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コキンメフクロウ、Grokに訳させると「ヨーロッパモチモチ」になる

2026年9月12日 ・ トレンド「ヨーロッパモチモチ コキンメフクロウ Grok 翻訳 スペイン語 mochuelo」より
ウチワサボテンの上にとまるコキンメフクロウ。黄色い目と白い斑点が並ぶ茶色の羽が見える
画像: コキンメフクロウ(Athene noctua)(CC BY-SA 4.0 / Houssembo, via Wikimedia Commons。当サイトで縮小・切り抜きをしています。改変後の画像も同じ CC BY-SA 4.0 で提供します

スペイン語のポストを X の Grok 翻訳に通したら、フクロウの名前が「ヨーロッパモチモチ」になっていた。9月12日の朝9時32分、ねゔぁもあさん(@Nemain496)がそのスクリーンショットを添えて投稿すると、同じ日の昼過ぎには2万1千いいねを超えた。Yahoo!リアルタイム検索の急上昇ワードでも「ヨーロッパモチモチ」が1位に出ていた。

Grokの訳文に「ヨーロッパモチモチ」が紛れていた

スクショに写っている日本語訳はこうだ。「スペインのいくつかの農村地域では、「モチュエラ陶器瓦」と呼ばれる特別な瓦が開発されており、ヨーロッパモチモチ(Athene noctua)が巣を作れる小さな避難所を作るために設計されています。」

文章そのものは真面目である。瓦の話も、避難所の話も、ちゃんと意味が通っている。ひとつだけ、鳥の名前が「ヨーロッパモチモチ」になっている。しかも学名の Athene noctua はそのまま残っているので、訳文としては「正解を括弧書きで添えつつ、和名だけ自作した」という妙な形になった。

伸び方も独特だった。12日13時台の時点で表示71万、リポスト8,200、ブックマーク1,848に対して、リプライは17件。言い返すより保存して回すほうに振れている。

タネはスペイン語の「mochuelo」だった

コキンメフクロウはスペイン語で mochuelo europeo(モチュエロ・エウロペオ)と呼ばれる。europeo が「ヨーロッパの」なのでそこは素直に訳され、残った mochuelo のほうが「モチモチ」に化けたとみられる。瓦のほうの「モチュエラ陶器瓦」も、原文にある mochueleras の音がそのまま残った形だ。

投稿した本人も、あとから補足を付けている。「羽角のないフクロウをそもそもmochuelo と呼ぶらしい」と紹介したうえで、「誤訳っていうより意訳に近いハルシネーションかなぁ、でもいいよねヨーロッパモチモチ」と書いていた。怒るところではなく、拾いどころだという判定である。

機械翻訳が固有名詞で転ぶ話は珍しくないけれど、たいていは意味不明な文字列になって終わる。今回は音が日本語として成立してしまったのが厄介で、口に出すと妙に据わりがいい。言語ごとの相性でいうと、ゲーム翻訳者が語る日本語の圧縮効率の話も似た手触りがある。

元の投稿は、フクロウのための瓦を紹介していた

翻訳元になったのは、12日0時51分にスペイン語アカウント @TSapiencial が投稿したポストだ。スペインの一部の農村では「tejas mochueleras」と呼ばれる特別な瓦が作られていて、コキンメフクロウが営巣できる小さな隠れ家になる、という内容になっている。添えられた画像は左右2カットを並べたもので、左は瓦の上に立つコキンメフクロウ、右は屋根に乗せられたトンネル状の穴あき素焼き瓦だった。

ただ、この「tejas mochueleras」という瓦そのものを解説した資料は、探しても見つけられなかった。スペイン語圏で mochuelera がコキンメフクロウ用の巣箱を指して使われている例はあるので、瓦の呼び名や普及ぐあいについては元の投稿の紹介として受け取っておきたい。写真に写っている穴あき瓦が実在するのは見てのとおりだ。

翻訳の珍事のほうが目立ったものの、ねゔぁもあさんは「ふくろうが瓦にすんでくれるのもめっちゃいいなぁ」と、瓦の話にもちゃんと反応していた。

コキンメフクロウはアテナの使いで、瓦の下にも住む

Wikipediaには「コキンメフクロウ(小金目梟、学名:Athene noctua)は、フクロウ目フクロウ科の鳥である」とある。体長は23〜27.5センチほどで、フクロウとしてはかなり小さい。和名の「金目」は見た目そのままで、「目は和名の通り黄色(金色)である」と書かれている。

属名の Athene も由緒がある。「本種はギリシア神話の女神アテナの使いとされており、学名のうち属名 “Athene” はアテナに由来する。」というわけで、女神の使いという肩書きから「ヨーロッパモチモチ」までの落差がなかなかすごい。投稿者も「noctuaは夜から派生した語でフクロウをあらわします」と学名の後半を補足していて、つまり直訳すると「アテナの夜の鳥」あたりになる。

生息域はヨーロッパから北アフリカ、中国までのアジアと広い。農村や公園、砂漠のような開けた土地に一年じゅう居着き、基本は夜行性だが昼間も動く。営巣は木や岩の穴を使うのが普通で、スペインの猛禽保護団体Brinzal の解説にも、自分では巣を作らず、木の穴や人工の建造物、そのほかの空洞の中に産卵するとある。穴を一から掘るのではなく空いている穴を借りる鳥なので、穴の開いた瓦を用意してやるという発想は生態にきちんと噛み合っている。

鳥の名前や姿が別のところで効いてくる話だと、新幹線500系の鼻がカワセミのくちばしから生まれたという例もあった。あちらは形を借りた話で、こちらは名前を奪われた話になるが。

呼び名としては、もう手遅れかもしれない

翻訳エンジンが勝手に作った名前なので、当然どの図鑑にも載っていない。それでも一度「ヨーロッパモチモチ」で覚えてしまうと、正式名称のほうが思い出しにくくなる。フクロウ界隈だとデュオリンゴ公式が「鳥畜生」でもエゴサしているという話もあったし、あだ名のほうが本名を押しのけるのはよくあることだ。

とりあえず、コキンメフクロウで画像を検索してみてほしい。丸くて黄色い目の小さいやつが出てくる。モチモチではあった。

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