「地味ハロウィン」とは?発祥は2014年のデイリーポータルZ、歴代の仮装
魔女やドクロではなく、「区役所で戸籍出してくれる人」のような、どこかにいそうなあの人になりきる。それが 「地味ハロウィン」 です。
「地味ハロウィン」とは?
「地味ハロウィン」は、職場や学校、街で見かける人や「あるある」の場面を仮装にするハロウィンのことです。
デイリーポータルZが毎年開いているイベントの名前で、Xでは「#地味ハロウィン」のハッシュタグで仮装が投稿されます。
魔女やドラキュラのような定番は避けます。凝った衣装もいりません。
ルールはゆるく、主催が2021年に出した案内には「衣装がなくても言ってしまえば仮装がなりたつ」とあります。2026年に投稿された「詰め替えを注ぐ女」のように、洗面所での動きを再現するだけでも仮装として通ります。
派手な仮装が集まる渋谷のハロウィンとは、逆を向いた遊びです。
元ネタ・由来
始まりは、2014年11月6日にデイリーポータルZが公開した、林雄司さんの記事「地味な仮装のハロウィンパーティー」です。
会場は阿佐ヶ谷のレンタルスナックでした。集まった人の仮装は、たとえばこんな顔ぶれです。
- 区役所で戸籍を出してくれる人
- キャバクラのチラシ配り
- 無印良品のカタログに載っている家族
- つけめん屋の主人
- 身代金の受け渡し現場で、男子高校生になりすましている刑事
記事には「日本でいちばん地味なコスプレパーティーになったと自負している」とあり、この一言が今も看板になっています。
広がりの歴史
その後の流れを、わかる範囲で時系列に並べます。
- 2015年に一般参加が始まり、記事のタイトルは「地味な仮装160人のハロウィンパーティー」になった
- 2018年は参加者800人超とされ、Twitterの日本トレンド1位になった
- 2019年に大阪へ初上陸し、北海道・鹿児島・台湾にも広がった
- 2020年はiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズをリアル会場に開かれた
- 2023年は東京カルチャーカルチャーでの開催
参加者数には注意が要ります。2018年の800人超は、運営元のイッツコムが2019年に出したリリースにある数字です。
一方、2020年のリリースには、前年(2019年)について「東京メイン会場に500名以上」「全国および台湾も含め19ヵ所で開催」とあります。年によって会場や数え方が違うので、単純には比べられません。2021年以降の参加者数は、公式の発表を確認できていません。
広がった理由のひとつは、主催が「誰でも開催できます。権利を主張しません」と言っていることです。2019年の取材で林さんは「地味ハロウィンは、狭いコミュニティでこそ生きると思う」と話し、「地域性やコミュニティの特徴が反映された仮装がでてくるのでは」と続けています。
歴代の仮装
過去の例は、元ネタの解像度で笑わせるものが多めです。2019年の新聞記事では、これまでの仮装として次のようなものが挙がっています。
- 駐車場を整備する人
- 暑いのか寒いのかわからない人
- 操られている人
2023年の例は、少し細かくなります。
- ドラクエIIIの発売日に列を整理する、35年前の家電量販店店員
- ジュラシック・ワールドで、モササウルスに食べられる秘書
どちらも説明がなくても、「あれのことか」と思い当たる人には一瞬で通じます。通じない人には何も伝わらないのも、このイベントの味です。
2026年はハロウィン当日
2026年の開催日は、ハロウィン当日の10月31日でした。会場は東京カルチャーカルチャーです。主催の告知には、渋谷のスクランブル交差点が派手ハロウィンなら、渋谷のはずれのカルカルは地味ハロウィン、という趣旨の書きぶりがあります。
Xでは「#地味ハロウィン2026」がYahoo!リアルタイム検索のトレンド1位になりました。
最大のバズは、スマホゲームの広告に出てくる親子を本人が再現した「広告の可哀想な親子」で、44万いいねを超えています(10月31日夜時点)。この投稿をはじめ、今年の仮装は地味ハロウィン2026のまとめ記事に並べました。
主催のデイリーポータルZも、会場から「#会場から」を付けて仮装を中継しています。
開催の詳細は、デイリーポータルZの2026年の告知ページで読めます。
なぜ流行るのか
理由はいくつか考えられます。
ひとつは、派手な仮装は恥ずかしいけれどハロウィンは楽しみたい、という人の受け皿になっていることです。イッツコムの2020年のリリースも、こうした層に向けた企画として紹介しています。
もうひとつは、あるあるの解像度で競う遊びだからです。衣装にお金をかけなくても、観察力で勝負できます。
そしてXでは、ハッシュタグ付きで投稿された仮装が、そのまま大喜利の回答のように広がります。前提を知らない人にも、1枚の写真で「何かの再現だ」と伝わるのが強みです。
2026年の仮装には、電柱広告のメイドに足場ボルトが刺さって見えた投稿が元ネタのものもありました。経緯は電柱の「足場ボルト」の記事にあります。ガシャポンの「めじるしアクセサリー」になりきった仮装もあり、こちらはめじるしアクセサリーのハロウィン弾の記事で紹介しています。
使い方・例文
- 「今年のハロウィンは地味ハロウィンに出るから、衣装は百均で足りる」
- 「地味ハロウィンの仮装、元ネタが通じる人にだけ通じるのがいい」
- 「#地味ハロウィン で出すなら、衣装より解像度」
- 「会社の飲み会が、ほぼ地味ハロウィンになっていた」
関連する言葉
地味ハロウィンの仮装は、ほぼあるあるの再現です。「ああ、いるいる」と思わせた時点で勝ちになります。
仮装という点ではコスプレと同じ仲間です。ただ、アニメやゲームのキャラになりきるコスプレに対し、地味ハロウィンは名前のない人や場面になりきります。
派手なほうのハロウィンの主役といえば、パリピです。そちらとの対比で見ると、地味ハロウィンの立ち位置がわかりやすくなります。