジー3の「闇の世界」でセーブできないのは戻れない仕様が理由

夜11時すぎの親子のやりとりを書いただけの投稿に、いいねが8万7000ついた。16ビット📀(@favoga_)さんが9月22日の朝に投稿したもので、返信も260件を超えた。中身はこうだ。母が「もうゲームやめて寝なさい」と言い、息子が「セーブできるところまで」と返し、母が「さっきもそう言ったでしょ」と食い下がる。ここまでは、たぶん日本中の家で起きている会話だ。

風向きが変わるのは、話を聞いていた父が画面をのぞいたところからだ。「いま、どこ?」と聞かれた息子が答えた現在地が「クリスタルタワーを抜けて闇の世界に入ったところ」。そして父の顔が変わる。

分かる人だけが青ざめるタイプの投稿で、1日ちょっとでこれだけ伸びたのも、この一行の破壊力のせいだと思う。何がそんなにまずいのか、順に説明する。

「闇の世界」に入ると、エンディングまで後戻りができない

舞台はファミコン版の『ファイナルファンタジーIII』。1990年4月27日にスクウェア(現・スクウェア・エニックス)が出したRPGで、国内で約140万本売れてシリーズ初のミリオンセラーになった作品だ。

問題は終盤の構造にある。攻略サイト「GCGX」のクリスタルタワーの攻略ページによると、クリスタルタワー7階の奥の部屋にある鏡を調べるとイベントが始まり、魔王ザンデとの戦闘になる。そしてこう書いてある。「ここまで進めると戻ることができないので、戻りたい人は鏡を調べないこと。」

鏡がそのまま不可逆の分岐点になっているわけだ。ザンデを倒すと、休む間もなく「暗闇の雲」との連戦が始まる。この戦いがまた曲者で、同ページは「負けイベントです。」と書いている。物理防御も魔法防御も完璧なうえ、行動するたびにHPが64768以上に戻るので普通は倒せない。「倒しても負けてもイベントが進み、そのまま闇の世界へ移動します。」とあるとおり、勝っても負けても物語は闇の世界に進む。

別の攻略サイト「表裏」のFC版クリスタルタワーのチャートはもっと直球で、「最深部でのイベント以降はエンディングまで後戻りができません。」と書き、その直後に「(ゲームクリア後にセーブすることも不可能)」と添えている。だから同ページは、鏡に触る前に一度引き返してセーブしておくことを勧めている。

セーブポイントは「クリスタルタワーの前」で打ち止め

ここで「後戻りができない」が「セーブできない」に直結する。同じ夜にこの投稿を見た人たちが、そのへんを補足していた。「FF3はフィールドでしかセーブ出来ない」と説明する人がいる一方で、塔の前のセーブポイントを話題にする流れに対しては「闇の世界入ったらセーブできないし戻れない(クリアするまで出れない)んだよなあ。」と、問題はそこじゃないと言い直す人もいた。

つまり、セーブするには町やフィールドまで戻る必要がある。戻れなくなった時点で、セーブする場所そのものが消えるという理屈だ。

しかも逃げ道も塞がれている。「表裏」は準備の節で「古代の民の迷宮以降のダンジョンは「テレポ」や「デジョン」等での脱出が出来ないので、戦闘で全滅するとダンジョン攻略を最初からやり直さなければなりません。」と書く。脱出魔法が効かないので、全滅したら最後のセーブ地点まで巻き戻る。その最後のセーブ地点が、みんなが口をそろえて言う「クリスタルタワーの前」だ。

ついでに、そのクリスタルタワー自体が長い。「表裏」は「クリスタルタワーは暗黒の洞窟並に広いので、最深部に行くまでに時間がかかります。」と書いている。長い塔を抜け、負けイベントの連戦をこなし、そこからさらにラストダンジョンが控えている。この区間をまるごとノーセーブで走り切れ、というのがFC版の仕様だった。

父が事情を説明したら、母は押し入れから布団を持ってきた

投稿には続きがあって、こちらも4万6000いいねを超えている。父が「ここからセーブできない」と告げ、母が「あと何分?」と聞く。父の答えは「順調なら1時間くらい」。母がさらに「順調じゃなかったら?」と重ねると、父は「数時間前からやり直し」と返す。

ここで母が取った行動が良い。しばらく黙ったあと、押し入れから布団を持ってきて「じゃあ、ここで寝る。終わったら起こして」と言う。そして締めの一行が効く。「その夜、家族3人で暗闇の雲を倒した。」寝かしつけに来たはずの人が、そのまま夜戦の後方支援に回っている。

ちなみに「表裏」のチャートは、暗闇の雲戦について「勝てないので「エリクサー」「フェニックスのお」は使わないで下さい。」と注意している。この家族が回復アイテムを温存できていたかどうかは、投稿には書かれていない。

同じ夜を過ごした人たちが、次々に自分の記憶を出してきた

この投稿をきっかけに、当時のプレイヤーの体験談が流れてきた。

  • 「FC版はクリスタルタワー以降エンディングまで電源ONのまま休憩するしか休む術がない」(電源を切れないので、席を立つしかない)
  • 「FC版を正規クリアしようとすると土のダンジョン、エウレカ、クリスタルタワー、魔界とノーセーブ」(塔の前のセーブが事実上の最後、という指摘)
  • 「ゲームは1日1時間、超えたときは次の日ゲームをしない」という家庭ルールだった人(親もゲームをやっていてセーブポイントの概念を分かっていたのが大きかった、とのこと)
  • 「相当な難易度のラスダンをセーブ無しでクリアした当時のプレイヤーは本当に凄いと思う」

一方で「当時小学校高学年でリアタイでクリアしたけど、あんまり鬼畜だった印象が無いんだよな」と書く人もいた。それ以前のゲームを考えればこのくらいは普通だった、という見方だ。同じ仕様でも、記憶の残り方はけっこう割れている。

いちばん現代的だったのは「クリスタルタワー入ったらクリアまでセーブできないの、どういう判断でGOサイン出したんだろうなの気持ちはちょっとある」という感想だろうか。いまの感覚だと、確かに一度は聞いてみたくなる。

いまのピクセルリマスター版では、この詰み方は起きない

「じゃあ今から遊んだら同じ目に遭うのか」と言うと、そうはならない。「GCGX」のページには「FC版ではテレポ・デジョン不可能、ピクセルリマスター版はワープ可能。」とあり、脱出手段が復活している。

さらにピクセルリマスター版にはオートセーブが入っていて、画面が切り替わるタイミングなどで勝手に保存される。ファミ通.comのピクセルリマスター版『FF3』のレビューは、見出しからして「オートセーブ・中断でクリスタルタワーも怖くない!」だ。全滅してもすぐ近くから再開できるので、朝までコースにはならない。詳しい内容はファイナルファンタジー ピクセルリマスターの公式サイトに出ている。

当時を知る人からは「中断セーブやオートセーブがあるから気楽に楽しめるけどね。」という声も出ていた。30年以上かけて、あの夜は無くなったわけだ。

FF関連だと、シリーズの完結編と一緒に予約が始まったFF7リメイクシリーズのコンプリートエディションが77,777円という話や、ファイナルファンタジー40周年記念展が2027年1月から東京国立博物館 表慶館で開かれるという話もある。

そして、親に「セーブできるところまで」と言い訳するときは、いま自分がどのダンジョンにいるか確認してから言ったほうがいい。相手が経験者だと、その一言で全部バレる。

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