滋賀・守山市で捕まった「徘徊するダチョウ」の正体はエミュー
朝の通勤時間帯に、通りをでかい鳥が歩いている。2026年9月23日、滋賀県守山市でそんな通報が入った。110番の内容は「ダチョウが徘徊している」。付近の住民から複数の目撃情報が寄せられ、警察も動いた。
そして約2時間後、鳥は無事に捕まった。ただ、捕まえてみたらダチョウではなかった。体長およそ2メートルのその鳥は、エミューだった。
「ダチョウが徘徊している」から始まった2時間
MBSニュースの報道によると、通報があったのは午前6時45分ごろ。場所は守山市吉身1丁目の交差点付近で、住民から複数の目撃情報が入った。午前7時ごろには警察官も鳥の姿を確認していて、その後、鳥はJR守山駅の方向へ去っていったという。
朝7時の駅の方向、というのがなかなか怖い。通勤通学のピークに向かって、体長2メートル級の走れる鳥が歩いていったわけだ。
捕獲は午前8時40分ごろ。市内の集合住宅の敷地内で、警察官が取り囲んだところへ飼育員が入って確保した。けが人はいなかった。通報から捕獲まで、ちょうど2時間ほどの騒ぎだった。
逃げ出したのは、移動動物園の経営者の自宅の庭から
捕まった鳥は、移動動物園の経営者がペットとして飼っていたエミューだった。経営者宅の玄関先の庭でアメリカダチョウと一緒に放し飼いにされていたもので、庭の扉は施錠されていたという。どこから抜け出したのかははっきりしていない。関係者はこれまでこうしたことはなかったので驚いていると話している、とMBSは伝えている。
つまり通報した人から見れば、朝の交差点にいきなり体長2メートルの鳥が現れたわけで、「ダチョウ」と言ってしまうのはかなり自然な反応だ。庭で本物のアメリカダチョウと一緒に暮らしていた鳥だったという点も、ややこしさに拍車をかけている。
ダチョウとエミューの違いは、足の指の本数
ではダチョウとエミューはどう違うのか。いちばん分かりやすいのが足元だ。
ダチョウの趾(あしゆび)は中指と外指の2本しかない。Wikipediaの「ダチョウ」の項でも、3本指のエミューやレアとは違う点としてわざわざ書かれている。対してエミューの指は3本で、その先には丈夫な爪が付いている。走るための脚なのに、指の数が種類でこうもきれいに分かれるのは面白い。
大きさもけっこう違う。ダチョウはオスの成鳥で体高230センチ、体重135キロを超える世界最大の鳥。エミューは体高1.6〜2.0メートル、体重40〜60キロで、鳥類の中ではダチョウに次いで背が高い2番手だ。並べれば一回り差があるものの、単体で道を歩いているところに出くわしたら、身長より高い鳥という時点で区別どころではない。
そもそも分類からして別の仲間で、エミューはヒクイドリ目ヒクイドリ科。ダチョウ目のダチョウとは科どころか目が違う。どちらも飛べない代わりに脚が速く、エミューは時速50キロで走る。
エミューは日本でも珍しい鳥ではなく、観賞用や愛玩用のほか食用としても飼われている。牧場や観光施設で見かけたことがある人もいるはずだ。今回のように個人がペットとして飼っているケースもある。
速報の「ダチョウ」に「エミューじゃなく?」と返した人がいた
面白いのは、まだ「ダチョウ徘徊か」と出ていたほうの速報に、「ダチョウ? エミューじゃなく?」と書き込んでいた人がいたこと。結果としてその読みが当たったわけで、見分けがつく人にはつくらしい。
同じ速報に、オーストラリアで運転中にエミューと並走されて焦った、という思い出を書き込んだ人もいた。エミューはヒトに対しては温厚な鳥とされるが、まったく無害というわけでもない。
見た目と正体がずれる生き物というと、京都市動物園に生まれたケープハイラックスも、モルモットみたいな顔をして最も近い親戚がゾウだった。今回のエミューも、通報の瞬間は完全にダチョウ扱いされていたのに、ふたを開ければ目のレベルで別の鳥だったわけだ。鳥の話でいえば、富山でライチョウのひなが一気に7羽ふ化したニュースも今年あった。
次にどこかで首の長い大きな鳥を見かけたら、まず足元を見てほしい。指が3本ならエミューだ。