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「祠ネタ」の祠おじさんは文町さんの投稿が元ネタ、声は諏訪部順一

祠ネタ(ほこらねた)(ほこらねた) ・ 2026年9月15日 公開

村に着いた主人公が、うっかり古い祠を壊す。そこへ腰の曲がった爺さんが駆けてきて「あの祠を壊したんか!もうダメじゃ!」と叫ぶ。ホラー映画でも怪談でもさんざん見てきた場面ですが、これを言ってくる相手が「無精髭に長髪の喫煙者30代男性」だったらどうか。そこを入れ替えただけの一本のポストから広がったのが「祠ネタ」です。

「祠ネタ」とは?

「祠ネタ」(ほこらねた)は、「村の祠を壊す → 祟られて死ぬ」というホラーの定番シチュエーションを借りた大喜利・構文のことです。祠を壊してしまった側と、それを告げる側の掛け合いで遊びます。

祠を壊すと祟られるという筋書き自体は、ホラー映画や怪談で繰り返し使われてきたお約束です。ネット上でもぽつぽつと形になっていて、たとえば2024年8月18日にはニコニコ動画に『お前あの祠壊したんか!』という曲とMVが投稿され、再生数は11万を超えています(歌はSuno AI、絵とMVはあぶぶさん)。

ただ、いつ誰が最初にネタとして使ったのかという確定的な記録までは残っていません。「◯年ごろから」と書いている解説もありますが、一次ソースにあたるものは見当たらないので、ここでは断定しないでおきます。

はっきり分かっているのは、2024年10月に一本のポストが跳ねて、そこから「祠おじさん」という概念キャラが生まれ、イラストや音声や替え構文が一気に増えたということです。今「祠ネタ」と言ったときに指しているのは、だいたいこの2024年10月以降の流れのほうです。

元ネタ・由来

発端は、TRPGシナリオライター・配信者の文町さん(@machi_trpg)が2024年10月9日20時7分に投稿したポストです。

よく分からん村の爺さんが言う「あの祠を壊したんか!もうダメじゃ!」と、無精髭に長髪の喫煙者30代男性が言う「あー、あの祠壊しちゃったの? それじゃもうダメだね。君、たぶん死ぬ」を並べて、後者のほうが無理、という内容でした。

このポストはそのまま伸び続けて、2026年9月時点で17万件を超えるいいねが付いています。2024年10月13日に報じたねとらぼの記事は続きの投稿と合わせて「20万件を超える」、10月17日のKAI-YOUの記事は執筆時点で「18万いいね」と書いていて、数字は見る時点と数え方で変わります。

差分はセリフの中身ではなく、言ってくる人間の解像度です。爺さんの「もうダメじゃ!」は物語の様式として処理できるのに、30代の喫煙者が淡々と「君、たぶん死ぬ」と言ってくると、急に他人事でなくなる。文町さんはこの続きも投稿していて、そこでは「ベソベソ泣きながら何もせず膝抱えて死ぬか、バケモンに一矢報いて死ぬかは選べるよ。どうする?」と選択肢だけ置かれます。助ける気はないのに、腹を括ると「そうこなくちゃな」と初めて笑う。ねとらぼによれば、この続きまで含めてキャラクターが出来上がっていました。

諏訪部順一が「祠おじさん」を演じる

爆発的に広がった決め手のひとつが、声が付いたことでした。2024年10月11日、声優の諏訪部順一さん(@MY_MURMUR)が「のっかってみた(笑)」のひと言を添えて、祠おじさんを演じた音声を投稿します。

こちらも6万7千件を超えるいいねが付きました。文字で読んでいたときは想像に任せていた「あー、あの祠壊しちゃったの?」の温度が確定してしまったわけで、以降のイラストや二次創作は、だいたいこの声を前提に描かれるようになります。諏訪部さんはホラー方面の仕事も多く、映画「バックルームズ」日本語吹替版で主人公クラーク役を務めるといった配役が続いています。

その後はTogetterのまとめに並ぶとおり、祠を壊した報告の大喜利へ広がりました。「お、お前あの祠を増やしたんか!?」と壊す側が斜め上に行くパターンや、人気ポストを集めたposfieのまとめにある「あれは……重要文化財じゃぞ!!」と俗な理由で嘆く老人など、差し替える場所は決まっていません。呼び名も「祠おじさん」のほか、ねとらぼが書いたとおり「多分死ぬおじさん」が並行して使われました。にじさんじの周央サンゴさんは「祠 ガ チ ャ」と題した配信で、「君はもう死ぬ」と告げるおじさんを引き当てるまで祠を壊し続ける企画までやっています。

なぜ刺さったのか

下地がありました。KAI-YOUはこのミームを「因習村」の流行に接続していて、『ミッドサマー』や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のように、閉じた村・よそ者・古い決まりごとを扱う作品がジャンル名を持って語られるようになっていた時期にあたります。同じ記事はクトゥルフ神話TRPGやエモクロアTRPGの人気も挙げていて、怪異にどう対処するかを考えるTRPG的な想像力が、引用ポストでの大喜利を誘ったと書いています。文町さんがTRPGのシナリオを書いて配信もしている人だったことを踏まえると、この語りが出てきた土壌もつかみやすいはずです。

そのうえで、人物像が具体的だったのが効きました。無精髭・長髪・喫煙者・30代男性という条件がそろっていれば、誰でも絵にできるし、声も当てられるし、セリフも足せる。イラストから音声、大喜利へと媒体をまたいで増えていったのは、素材として使いやすかったからです。

日本のネット怪談が形を変えて広がっていく型としては、数行のコピペだった「巨頭オ」が実写映画になった件が近い例です。村ホラーそのものへの関心も落ちておらず、「八尺様がいた夏休み」がキヨさんの実況で伸びた件や、『SILENT HILL f』と『都市伝説解体センター』のコラボのように、田舎と因習を舞台にした作品は今も次々出ています。

使い方・例文

  • 「え、それ祠ネタじゃん」(うっかり何かを壊した報告に対して)
  • 「あー、あの祠壊しちゃったの? それじゃもうダメだね。君、たぶん死ぬ」(祠おじさんの口調をそのまま借りる)
  • 「爺さんに怒られるほうがまだ救いがある」
  • 「お、お前あの祠を増やしたんか!?」(壊す以外に差し替える派生)

使い方は主に2通りです。ひとつは祠おじさんの口調をそのまま借りて、身近な失敗を死の宣告みたいに告げるパターン。もうひとつは「祠」の部分を別のものに差し替える大喜利で、ゲームの実績を取り逃した、職場の備品を壊した、といった話に当てはめられます。

関連する言葉

ネット発の怪談やお約束をまとめて指すなら洒落怖都市伝説が入り口です。村と因習という舞台つながりでは八尺様、ネット怪談の代表格としてはきさらぎ駅があります。

遊び方の側から見ると、祠ネタは決まった型にボケを乗せていく大喜利そのものです。発端が文町さんというTRPGの書き手だったことを踏まえるなら、卓の様子を読み物にしたリプレイまで含めて、この界隈の言葉として一緒に押さえておくと分かりやすいと思います。

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